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アンティーク(推定19世紀中期) グエルチーノ画大判 ”フリュギアのシビュラ”
縦:約60mm
横:約50mm
作者:-(アンティーク)
QR:ミュージアムクオリティ
当ギャラリーでも久々となる、アポローンの巫女シビュラを描いた名品の入荷です。
古代ギリシャよりアポローン神殿にて神に仕えた巫女として知られるシビュラ。
日本語でいえば巫女というより預言者というほうがその職務にをよく表しているでしょうか。
信託を受け、人々にその言葉を伝える役目を果たしていた彼女たちですが、古来彼女らを描いた絵画や版画などには活版印刷の発明以前は大変に貴重なものであった書物や知識の象徴である天球儀を携えたものが描かれ、知恵の象徴として描かれていたことがうかがえます。
預言というのもただ思い付きを喋っていたわけでなく、例えば星を読んで暦を刻み、雲の動きや風を読んで天気を予測し、それによって洪水を予測するなどというような、体系的な知識に基づき人々に助言した一種の自然科学者であったのでしょう。
太陽神の預言者という立ち位置もそうしたシビュラの性質によったものだったのかもしれません。
19世紀には欧州の魔女の起源とも言われていたようで、この魔女というのも現代日本におけるオカルティックなイメージは正しくなく、実際は薬草学、医学、天文学などさまざまな実用的知識を有し人々を助けていた立場であったことを考えると、やはり彼女らのすぐれた知性は歴史的に注目され特筆すべきものであったことがうかがえます。
カメオのモデルとしてはなぜか現代では見ることがないモチーフであり、概ね19世紀のアンティークにのみその姿は見られます。
女性の活躍が目覚ましく、歴史的に見ても女性を尊重することがより一般的に浸透してきた現代において、女性のすぐれた知性を象徴するシビュラはもっと人気が出てもよさそうなものだと思いますが、宗教的な要素があるせいかはたまたシビュラという存在そのものがマイナーだからなのか…。
ともあれ、なかなか作品自体が見つからないシビュラのカメオを2点、今回ひさびさに買い付けてまいりました。
今回2点のシビュラはどちらもバロック期の画家による作品をモデルとしており、こちらはグエルチーノ作のフギュリアのシビュラになります。
元の絵の作者は以前公開した訳ありのミュージアムクオリティで公開したペルシアのシビュラと同じですが、こちらは版画だったようです。
モチーフとなったシビュラは天球儀を片手に思索にふける様子を見せており、その傍らのテーブルには書物、コンパス、墨壺とペン、そして自ら製図したと思われる紙。
先述の通り神殿に勤める巫女という身分でありながら、その姿はあきらかに天文学者のそれです。
19世紀当時、つけるカメオのモチーフには何かしらの意味があり、ただの飾りではなかったと言われておりますが、ほかのシビュラを描いた作品のなかでも特に学術的な雰囲気の濃い本作を身に着けたのはどんな人物だったのかと思わずこちらも物思いにふけってしまう作品といいましょうか。
もちろん彫りも大変に良い作品で、かつこのような大判の作品ですので、半端な立場の人物がおいそれと手にできる作品ではなかったでしょう。
素材はコルネリアンながらサルドニクスに匹敵する大きさと厚みで、その恵まれた素材を無駄なく生かした像は要所要所がしっかり厚みを残して高く彫られており、彫りの精密さと陰影とが印象的。
作品のバックグラウンド、絵画的要素、彫刻的要素、すべてが大変ハイレベルであり、まさしく19世紀の傑作というべき作品で、ただでさえ貴重なシビュラのカメオの中でもほかに例を見ない希少さも備えた逸品です。
貝はコルネリアン、色は控えめながら、湾曲の強さからみてもっとも殻口に近い部分の殻底付近の一番材を使用しています。
状態は良く、裏面をみると12時位置から3時位置と9時位置に向けて八の字状にヘアラインが入っておりますが、表からではほとんど視認することができず、鑑賞・実用ともに問題ない範囲に収まっております。
また、裏11時位置付近の縁にチップがあるも、こちらも表には達しておらず健全の範囲。
