縦：約38mm
横：約38mm
作者：ラファエレ・ヴィティエロ
QR：アーティスティッククオリティ

近年人気が非常に高まっている名匠、ラファエレ・ヴィティエロ氏作の入荷です。

若手のひとりとして知られ、在学中よりフランチェスコ・モナステーロ氏の工房へ通って腕を磨いていたラファエレ・ヴィティエロ氏。
その経緯から一般的にはモナステーロ氏の弟子とされ、比較的古めの作品では確かにモナステーロ氏の影響が感じられる作品も見られます。
しかしながら、近年はヴェネツィアをはじめとする水辺の風景が高く評価されてきており、その手法はフェルディナンド・セルペ氏の水の描き方に酷似していることから、おそらく在学中にセルペ氏に教えを受けて強い影響を持っていると思われます。
水影の描き方については先述の通りセルペ氏の新しい作品にも匹敵する美しさを見せ、貝の厚みや陰影よりも色の濃淡を駆使した、数あるカメオの中でも特に絵画色が強いと言える作風が大きな特徴となっており、セルペ氏の作風に最も近い作者といっていいかと思います。
その貝の色使いの上手さにより、素材として厚みが無く彫刻として描写の難しいホシダカラのカメオにも力を入れていて、こちらも通常のカメオのみしか知らない人からみると非常な衝撃を与えられるような作品が見られます。
現状風景カメオの作者としてはセルペ氏の良作に次ぐほどに時価が高まっており、50mm規格にも満たないような小さめの風景カメオでもかなり高額で取引されている期待の作家です。

今回のお品物はタカラガイの一種であるホシダカラを使った珍しいカメオです。

シェルカメオの中でも珍しく、カメオの素材としてはタイガースキンシェルとも呼ばれるのがこのホシダカラ。
使われる歴史自体はそれなりに古く、オイスターシェルや地中海原産の大型のムール貝とともにアンティークの時代より変わり種の貝として用いられていました。
ただしタカラガイだけに貝に厚みが無く、その代わり表層の褐色地に黒斑の層、そしてその下の淡褐色の層、その下の薄紫の層、そして最下層の白色層という4色をどう使うかが決め手となり、一般的なカメオシェルとはアプローチがまるで異なる本種は、彫刻色の強いアンティークの時代はもちろん、現代においても異種素材の採用に積極的な作家の作品が稀に見られるも、やはりサードニクスやコルネリアンほど振るわない作品となっているのが通例と言わざるを得ません。
そんな中で、これまでのタイガースキンシェルカメオとは一線を画す出来を見せたのがラファエレ・ヴィティエロ氏です。
作者の紹介においても触れました通り、数いるシェルカメオ作家の中でもとりわけ絵画色の強い感性を持っているヴィティエロ氏は、この貝の4色を見事に使い分けた風景カメオを作り、カメオ界において唯一タイガースキンシェルで高い評価を受けている作者といっていいかと思います。
本作のモチーフはヴィティエロ氏の得意とする水の都ヴェネツィア。
色の層は他のカメオシェルにくらべてずっとうすく、繊細かつ正確な彫刻技術を必要としますが、ヴィティエロ氏の技術によりくっきりと色を分けて描写され、また単純な色違いの構造だけではなく、その濃淡を駆使した水面の水影や空気遠近感が大変に美しく描かれております。

貝は良質のタイガースキンシェル。
元々他のカメオシェルと比べて圧倒的に小さく、ひとつの貝からその中央部1枚しか取ることができない貴重なものです。
1時の位置に素材切り出し時に入ったと思われる浅いクラックが一筋あるのみで保管による傷は無く、また色が重要となるタイガースキンシェルカメオの大敵となる表面の傷も見られません。

※当ギャラリーのカメオは、ご購入前にご相談いただければ私がカメオに合わせて銀製のフレームを制作いたします。
また、額装加工も承っておりますので、お気軽にご相談くださいませ。
※加工のご相談の前に、一度メニュー下の”カメオルースのブローチ・ペンダント加工につきまして”をお目通しくださいますようお願いいたします。