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フェルディナンド・セルペ作 ”路上演奏会”
縦:約54mm
横:約41mm
作者:フェルディナンド・セルペ
QR:カタログクオリティ
モダンカメオの風景物において随一の名匠フェルディナンド・セルペ作の入荷です。
セルペ氏は齢50を過ぎたばかりという年齢的には中堅の作者ですが、若い頃から卓越した技術と他の作家にはない独自性とを確立した数少ない職人です。
こと風景物においてはジョヴァンニ・アメンドーラ氏以来の名手であり、美しい直線と貝の濃淡を巧妙に活かした技法はカメオに絵としての側面を強く付加したもの(精緻な直線と色の濃淡で空気遠近を示した優れた風景物は古くジョヴァンニ・ノト氏の作品からみられるが、近景を彫刻、遠景を絵画的表現で分けたノト氏に対してセルペ氏は全体的に絵画的表現が強い)で、一つの新時代を作ったといったもいいでしょう。
チーロ・オリス・マラッツォ氏やラファエレ・ヴィティエロ氏の彫る水影の素晴らしいヴェネツィアの風景物などは明らかにセルペ氏の技法に影響を受けたもので、他にも後に続く優れた風景物の作者たちに少なからず影響を与えており、この点から見てもその存在の重要性が分かります。
カメオの彫刻は教職の傍らであると言われており作品数はさほど多くなく、近年は滅多に見ることがありませんが(セルペ作とみればフェルディナンド作と称して販売しているのをみるが弟のウンベルト作であることが多い。カメオ作者は同姓の人物が非常に多いので、姓で安易に判定しないよう気を付けたい)同氏の作品はシェルカメオに詳しくない人が見ても優れた作品だということが分かるレベルにあり、近い将来確実に巨匠として名を馳せることになるでしょう。
今回のお品物は貴重になりつつあるフェルディナンド・セルペ氏の後年作です。
ディルーカ系統の紹介ではピーテル・ブリューゲルの絵画をモチーフにしたものが多いとされるセルペ氏ですが、以前はそういうわけでもなく一般的なオリジナルの風景物をよく作っており、出来が良くなった近年になってからブリューゲルモチーフの作品が増えてきました。
逆を言えばセルペ氏の良作はブリューゲルモチーフのものが多くやや雑然とした印象を受けるものが多いのですが、今回の作品はテーマがはっきりとしている作品で、チェロやリュートといった弦楽器を用いた路上演奏の場を描いたものです。
遠景の石造りの街並みはセルペ氏らしい精緻な描写が美しく、近景の人物や石畳もその画面の奥行きに貝の色差が活用されており、この点もセルペ氏に特有の作風です。
一方で路面に置かれた羽根つき帽子やチェロなどは貝の厚みをもって立体的に彫り出されていて、全体的な雰囲気はどことなく当ギャラリー展示のジョヴァンニ・ノト作”ミンストレルの思慕”を彷彿とさせます。
セルペ氏の作品に限った話ではありませんが、年代によって出来の良さに大きな差があり、この作風は後年特有のものなので数も少なく、ここまでの出来の作品は当ギャラリーでも本当に久しぶりとなります。
貝はコーヒー色の地にしっかりした白色の層のもの。
2000年以降のガロファロ氏の作品でよく見るような、色と厚みが揃った最上質のものとなります。
ヘアライン、欠け無しの完品で、ほぼ未使用の状態です。
フレームはK18製。
近年のカメオらしい鉄砲式のブローチ金具に下向き防止金具、それに貝型のバチカンをそなえたもので、こちらも色焼けや歪みのない未使用状態です。
横:約41mm
作者:フェルディナンド・セルペ
QR:カタログクオリティ
モダンカメオの風景物において随一の名匠フェルディナンド・セルペ作の入荷です。
セルペ氏は齢50を過ぎたばかりという年齢的には中堅の作者ですが、若い頃から卓越した技術と他の作家にはない独自性とを確立した数少ない職人です。
こと風景物においてはジョヴァンニ・アメンドーラ氏以来の名手であり、美しい直線と貝の濃淡を巧妙に活かした技法はカメオに絵としての側面を強く付加したもの(精緻な直線と色の濃淡で空気遠近を示した優れた風景物は古くジョヴァンニ・ノト氏の作品からみられるが、近景を彫刻、遠景を絵画的表現で分けたノト氏に対してセルペ氏は全体的に絵画的表現が強い)で、一つの新時代を作ったといったもいいでしょう。
チーロ・オリス・マラッツォ氏やラファエレ・ヴィティエロ氏の彫る水影の素晴らしいヴェネツィアの風景物などは明らかにセルペ氏の技法に影響を受けたもので、他にも後に続く優れた風景物の作者たちに少なからず影響を与えており、この点から見てもその存在の重要性が分かります。
カメオの彫刻は教職の傍らであると言われており作品数はさほど多くなく、近年は滅多に見ることがありませんが(セルペ作とみればフェルディナンド作と称して販売しているのをみるが弟のウンベルト作であることが多い。カメオ作者は同姓の人物が非常に多いので、姓で安易に判定しないよう気を付けたい)同氏の作品はシェルカメオに詳しくない人が見ても優れた作品だということが分かるレベルにあり、近い将来確実に巨匠として名を馳せることになるでしょう。
今回のお品物は貴重になりつつあるフェルディナンド・セルペ氏の後年作です。
ディルーカ系統の紹介ではピーテル・ブリューゲルの絵画をモチーフにしたものが多いとされるセルペ氏ですが、以前はそういうわけでもなく一般的なオリジナルの風景物をよく作っており、出来が良くなった近年になってからブリューゲルモチーフの作品が増えてきました。
逆を言えばセルペ氏の良作はブリューゲルモチーフのものが多くやや雑然とした印象を受けるものが多いのですが、今回の作品はテーマがはっきりとしている作品で、チェロやリュートといった弦楽器を用いた路上演奏の場を描いたものです。
遠景の石造りの街並みはセルペ氏らしい精緻な描写が美しく、近景の人物や石畳もその画面の奥行きに貝の色差が活用されており、この点もセルペ氏に特有の作風です。
一方で路面に置かれた羽根つき帽子やチェロなどは貝の厚みをもって立体的に彫り出されていて、全体的な雰囲気はどことなく当ギャラリー展示のジョヴァンニ・ノト作”ミンストレルの思慕”を彷彿とさせます。
セルペ氏の作品に限った話ではありませんが、年代によって出来の良さに大きな差があり、この作風は後年特有のものなので数も少なく、ここまでの出来の作品は当ギャラリーでも本当に久しぶりとなります。
貝はコーヒー色の地にしっかりした白色の層のもの。
2000年以降のガロファロ氏の作品でよく見るような、色と厚みが揃った最上質のものとなります。
ヘアライン、欠け無しの完品で、ほぼ未使用の状態です。
フレームはK18製。
近年のカメオらしい鉄砲式のブローチ金具に下向き防止金具、それに貝型のバチカンをそなえたもので、こちらも色焼けや歪みのない未使用状態です。