縦：約56mm
横：約44mm
作者：―（アンティーク）
QR：カタログクオリティ

アンティークとしては珍しい50mm超えの大判カメオの入荷です。

今回のお品物は貴重な大判のアンティークカメオ。
モチーフはギリシャ神話においてもとりわけ重要な存在であり、神々の女王ヘーラーにも劣らないとされる地母神デメテルです。
構図は、アンティークにおいて腰から上を描いたギリシャ神像において典型的な雲を画面下に配したもので、デイ＆ナイトと呼ばれるヘーメラーとニュクスの母娘の構図がよく知られています。
一方、デメテルは基本的に頭部のみが描かれることが多く、このような構図で描かれているものは極めて稀な例となります。
シンボルとなる麦穂は通常通り頭部に飾られるのみならず、本作では左手に鎌を持ち、右わきに刈り取った麦束を携えており、これもまた類例をみないものです。
もちろん構図の珍しさのみならず彫りもアンティークカメオらしいふっくらしたもので、厚い貝殻を十分に活かしたバランスのいい彫り上がりは美しい構図をよりよく引き立てます。
髪や麦穂は繊細かつ精緻であり、洋服のひだもくっきりとした表現。
また、薄手のキトンから伸びた腕や首は程よくふくよかかつ艶やかで、大地の恵みを司る女神たるデメテルにふさわしい表現となっております。

貝は厚みのあるもので、コーヒー色の地とくっきりした白色の美しいサードニクス。
褐色層には11時半の位置に1筋と画面右半分に全体的にヘアラインがはいるものの入り方は非常に薄く、光にすかさずに見て取ることはできないものです。（ヘアラインに対して垂直方向の光を当てると視認しやすくなるという特性上、画像では横からの光に対して見えるようになっています）
それから白色部の麦穂から下に5，6筋のヘアラインがあり、そのうち2筋は経年のうちに色が入り、順光でも視認できるものになっております。
そのほか、ディテールはほぼ完全に残っているものの、わずかに表面に経年のナレがありますが、これはむしろ先述のデメテルの肌や雲の質感において、彫りだけでは表現しきれないものを本作に与えており、プラスに働いていると言っていいでしょう。

通常当ギャラリーにおいて白色部の欠点はマイナス査定で価格を出しており、もちろんクオリティの設定にも影響を与えます。
本作も白色部にヘアラインがあり幾分健全な状態に想定される時価より引いた価格としておりますが、クオリティのランクにつきましては構図の珍しさと彫りの良さから、白色部のヘアラインを差し引いても十分に書籍掲載に耐えるレベルと判断し、カタログクオリティとしております。
また、フレームのないルースのみでのカタログクオリティの判定は当ギャラリーにおいても滅多になく、本作がいかに質の高いものであるかをお察しいただけることと思います。

※当ギャラリーのカメオは、ご購入前にご相談いただければ私がカメオに合わせて銀製のフレームを制作いたします。
また、額装加工も承っておりますので、お気軽にご相談くださいませ。
※加工のご相談の前に、一度メニュー下の”カメオルースのブローチ・ペンダント加工につきまして”をお目通しくださいますようお願いいたします。