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ヴィンテージ(1968年ホールマーク) 狼に乗るロムルスとレムスのカメオ
縦:約50mm(カメオ44mm)
横:約40mm(カメオ36mm)
作者:-(ヴィンテージ)
QR:カタログクオリティ
イギリス発、ローマ神話をモチーフとした古いモダンカメオです。
20世紀中頃よりジョヴァンニ・ノト氏やジェンナーロ・ガロファロ氏によって形作られてきたモダンカメオ。
それ以前のカメオでは、風景のようなものを彫るにしても近景のみかあるいは遠景のみという、いうなれば建築物のレリーフをそのまま貝殻に落とし込んだような構図が一般的であったものが、この時代以降、一つの画面に近景と遠景が混じる絵画的な構図のとり方がなされるようになりました。
私はアンティークカメオとモダンカメオは年代によって分けるのではなくこうした構図概念によって明確に分けられる、すなわちアンティークカメオは彫刻そのものであるのに対し、モダンカメオは絵画と彫刻の中間となる新しい芸術様式であると捉えております。
本作は明らかなモダンカメオの概念によって作られた古き名作です。
モチーフはローマ神話におけるローマ建国の祖ロムルスと、その双子の弟にして後に争うこととなるレムス。
生まれて間もなくティベリス川に流されたのち狼に育てられることとなった双子ですが、本作はその様子を描いたものです。
もしもこの様子がアンティークカメオの様式で彫られていたならば、狼と双子はそのままに、地面となる部分平坦な板状にとり、背面はすべて彫り落とす形となるでしょう。
しかし本作は地面にパースが用いられ、近景の背景に木と灌木を、さらに遠景の背景には空気遠近法によるうっすらと霞んだ山並みと雲が描かれるなど絵画の技法が明確に適用されております。
全体的に見ても額縁の中に収まった絵画のようにも見える本作の作りは、カメオに親しんだ方が見れば、背景や木の葉の描き方の類似点もあって、ちょうどジェンナーロ・ガロファロ氏の作品を彷彿とさせるものを感じられるのではないでしょうか。
貝の質は珈琲色の上質なもので、状態もよく、背景部表面11時のあたりにごく微細なヘアラインが1筋あるのみです。
フレームはイギリスの9ctゴールド製。
バーミンガム・アッセイオフィスのホールマークにデイトレターは1968年、やはりモダンカメオの年代に入ってからのものです。
丁寧な覆輪留めの外周には細い金の鎖をロウ付けして飾りとしており、当時の金細工職人のこだわりを持った仕事が光ります。
1970年以前の作品だけに無銘ですが、絵画的構図と彫刻による陰影により特異なまでの空気感を演出することでモダンカメオの第一人者とまで言われるジェンナーロ・ガロファロ氏の作品にも劣らない名作です。
また、この年代はモダンカメオがひとまずの完成を見た時期で、これほどに出来の良いカメオは非常に稀。
フレームのホールマークもあって間違いのない年代特定ができているということもあって、コレクションにも非常に良い逸品です。
横:約40mm(カメオ36mm)
作者:-(ヴィンテージ)
QR:カタログクオリティ
イギリス発、ローマ神話をモチーフとした古いモダンカメオです。
20世紀中頃よりジョヴァンニ・ノト氏やジェンナーロ・ガロファロ氏によって形作られてきたモダンカメオ。
それ以前のカメオでは、風景のようなものを彫るにしても近景のみかあるいは遠景のみという、いうなれば建築物のレリーフをそのまま貝殻に落とし込んだような構図が一般的であったものが、この時代以降、一つの画面に近景と遠景が混じる絵画的な構図のとり方がなされるようになりました。
私はアンティークカメオとモダンカメオは年代によって分けるのではなくこうした構図概念によって明確に分けられる、すなわちアンティークカメオは彫刻そのものであるのに対し、モダンカメオは絵画と彫刻の中間となる新しい芸術様式であると捉えております。
本作は明らかなモダンカメオの概念によって作られた古き名作です。
モチーフはローマ神話におけるローマ建国の祖ロムルスと、その双子の弟にして後に争うこととなるレムス。
生まれて間もなくティベリス川に流されたのち狼に育てられることとなった双子ですが、本作はその様子を描いたものです。
もしもこの様子がアンティークカメオの様式で彫られていたならば、狼と双子はそのままに、地面となる部分平坦な板状にとり、背面はすべて彫り落とす形となるでしょう。
しかし本作は地面にパースが用いられ、近景の背景に木と灌木を、さらに遠景の背景には空気遠近法によるうっすらと霞んだ山並みと雲が描かれるなど絵画の技法が明確に適用されております。
全体的に見ても額縁の中に収まった絵画のようにも見える本作の作りは、カメオに親しんだ方が見れば、背景や木の葉の描き方の類似点もあって、ちょうどジェンナーロ・ガロファロ氏の作品を彷彿とさせるものを感じられるのではないでしょうか。
貝の質は珈琲色の上質なもので、状態もよく、背景部表面11時のあたりにごく微細なヘアラインが1筋あるのみです。
フレームはイギリスの9ctゴールド製。
バーミンガム・アッセイオフィスのホールマークにデイトレターは1968年、やはりモダンカメオの年代に入ってからのものです。
丁寧な覆輪留めの外周には細い金の鎖をロウ付けして飾りとしており、当時の金細工職人のこだわりを持った仕事が光ります。
1970年以前の作品だけに無銘ですが、絵画的構図と彫刻による陰影により特異なまでの空気感を演出することでモダンカメオの第一人者とまで言われるジェンナーロ・ガロファロ氏の作品にも劣らない名作です。
また、この年代はモダンカメオがひとまずの完成を見た時期で、これほどに出来の良いカメオは非常に稀。
フレームのホールマークもあって間違いのない年代特定ができているということもあって、コレクションにも非常に良い逸品です。