縦：約42mm
横：約33mm
作者：－（アンティーク）
QR：カタログクオリティ

最近あまり出物がありませんでしたがようやくみつかりました、19世紀のバッカンテの入荷です。

19世紀後半より現代にいたるまで非常に人気の高いモチーフとして知られるバッカンテ。
その目を引く装飾や美しい造形は職人の腕の見せ所であり、彫るのが難しいモチーフゆえに極端に出来の悪いものも少なく、取り扱うカメオのクオリティに一定の制限を設けている当ギャラリーにおきましても数多く取り扱ってまいりました。
海外市場ではモノ自体は多いのですが、やはり当ギャラリーで取り扱うものとなるとなかなかなく、また過去に取り扱ってきた作品のレベルも高いことから要求レベルも高くなりがちで、今回の作品は久しぶりに買い付けに至った作品です。
素材はコンクシェルで、他の貝より厚みのある像は、単純な素材の厚みのみならず素材の硬さと粘り強さを併せ持つコンク特有のもの。
モデルはサウリーニ工房で造られたものと同様の、19世紀において最も品質と人気が高かったもので、彫りの良さから見ると実際にこれらのアトリエで彫られた作品と思われます。
やはり顔立ちがきれいなのが特徴的で、全体のシルエット、構図感も文句なし。
肩口に散らされた髪はこの系統の作品の質を見る上で重要なポイントですが、もちろん文句なしに美しく、仕上げられております。
バッカンテにおいて重要な葡萄のはちょっと珍しい雰囲気。
葉のうねりが強く立体感の大きな本作の作風は、過去に当ギャラリーで取り扱ったどのバッカンテとも違う、全体的にまるっこく柔らかい印象を持たせております。
バッカンテというとコントラストの強いバリっとした作品が多く、またそうした作品はもちろん非常に見栄えもしクオリティも高いのですが、こういう全体的に繊細かつ柔らかい雰囲気に仕上がった高品質なバッカンテはあまりないですので、これだと思われた方はぜひお見逃しなくコレクションへの追加をご検討ください。

貝は色合いのやわらかいコンクシェル。
コントラストはあまりなく、色乗りも葡萄に意図的に載せているという感じではないので、今回は三層彫りではなく通常のコンクシェルカメオとしての扱いです。
内包傷や色交じりは白色部に散見されますが、幸い像にはほとんど目立つものがみあたりません。
高彫りのカメオは摩耗が起きやすいものながら、本作は摩耗も無く経年を感じさせない良好な状態となっております。


※なお、これらコンクの内包傷や色交じりについてはサードニクスやコルネリアンのヘアラインとはまたちょっと事情が違うものですので、鑑賞上問題とならないものについては減点しない方針で査定させていただいておりますことをご了承ください。
コンクシェルの色合いはモニターによって大きく出方が変わります。特にスマホのような彩度が非常に高い色表示をする機器で見た場合、現物と色味に違いが出ることがありますのでご注意ください。