縦：約43mm（カメオ33mm）
横：約35mm（カメオ27mm）
作者：－（アンティーク）
QR：ミュージアムクオリティ

日本初公開、素晴らしいアンティークのハードストーンカメオです。

ハードストーンカメオというのは、一般には柔らかい凝灰岩（ラーヴァ）に対して硬度が高いメノウを用いたカメオになります。
現在ドイツはイーダーオーバーシュタインで作られるカメオもメノウですが、一般に出回るものは人工的に着色したものを使っており、完全に天然のものではありません。
一方この時代のものは天然のものであり、まず使える素材の石の産出量も少なく、加工の難しさもあいまって出来の良い作品はかなり少なくなります。
また、加工法においても当時と今では大きく異なり、現在はほとんどのカメオは超音波彫刻やレーザー彫刻により大量生産されますが、レーザーより先んじた超音波彫刻でも1970年代に実用され始めた技術であり、それより以前のカメオはすべて職人の手彫りにより作られております。
俗にストーンカメオはシェルカメオよりも格式が上であり高級品であると言われており、今でもストーンカメオのほうが上であると思っている人は少なくありませんが、それはまさにこの1970年代以前の話であり、現在は平均的にはすべて手彫りのシェルカメオのほうが高級品になっております。

今回のお品物は19世紀後半のストーンカメオを使ったブローチです。

素材となっているのは非常に色の濃いサードニクス。
裏面が褐色であることと、辛うじて光を通すためオニキスではないのですが、オニキスのような漆黒に見える地にくっきりとした白色との最高のコントラストに、ストーンカメオの中でも稀に見る精密さで素晴らしい仕上がり。
ダブレットやガラスではないカメオでこのような漆黒色を地に持つものは珍しいです。
厚みのある美しい顔立ち、髪の細かなウェーブのほか、リボンにのみツヤ出しの研磨をかけた仕上げなどに確かな、かつ高度な技術が見て取れます。
今回は特に彫りのいいカメオですので、写真を多めに撮影、掲載しておりますのでご確認くださいませ。

状態は完璧、リボンの肩にかかった部分に段差がありますが剥落ではなく、よくみればリボンが折れ曲がり段差になった様子を忠実に表現したものであることがわかります。
アンティークストーンカメオの常ではありますが、裏面にはイニシャルのような筆記があります。

フレームは19世紀のジュエリーでは高級品の多い15ctゴールドをふんだんに使った厚みのある枠に真珠を巻いたもの。
縁が銀色っぽくも見えるのですが、買い付け元より15ctを保証すると聞いております。
写真では暗めに写っておりますが、実物はカメオを留める覆輪に反射した光が真珠を照らし、明るい光を纏った一品です。
ピンキャッチはCクラスプですがかなりしっかり留まりますので、このままご使用になられても全く問題ありません。
時代を考えれば全体的に非常に綺麗ですが、フレーム下部になにか薄っすらと刻印があります

モノトーンのカメオと真珠の醸し出すヴィクトリア朝服喪時代らしいシックさと金のコントラストが大変に見事で、豪華でありながら虚飾的でないハイセンスな仕立て。
まさに当時の時代を反映した素晴らしいアンティークジュエリーです。