縦：約55mm
横：約45mm
作者：チーロ・エスポジート
QR：アーティスティッククオリティ

イタリアカメオ協会の会長も務める名匠チーロ・エスポジート氏のカメオです。

チーロ・エスポジート氏はフランチェスコ・エスポジート氏の息子であり、その作風の跡継ぎでもあります。
フランチェスコ氏の後年の作風を引き継ぐかたちの作風を持ち、その作風を更に伸ばしてエスポジートスタイルの女性像を築き上げるに至りました。
得意とする傾向はプロフィールの女性像で、フランチェスコ氏の後期作と彫りの傾向は似ていますが、フランチェスコ氏のプロフィールは目に鋭さがあり表情がやや厳しいところ、チーロ氏のプロフィールは表情が柔らかく優しさが漂います。
また、フランチェスコ氏も精密な彫りを得意とする作者ではありませんでしたが、2000年頃には一歩間違えばただ荒く見えてしまうような彫りを美しく力強いラインへと変えることに成功し、チーロ氏もその技術をしっかり受け継いで、力強さと優しさを備えた名作を生み出しております。
書籍によってはチーロ氏の目標はフランチェスコ氏であると紹介されている場合がありますが、実際の市場評価ではチーロ氏の評価はとうにフランチェスコ氏を超えており、有名な作者の類縁者として知られる作者は数多くいるものの昨今では先代を超える、もしくは独自の作風へと昇華させることができず廃業してしまう作者も多い中で、チーロ氏は珍しく明確に先代を超えた名匠の一人として知られております。
カメオ協会の会長職が忙しいためか、現在では新作を見る機会はめったになく、その作品は今後も手に入れる機会が少ないと思われる貴重なカメオでもあります。

本作はそんなチーロ・エスポジート氏のプロフィールカメオ、幅広で大きめな良作です。

ぱっと見の図柄は後年のフランチェスコ氏を思わせるもの。
画面下部にはドレープ状の縁が見られ、その顔つきもフランチェスコ氏の作品を彷彿とさせます。
しかしながらフランチェスコ氏の彫る顔よりも厚く頬をとりふっくらとした質感で仕上げ、また目元や口元もやや鋭さを感じさせるフランチェスコ氏の作品とくらべて柔らかく優しげな雰囲気を持っているあたり、明確にチーロ氏の確立したエスポジートスタイルの作品です。
貝の厚みのみならず濃淡をうまく使っており、髪は背景に溶け込むような柔らかさを感じさせ、また外周にはフランコ・スカーラ氏を思わせるグラデーションの縁を描いており、脇に飾られたクレマチスがただの飾りではなく、どこか少女を象徴する存在のようにも感じられます。
全体的に硬さを感じさせず彫刻というよりも絵に近い雰囲気をもっており、モダンカメオとして鑑賞・実用共に優れた一品となっております。

背面は濃いめのコーヒー色からやや薄めにグラデーションのかかったものに、中間色の層をはさんで綺麗な白色の乗った貝を使用。
貝素材に色の濃淡がある場合は濃い部分を最もコントラストを出したい部分（概ねプロフィールの場合顔の輪郭）に使って薄めの部分は隠れるような場所に充てるよう構図をとるテクニックがアンティークの頃からみられますが、本作も濃い部分を意図的に画面右側に持ってくるように構図を決めてあり、チーロ氏の長い研鑽を感じます。
画面0時から1時にかけて、光に透かして何とかわかる程度の極々薄いヘアラインが数筋ある程度でそれ以外に傷みは見つからず、ほぼ完品といえる素晴らしい状態を保ったカメオです。

※当ギャラリーのカメオは、ご購入前にご相談いただければ私がカメオに合わせて銀製のフレームを制作いたします。
また、額装加工も承っておりますので、お気軽にご相談くださいませ。
※加工のご相談の前に、一度メニュー下の”カメオルースのブローチ・ペンダント加工につきまして”をお目通しくださいますようお願いいたします。