縦：約75mm
横：約59mm
作者：ニーノ・アメンドーラ
QR：アーティスティッククオリティ

現在もっともアンティークに近い作風を持つ作者のひとり、ニーノ・アメンドーラ作の大判カメオが入荷しました。

日本でもカメオ作者として知られるチーロ・アメンドーラ氏の長男であるニーノ・アメンドーラ氏。
ジョヴァンニ・アメンドーラ氏はチーロ氏の弟なのでニーノ氏からみれば叔父にあたり、類縁に名の知れたカメオ作者を持った身として育ち、美術大学に通う傍らカメオ工房にも通って修業を積んで若くしてナポリの展示会で受賞するなど高い評価を得るようになりました。
類縁者に名匠を持つ作者としては珍しく、師であったジョヴァンニ・ノト氏に影響を色濃く受けて絵画をモチーフとするものが多いチーロ氏や、馬や船をモチーフとするものが多いジョヴァンニ氏といった先代たちの作風を受け継ぐことはせず独自の作風を確立することに努め、現在ではほぼ唯一といえるアンティークの風景物に近い作風を持っている作者です。
レベルの高いアンティークの彫りと比べるとやや彫りが粗く甘さが目立つという評価もあるとおり、事実19世紀の良作と比べれば見劣りしてしまうところはあるものの、ニーノ氏に限らず現代のカメオは総じてアンティークより彫りが粗く構図の派手さで勝負する傾向に流れつつあり、そんな中であえて誰も挑戦していないアンティークの風景物へ挑戦する姿は、まさにニーノ氏の彫刻家としてのこだわりを示すものといえましょう。

今回のお品物は、ニーノ・アメンドーラ作らしい古典的な雰囲気を持った大判のカメオです。

先述の通り、現在においては唯一の古典的風景作を作るのがニーノ氏であり、カメオをよく知る愛好家であればサインを見るまでもなく一目でニーノ・アメンドーラ作とわかる一品。
質の良い貝が多いことでも知られるように本作もメリハリのよく聞いた良質な貝を使用しており、濃い褐色の地に馬と天使たちの像が美しく浮かび上がっております。
天使たちはバランスの良い体形で美しく描かれ、また4頭の馬もおとなしく引かれるのではなくすべてが荒々しく躍動するさまをよく表現し、美術の基礎をしっかり学んだうえでカメオ彫刻の道へ入ったニーノ氏の努力を感じさせるデザイン。
また、アメンドーラの馬というとやはりジョヴァンニ氏の馬を思い出しますが、描き方はジョヴァンニ氏のものと異なり、鬣や尻尾の毛が長めにとられていて、神話の世界を描くに合わせた優雅な雰囲気が感じられます。

貝は濃いめのコーヒー色の地にくっきりした白色の層のもの。
大判なので無傷とはいかず、画面右端及び下端付近にヘアラインが見られますが、これらは縦向きのヘアラインであり、通常鑑賞における上からの光では見えなくなる（ヘアラインの特性として、ラインに水平な光では見えなくなり、垂直な光で最も目立つ）ものです。
裏面6時の位置に斜めに入った強めのヘアラインがあるものの、こちらは裏面の浅い位置に入っており、表からでは強い光を当てない限りわからない程度のものであり、総評として鑑賞・実用共に目立つ傷のない良い状態です。

※当ギャラリーのカメオは、ご購入前にご相談いただければ私がカメオに合わせて銀製のフレームを制作いたします。
また、額装加工も承っておりますので、お気軽にご相談くださいませ。
※加工のご相談の前に、一度メニュー下の”カメオルースのブローチ・ペンダント加工につきまして”をお目通しくださいますようお願いいたします。