縦：約54mm（カメオ50mm）
横：約44mm（カメオ40mm）
作者：ジョヴァンニ・ノト
QR：ミュージアムクオリティ

作者についてのご紹介は、当ギャラリーのメニューよりBLOGをご覧いただき、記事の"作家01.ジョヴァンニ・ノト"をご覧ください。

イタリアのカメオ中興の祖、ジョヴァンニ・ノトによる単独制作の中でも代表的な名作”La Vague”の再入荷です。

たぐいまれな絵画センスと彫刻技術をもちながら日本では全く知られていなかったジョヴァンニ・ノト氏。
もちろん私もカメオに興味を持ち始めたころは全く知らず、最初にノト氏の作品を見たときは大変な衝撃を受けたものです。
いままでにみてきたものは何だったのか、ましてや日本のカメオ市場で巨匠の作だ傑作だともてはやされていたものは何だったのかと。
そして、そういう謳い文句に説得力を持たせるためか、こういった日本の宝飾業界が関与する前に存在した真の巨匠たちの存在を伏せておきながら伝統の芸術などと嘯く、看板ばかり大きな百貨店だの宝飾品店だのに不信感を抱いたのもこの時で、いってみれば私がこういったギャラリーを作る第一歩になったのがノト氏のカメオに出会ったことでした。
ノト氏の作品はどれも衝撃的な作品ばかりでしたが、その中でも特に異彩を放っており、自分の中にあったシェルカメオの常識を完全に打ち砕いたのが、この”La Vague”のカメオでした。

アカデミズムの巨匠のひとりとして知られるアレクサンドル・カバネルのヴィーナスの誕生を彷彿とさせるこのデザインの元となったのは、カバネルの2世紀前に活躍したフランスの画家ピエール・デュプイの”La Vague(仏語で”波”を意味する)”。
ノト氏はこの絵画を好み複数の制作を行っており、本作は私の見た4つ目の”La Vague”になります。
以前に取り扱った作品の写真はことあるごとに掲載しており、やはり”酒神の巫女”や”受胎告知”と並んで、カメオの常識を打ち破られたというコメントをよくいただき、今回の作品も背景の海原と押し寄せる波、それに乗る海のニンフ、それらを絶妙な高低・濃淡ですばらしく表現しております。

貝はコーヒー色の地としみのない白色の上質なサルドニクス。
サインは裏面下部にあり、まず作品の質から言って間違いなく真作ですが、位置・筆跡ともに単独制作に真作にのみ見られるものです。※
膝の部分は貝のこぶなので色交じりがあったりヘアラインが入りやすい部分ですが、しっかり白色で無傷です。
その他ヘアライン、欠けともに一切なしの完品になります。

フレームは14ctゴールド製。
古い風車式のキャッチですが、ピンはしっかり留まり、またペンダント金具も健全です。


※最近、国内でもノト氏の名が少しずつ知れ渡ってきたようで、古物市場でノト作と称する作品を見かけるようになってきました。
しかし、そう称するもので本物は3年ほど前にコンクシェルのコマーシャルピースを1度みたきりで、私が見てきた限りではそれ以外のノト作と称するカメオはすべて偽物です。
ほかの作者と違い、ノト作はサインの有無では真贋の判定ができません。
（ノト作のサインはコマーシャルピースと単独制作で4つの筆跡があり、サインがあってもノト氏の手は入っていないもの、無銘だが単独制作の真作に間違いないもの、G.APA銘のコマーシャルピースなどもある）
そもそも流通の経緯上、海外から真作を探してきて公開している当ギャラリーを除けば、日本国内に真作はほぼ無いといっていいほど稀なので、サインに頼らずカメオの価値が判断できるようになるまでは手を出されないのが良いでしょう。