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ヴィンテージ(1960年頃) ”向かい風”
縦:約50mm
横:約38mm
作者:ヴィンテージ
QR:アーティスティッククオリティ
イギリス発、20世紀中期の珍しいオールドモダンカメオです。
シェルカメオにはアンティークと呼ばれるものとモダンと呼ばれる2種類のカメオがあります。
通常アンティークとは制作から100年以上経ったもののことをいいますが、カメオを美術品としてとらえた場合はそれだけでなく、様式の違いにも注目して分けられます。
私はよくアンティークは彫刻でありモダンは彫刻と絵画の中間にあると表現しており、これはアンティークが古代の建築物に飾られたレリーフをそのまま貝殻に落とし込んだような構図と純粋に立体によって表現されることに対して、モダンは構図が絵画的であることと立体の陰影のほか貝そのものの色の濃淡を用いた表現があるという点を指しております。
20世紀中頃、その移り変わりのさなかに活躍した腕利きの彫刻家たちはこの2つのカメオの中間といえる、この時期特有のカメオを作りました。
これらはモダンカメオの絵画的要素の2つのうちの片方がみられないことで中間的になっており、構図には部分的に絵画的要素を含みながら色の濃淡を用いた表現はみられないものが多いです。
2019年現在、カメオは絵画的な色をさらに増しており、その華美な構図もさることながら、とりわけ色については従来の貝そのものの色の濃淡のほかにエナメル着彩やトルコ石やサンゴなど色に重点を置いた複合素材のカメオも登場しており、この20世紀中頃にみられたオールドモダンカメオの異彩さがより浮き彫りになってきております。
本作もまたそうした貴重なオールドモダンカメオの名作のひとつです。
このように斜めを向いた顔は平面的な彫刻であるカメオにおいては絵画的な表現なくして描くことができないものであり、アンティークでみることはできない特徴です。
この構図を得意としたのはアンティークからモダンカメオへの変化をもたらした巨匠ジョヴァンニ・ノト氏で、まさに同氏の時代であった20世紀中頃のちょうどオールドモダンカメオの時期にはこうしたカメオがちらほら見られるようになりました。
一方でこの構図でバランスのとれた綺麗な顔を彫るのは非常に難しく、全体的にやや彫りが荒めで構図の派手さに頼ってしまっている傾向にある現代ではこの構図を綺麗に彫れる人は多くない(ただしフランコ・スカーラ氏の作品には時折見られる)ようで、新作のカメオではめったに見ることがない構図でもあります。
風になびくような髪もこの時代の空気をもっており、途切れることのない流線で絵画的に描かれることが多い現在のカメオの髪と異なり、ねじれや凹凸を躍動感に富んだ立体で表現しております。
全体的には人物の頭部のみで一切装飾がないというアンティーク特有の構図でありながら描かれる顔は絵画的であり、細かなパーツはやはり彫刻性の強い精緻な彫りによるもの。
アンティークとモダン、どちらに主点を置いてみても明らかな違いを感じさせられる、まさにオールドモダンカメオの名品です。
貝はコルネリアンの外周を用いたもので、この部位としては厚めの素材を使っています。
状態は極めて良好、表面には摩耗もなく、時代を経たコルネリアンに特徴的な薄いヘアラインも少なく目立たない、もちろん亀裂や欠けなどもない素晴らしい状態です。
※元のフレームは破損した状態でしたが、簡単に修理した状態で付けてあります。あくまで修理(実用に耐える強度と外観)であり、破損前の状態に戻した修復済みというわけではありません。修理はルースの取り外しも視野に入れて接着剤などは使用せず、銀で鋲を作って打ち込み、裏留めを固定することにより行っております。
当ギャラリーのカメオは、ご購入前にご相談いただければ私がカメオに合わせて銀製のフレームを制作(加工費は大きさにより1万円~15000円程)いたします。
