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アントニオ・パルラーティ作 「流転する命」
縦:約70mm
横:約53mm
作者:アントニオ・パルラーティ
QR:カタログクオリティ
日本では大変有名なカメオ作者の一人といえるカルロ・パルラーティ。
そのカルロを生んだパルラーティ家は代々珊瑚彫刻師の家系で、カルロの兄アニエロ、弟ヴィンチェンツォ、そして娘のパトリツィアとカルロの家族もみなカメオの彫刻を行っており、叔父のラファエレ・パルラーティは当時誰よりも注目を集めたカメオ中興の祖ジョヴァンニ・ノトの元でカメオの技を学び、パルラーティ家へと持ち帰ってきました。
これらパルラーティ家のカメオはサインの無い年代の作品でも鑑定できる目さえあれば見つけるのは難しくないと言っていいでしょう。
しかしカルロの父であるアントニオの作だけは別で、これがなかなか見つからないのです。
ノトの単独作でも年に3枚ほどは見つける私がアントニオ作の現物は見たことがなく、作例の写真すら1枚しか見たことがなかったといえばその珍しさが伝わるでしょうか。
作風はラファエレとカルロを足して2で割ったような感じで、サインを入れることが一般的になる前の時代の作者のためサインもありません。
ちなみに当ギャラリーでは過去に一度だけアントニオ作だと思って買い付けてきたものがありましたが、いざよく観察してみたらカルロ氏の若いころの作品であったため、アントニオ作に間違いないというのは今回が初の入荷となります。
※日本市場でたまにみるA.Parlati銘のカメオは作風と年代から判断してアントニオ作ではありえない。
今回のは一目見て”ああ、これはアントニオ・パルラーティに間違いない”と確信した一品。
雰囲気はカルロ作によく似ていますが、印象がよりクラシカルです。
髪の彫り方はラファエレ・パルラーティ作とほとんど同じ(ちなみにラファエレ作は顔が全然違う)である点も確信を強めます。
彫りのシャープさはサンゴ彫刻師を本分とするパルラーティ家の当主らしく、この時代をもってして現代の作家たちをはるかにしのぐほど。
この点はカルロ作も同じで、カルロの彫りは父譲りのものであることがわかります。
モチーフはマスクと少女。
老人のマスクと微笑をたたえた美しい少女の姿との対比はかなり印象的で、見る者にその意図を考えさせずにはいられません。
一般には偽りの象徴であるとされるマスクですが、少女が老人を偽るというのもなかなか奇妙な話。
また、その表情を見ても老人の表情は死を感じさせるものがある一方で少女のそれは生き生きとしており、どうもここに”偽り”というテーマが含まれているようには思えません。
個人的には、この年老いた顔を落とし、その下から生気に満ちたうら若い乙女の顔が現れるというこの構図は連綿と続く命の輪廻を描いているように感じますし、この生命というテーマはカルロ氏もよく描いたものだったことを思うと、父子に受け継がれる芸術的価値観も垣間見えるように思います。
ともあれやはりただの横顔と比べるとこうしたテーマを含む作品は芸術性が高く、作者の現存品の希少性と相まって、大変に価値の高い逸品と言えましょう。
貝は巨大なコルネリアン。
色の分布は薄めの範囲が大きいものの、湾曲を見たところでは一番材で間違いないでしょう。
ヘアラインは裏面左上と中央、それから1時半位置に複数あるものの、分厚いコルネリアンの下であり表から見て目立つものではありません。
6時位置の縁にはチップがありますが、これもさほど大きな欠点とは言えない状態に収まっております。
ランクについてはまずカタログは確実なものとして、所蔵コレクションのテーマがカルロ氏を中心としたパルラーティ家であるならばそこに欲しい作品で、とりわけ資料的価値が高いマニア・コレクター向けの作品です。
横:約53mm
作者:アントニオ・パルラーティ
QR:カタログクオリティ
日本では大変有名なカメオ作者の一人といえるカルロ・パルラーティ。
そのカルロを生んだパルラーティ家は代々珊瑚彫刻師の家系で、カルロの兄アニエロ、弟ヴィンチェンツォ、そして娘のパトリツィアとカルロの家族もみなカメオの彫刻を行っており、叔父のラファエレ・パルラーティは当時誰よりも注目を集めたカメオ中興の祖ジョヴァンニ・ノトの元でカメオの技を学び、パルラーティ家へと持ち帰ってきました。
これらパルラーティ家のカメオはサインの無い年代の作品でも鑑定できる目さえあれば見つけるのは難しくないと言っていいでしょう。
しかしカルロの父であるアントニオの作だけは別で、これがなかなか見つからないのです。
ノトの単独作でも年に3枚ほどは見つける私がアントニオ作の現物は見たことがなく、作例の写真すら1枚しか見たことがなかったといえばその珍しさが伝わるでしょうか。
作風はラファエレとカルロを足して2で割ったような感じで、サインを入れることが一般的になる前の時代の作者のためサインもありません。
ちなみに当ギャラリーでは過去に一度だけアントニオ作だと思って買い付けてきたものがありましたが、いざよく観察してみたらカルロ氏の若いころの作品であったため、アントニオ作に間違いないというのは今回が初の入荷となります。
※日本市場でたまにみるA.Parlati銘のカメオは作風と年代から判断してアントニオ作ではありえない。
今回のは一目見て”ああ、これはアントニオ・パルラーティに間違いない”と確信した一品。
雰囲気はカルロ作によく似ていますが、印象がよりクラシカルです。
髪の彫り方はラファエレ・パルラーティ作とほとんど同じ(ちなみにラファエレ作は顔が全然違う)である点も確信を強めます。
彫りのシャープさはサンゴ彫刻師を本分とするパルラーティ家の当主らしく、この時代をもってして現代の作家たちをはるかにしのぐほど。
この点はカルロ作も同じで、カルロの彫りは父譲りのものであることがわかります。
モチーフはマスクと少女。
老人のマスクと微笑をたたえた美しい少女の姿との対比はかなり印象的で、見る者にその意図を考えさせずにはいられません。
一般には偽りの象徴であるとされるマスクですが、少女が老人を偽るというのもなかなか奇妙な話。
また、その表情を見ても老人の表情は死を感じさせるものがある一方で少女のそれは生き生きとしており、どうもここに”偽り”というテーマが含まれているようには思えません。
個人的には、この年老いた顔を落とし、その下から生気に満ちたうら若い乙女の顔が現れるというこの構図は連綿と続く命の輪廻を描いているように感じますし、この生命というテーマはカルロ氏もよく描いたものだったことを思うと、父子に受け継がれる芸術的価値観も垣間見えるように思います。
ともあれやはりただの横顔と比べるとこうしたテーマを含む作品は芸術性が高く、作者の現存品の希少性と相まって、大変に価値の高い逸品と言えましょう。
貝は巨大なコルネリアン。
色の分布は薄めの範囲が大きいものの、湾曲を見たところでは一番材で間違いないでしょう。
ヘアラインは裏面左上と中央、それから1時半位置に複数あるものの、分厚いコルネリアンの下であり表から見て目立つものではありません。
6時位置の縁にはチップがありますが、これもさほど大きな欠点とは言えない状態に収まっております。
ランクについてはまずカタログは確実なものとして、所蔵コレクションのテーマがカルロ氏を中心としたパルラーティ家であるならばそこに欲しい作品で、とりわけ資料的価値が高いマニア・コレクター向けの作品です。







