Item
アンティーク(推定19世紀後半) 奇跡的現存品 ”水盤をもつニンフ”
縦:約52mm
横:約40mm
作者:-(アンティーク)
QR:ミュージアムクオリティ
なかなか状態のいいものが見つからないアンティークのラーヴァカメオの入荷です。
石を使ったカメオの中ではメノウに次いで一般的なのがラーヴァのカメオ。
ラーヴァは溶岩と訳されることが多いようですが、カメオの世界においてのラーヴァは溶岩石ではなく緻密な凝灰岩であり、ナポリ近郊のヴェスヴィオ火山のものがつかわれます。
今回のお品物は19世紀の品で、当時イギリス貴族の子弟が勉強のためにドーヴァーを渡ってフランスのカレーからイタリアのナポリまでの各都市を旅をするグランドツアーと呼ばれる風習がありましたが、その最終到達点にて記念として購入されたものと思われる品です。
カメオに彫り込まれた”POMPEI”はラーヴァの産地であるヴェスヴィオ火山の噴火によって一夜にして滅亡した古代都市ポンペイのことで、このポンペイは火山を挟んでナポリの反対側に位置していることから、その名を刻み込むことに到達記念の意図が感じられます。
そもそもラーヴァを宝飾品に用いるということ自体一般的な宝飾の常識から外れている事で(日常的に触れる微細な砂塵によって傷がつくことを避けるため、砂塵の中に含まれる石英のモース硬度7より硬い鉱物であることが宝石とみなされる基準の一つである)、耐久性が高いとは言えない本素材をカメオとする習慣ができたのも、大本はこのナポリへの来訪の記念品というのが理由にあったのかもしれませんね。
モチーフは木蔦の冠を頂いたニンフで、その手には水盤と水差しを持っております。
水盤に乗っているのは小鳥でしょうか。
古代ギリシャのモザイク画で”プリニウスの鳩”と呼ばれている水盤に集まる鳩の絵が知られており、アンティークのカメオではよく親しまれた構図であることから、この絵に着想を得たものと考えられます。
彫りの良さは画像をご覧になっていただければ多くを語る必要はないもので、状態も後述します通り素晴らしく、ラーヴァでは珍しいことにミュージアムクオリティとするにも十分な逸品です。
素材は先述の通りヴェスヴィオのラーヴァ。
典型的な黄土色のもので、気泡の無い肌をしております。
ラーヴァは気泡が無いのが基本でその点自体が特に優れているというわけではありませんが、ラーヴァと称しているもので気泡があるものは石膏によるイミテーション(素材が違うだけでなく石膏の場合型取りの贋作である)が疑われるため、ここは重要なポイントです。
経過年数を思えば状態は極めて良いものの2か所3点のみ欠けが見え、鼻に小さく欠けがあるのと、水盤の下に2点欠けがあります。
古いラーヴァのカメオは欠損や摩耗が多く、小さな欠けこそあるもののここまで精密な彫りがほとんど摩耗無しで、つい先日彫られたかのような姿で残っているというのは大変稀なことといっていいでしょう。
フレームは14ctゴールド製。
グランドツアーは19世紀にはいったころには有力な貴族しか行えなくなってその全盛期を過ぎており、ツアーにまつわる本作の年代もより古いものである可能性はあるものの、19世紀前半のジョージア朝以前の金製品は15ctが多かったという資料からツアー全盛の17,18世紀のものではなく19世紀に入ってからのものと判断しております。
ブローチ金具はC型クラスプ。
ピン元のつくりがこの時代のイギリス式のものと異なるところとラーヴァのカメオでは時折見られる形式であることから、フレームもイタリアの加工品なのかもしれません。
横:約40mm
作者:-(アンティーク)
QR:ミュージアムクオリティ
なかなか状態のいいものが見つからないアンティークのラーヴァカメオの入荷です。
石を使ったカメオの中ではメノウに次いで一般的なのがラーヴァのカメオ。
ラーヴァは溶岩と訳されることが多いようですが、カメオの世界においてのラーヴァは溶岩石ではなく緻密な凝灰岩であり、ナポリ近郊のヴェスヴィオ火山のものがつかわれます。
今回のお品物は19世紀の品で、当時イギリス貴族の子弟が勉強のためにドーヴァーを渡ってフランスのカレーからイタリアのナポリまでの各都市を旅をするグランドツアーと呼ばれる風習がありましたが、その最終到達点にて記念として購入されたものと思われる品です。
カメオに彫り込まれた”POMPEI”はラーヴァの産地であるヴェスヴィオ火山の噴火によって一夜にして滅亡した古代都市ポンペイのことで、このポンペイは火山を挟んでナポリの反対側に位置していることから、その名を刻み込むことに到達記念の意図が感じられます。
そもそもラーヴァを宝飾品に用いるということ自体一般的な宝飾の常識から外れている事で(日常的に触れる微細な砂塵によって傷がつくことを避けるため、砂塵の中に含まれる石英のモース硬度7より硬い鉱物であることが宝石とみなされる基準の一つである)、耐久性が高いとは言えない本素材をカメオとする習慣ができたのも、大本はこのナポリへの来訪の記念品というのが理由にあったのかもしれませんね。
モチーフは木蔦の冠を頂いたニンフで、その手には水盤と水差しを持っております。
水盤に乗っているのは小鳥でしょうか。
古代ギリシャのモザイク画で”プリニウスの鳩”と呼ばれている水盤に集まる鳩の絵が知られており、アンティークのカメオではよく親しまれた構図であることから、この絵に着想を得たものと考えられます。
彫りの良さは画像をご覧になっていただければ多くを語る必要はないもので、状態も後述します通り素晴らしく、ラーヴァでは珍しいことにミュージアムクオリティとするにも十分な逸品です。
素材は先述の通りヴェスヴィオのラーヴァ。
典型的な黄土色のもので、気泡の無い肌をしております。
ラーヴァは気泡が無いのが基本でその点自体が特に優れているというわけではありませんが、ラーヴァと称しているもので気泡があるものは石膏によるイミテーション(素材が違うだけでなく石膏の場合型取りの贋作である)が疑われるため、ここは重要なポイントです。
経過年数を思えば状態は極めて良いものの2か所3点のみ欠けが見え、鼻に小さく欠けがあるのと、水盤の下に2点欠けがあります。
古いラーヴァのカメオは欠損や摩耗が多く、小さな欠けこそあるもののここまで精密な彫りがほとんど摩耗無しで、つい先日彫られたかのような姿で残っているというのは大変稀なことといっていいでしょう。
フレームは14ctゴールド製。
グランドツアーは19世紀にはいったころには有力な貴族しか行えなくなってその全盛期を過ぎており、ツアーにまつわる本作の年代もより古いものである可能性はあるものの、19世紀前半のジョージア朝以前の金製品は15ctが多かったという資料からツアー全盛の17,18世紀のものではなく19世紀に入ってからのものと判断しております。
ブローチ金具はC型クラスプ。
ピン元のつくりがこの時代のイギリス式のものと異なるところとラーヴァのカメオでは時折見られる形式であることから、フレームもイタリアの加工品なのかもしれません。