縦：約50mm
横：約40mm
作者：ジョヴァンニ・ノト
QR：カタログクオリティ+

作者についてのご紹介は、当ギャラリーのメニューよりBLOGをご覧いただき、記事の"作家01.ジョヴァンニ・ノト"をご覧ください。

最近入荷が減ってきました、20世紀最高の巨匠ジョヴァンニ・ノト作の入荷です。

カメオの世界は美術品としての研究があまり進んでいないこともあり、真贋の判定が群を抜いて難しいノト作。
海外市場では幾千幾万の玉石混交のカメオの中にたまに混じりこんでいるのが見つかり、そういうのを掘り出しては買い付けてきたのですが、さすがに掘りつくして新規で売り出されるのを待つしかない状態となったことで、最近は当ギャラリーへの入荷も減ってきました。
そんななかようやく見つけた今回の作品はノト作では珍しい2インチ型の大型です。
いまや主流となった華やかな女性像の元祖たるノト氏らしい作品ですが、よく見られるノト作のプロフィールカメオとは表現形式が微妙に異なり、特にエッジのたった髪の彫り方やはっきりとしたバラの花の表現には物珍しさがあります。
瞼の彫り方も微妙に違って、こうなってくると持ち上がってくるのがノト作の真贋問題。
模倣者の作品と比べて明らかにクオリティがとびぬけており、また後述の点で個人的にほぼ真作と思いつつもこれらの点ですこし悩んでいましたが、瞼と髪の表現については当ギャラリーにて展示しているノト作”花畑に立つ乙女”（こちらは真作に違いないと判定）に似通った点が見られるので矛盾にはならないという判定、バラの花は珍しいものの同様の表現をしている作品の写真を見たことがあり、さらにノト作についてときおり意見交換をするアニエロ・ペルニーチェ氏からも真作と支持され、とりあえず責任もって真作と判断していい材料がそろったことで展示となりました。
細かな点でハテナが浮かんではいたものの、気品のある晴れやかな微笑みはいかにもジョヴァンニ・ノト作。
また髪の彫りについても、三つ編み状の髪の彫りの緻密さと立体感、肌にかかった細かな髪先の表現は模倣品では見られないポイントです。
頭から手元まで弧を描くように花が飾られるリースのデザインもリアルさとデザイン性とを両立した表現を実現しており、総じてデザイン・クオリティ共にノト作の典型的な要素を満たしたハイクオリティな仕上がりとなっております。
ちなみに本作のデザインは、ノト氏が美術監督を勤めたジョヴァンニ・アパ工房で盛んに模倣作が作られており、日本でも目にする機会が多いかと思います。
本作はそれらの大本たるオリジナルとなる作品のひとつであり、そういった意味でも価値ある逸品と言えましょう。

貝は鮮やかな朱色が美しいコルネリアン。
ヘアラインは裏面1時位置と9時位置に数筋ずつ、また裏面全体にスクラッチ跡が見られますが、特に問題には至っておりません。
表は一切の傷みが見られず、50年以上前の作品としては十分に良好な状態と言っていいでしょう。