額装加工も承っておりますので、お気軽にご相談くださいませ。
横:約38mm
作者:ヴィンテージ
QR:アーティスティッククオリティ
イギリス発、20世紀中期の珍しいオールドモダンカメオです。
シェルカメオにはアンティークと呼ばれるものとモダンと呼ばれる2種類のカメオがあります。
通常アンティークとは制作から100年以上経ったもののことをいいますが、カメオを美術品としてとらえた場合はそれだけでなく、様式の違いにも注目して分けられます。
私はよくアンティークは彫刻でありモダンは彫刻と絵画の中間にあると表現しており、これはアンティークが古代の建築物に飾られたレリーフをそのまま貝殻に落とし込んだような構図と純粋に立体によって表現されることに対して、モダンは構図が絵画的であることと立体の陰影のほか貝そのものの色の濃淡を用いた表現があるという点を指しております。
20世紀中頃、その移り変わりのさなかに活躍した腕利きの彫刻家たちはこの2つのカメオの中間といえる、この時期特有のカメオを作りました。
これらはモダンカメオの絵画的要素の2つのうちの片方がみられないことで中間的になっており、構図には部分的に絵画的要素を含みながら色の濃淡を用いた表現はみられないものが多いです。
2019年現在、カメオは絵画的な色をさらに増しており、その華美な構図もさることながら、とりわけ色については従来の貝そのものの色の濃淡のほかにエナメル着彩やトルコ石やサンゴなど色に重点を置いた複合素材のカメオも登場しており、この20世紀中頃にみられたオールドモダンカメオの異彩さがより浮き彫りになってきております。
本作もまたそうした貴重なオールドモダンカメオの名作のひとつです。
このように斜めを向いた顔は平面的な彫刻であるカメオにおいては絵画的な表現なくして描くことができないものであり、アンティークでみることはできない特徴です。
この構図を得意としたのはアンティークからモダンカメオへの変化をもたらした巨匠ジョヴァンニ・ノト氏で、まさに同氏の時代であった20世紀中頃のちょうどオールドモダンカメオの時期にはこうしたカメオがちらほら見られるようになりました。
一方でこの構図でバランスのとれた綺麗な顔を彫るのは非常に難しく、全体的にやや彫りが荒めで構図の派手さに頼ってしまっている傾向にある現代ではこの構図を綺麗に彫れる人は多くない(ただしフランコ・スカーラ氏の作品には時折見られる)ようで、新作のカメオではめったに見ることがない構図でもあります。
風になびくような髪もこの時代の空気をもっており、途切れることのない流線で絵画的に描かれることが多い現在のカメオの髪と異なり、ねじれや凹凸を躍動感に富んだ立体で表現しております。
全体的には人物の頭部のみで一切装飾がないというアンティーク特有の構図でありながら描かれる顔は絵画的であり、細かなパーツはやはり彫刻性の強い精緻な彫りによるもの。
アンティークとモダン、どちらに主点を置いてみても明らかな違いを感じさせられる、まさにオールドモダンカメオの名品です。
貝はコルネリアンの外周を用いたもので、この部位としては厚めの素材を使っています。
状態は極めて良好、表面には摩耗もなく、時代を経たコルネリアンに特徴的な薄いヘアラインも少なく目立たない、もちろん亀裂や欠けなどもない素晴らしい状態です。
※元のフレームは破損した状態でしたが、簡単に修理した状態で付けてあります。あくまで修理(実用に耐える強度と外観)であり、破損前の状態に戻した修復済みというわけではありません。修理はルースの取り外しも視野に入れて接着剤などは使用せず、銀で鋲を作って打ち込み、裏留めを固定することにより行っております。
当ギャラリーのカメオは、ご購入前にご相談いただければ私がカメオに合わせて銀製のフレームを制作(加工費は大きさにより1万円~15000円程)いたします。
額装加工も承っておりますので、お気軽にご相談くださいませ。