古い作品ながら表面にはほとんどナレがなく、全体的にかなり良好な状態を保っております。
横:約50mm
作者:-(アンティーク)
QR:ミュージアムクオリティ
当ギャラリーでも久々となる、アポローンの巫女シビュラを描いた名品の入荷です。
古代ギリシャよりアポローン神殿にて神に仕えた巫女として知られるシビュラ。
日本語でいえば巫女というより預言者というほうがその職務にをよく表しているでしょうか。
信託を受け、人々にその言葉を伝える役目を果たしていた彼女たちですが、古来彼女らを描いた絵画や版画などには活版印刷の発明以前は大変に貴重なものであった書物や知識の象徴である天球儀を携えたものが描かれ、知恵の象徴として描かれていたことがうかがえます。
預言というのもただ思い付きを喋っていたわけでなく、例えば星を読んで暦を刻み、雲の動きや風を読んで天気を予測し、それによって洪水を予測するなどというような、体系的な知識に基づき人々に助言した一種の自然科学者であったのでしょう。
太陽神の預言者という立ち位置もそうしたシビュラの性質によったものだったのかもしれません。
19世紀には欧州の魔女の起源とも言われていたようで、この魔女というのも現代日本におけるオカルティックなイメージは正しくなく、実際は薬草学、医学、天文学などさまざまな実用的知識を有し人々を助けていた立場であったことを考えると、やはり彼女らのすぐれた知性は歴史的に注目され特筆すべきものであったことがうかがえます。
カメオのモデルとしてはなぜか現代では見ることがないモチーフであり、概ね19世紀のアンティークにのみその姿は見られます。
女性の活躍が目覚ましく、歴史的に見ても女性を尊重することがより一般的に浸透してきた現代において、女性のすぐれた知性を象徴するシビュラはもっと人気が出てもよさそうなものだと思いますが、宗教的な要素があるせいかはたまたシビュラという存在そのものがマイナーだからなのか…。
ともあれ、なかなか作品自体が見つからないシビュラのカメオを2点、今回ひさびさに買い付けてまいりました。
今回2点のシビュラはどちらもバロック期の画家による作品をモデルとしており、こちらはグエルチーノ作のフギュリアのシビュラになります。
元の絵の作者は以前公開した訳ありのミュージアムクオリティで公開したペルシアのシビュラと同じですが、こちらは版画だったようです。
モチーフとなったシビュラは天球儀を片手に思索にふける様子を見せており、その傍らのテーブルには書物、コンパス、墨壺とペン、そして自ら製図したと思われる紙。
先述の通り神殿に勤める巫女という身分でありながら、その姿はあきらかに天文学者のそれです。
19世紀当時、つけるカメオのモチーフには何かしらの意味があり、ただの飾りではなかったと言われておりますが、ほかのシビュラを描いた作品のなかでも特に学術的な雰囲気の濃い本作を身に着けたのはどんな人物だったのかと思わずこちらも物思いにふけってしまう作品といいましょうか。
もちろん彫りも大変に良い作品で、かつこのような大判の作品ですので、半端な立場の人物がおいそれと手にできる作品ではなかったでしょう。
素材はコルネリアンながらサルドニクスに匹敵する大きさと厚みで、その恵まれた素材を無駄なく生かした像は要所要所がしっかり厚みを残して高く彫られており、彫りの精密さと陰影とが印象的。
作品のバックグラウンド、絵画的要素、彫刻的要素、すべてが大変ハイレベルであり、まさしく19世紀の傑作というべき作品で、ただでさえ貴重なシビュラのカメオの中でもほかに例を見ない希少さも備えた逸品です。
貝はコルネリアン、色は控えめながら、湾曲の強さからみてもっとも殻口に近い部分の殻底付近の一番材を使用しています。
状態は良く、裏面をみると12時位置から3時位置と9時位置に向けて八の字状にヘアラインが入っておりますが、表からではほとんど視認することができず、鑑賞・実用ともに問題ない範囲に収まっております。
また、裏11時位置付近の縁にチップがあるも、こちらも表には達しておらず健全の範囲。
古い作品ながら表面にはほとんどナレがなく、全体的にかなり良好な状態を保っております。