Item
アンティーク(推定19世紀中期) ”地母神デメテル”
縦:約49mm
横:約39mm
作者:-(アンティーク)
QR:カタログクオリティ
状態の悪いものは取り扱わない当ギャラリーでは非常に希少なアンティークのラーヴァカメオの入荷です。
石を使ったカメオの中ではメノウに次いで一般的なのがラーヴァのカメオ。
ラーヴァは溶岩と訳されることが多いようですが、カメオの世界においてのラーヴァは溶岩石ではなく緻密な凝灰岩であり、ナポリ近郊のヴェスヴィオ火山のものがつかわれます。
ラーヴァがカメオに使われるようになった起源は、近世イギリス貴族の習慣であったグランドツアーといわれるものにあり、当時のイギリス貴族の子弟がドーヴァーからイタリアのナポリまでの各都市を旅をした際、その最終地点への到達の記念品として現地のラーヴァをカメオに加工したものを持ち帰ったことに端を発します。
この習慣は19世紀後半には一部の裕福な貴族にのみ受け継がれる形に縮小し、20世紀初期には完全に衰退してしまいましたが、そもそも宝飾品としては向かない特性を持つラーヴァは、この習慣がなくなるとともにカメオの材料とされることが少なくなり、20世紀半ばにはいったんその制作が途絶えてしまいました。
ごく近年、カメオがナポリの工芸品として目され、再びナポリ旅行のおみやげとして人気を博してきたことに伴ってラーヴァのカメオも復活を見、綺麗な現代のラーヴァのカメオも見られるようになってきたものの、20世紀半ばの作品がないために古いものはどれも100年以上前のものであることから、状態のいい良品はめったに見られない貴重なものとなっております。
従って状態の悪いカメオや質の悪いカメオは取り扱わないことを旨とする当ギャラリーにおいては入荷は極めてまれであり、宝飾品用のカメオとしては今回でやっと2つ目となります。
モチーフは麦穂をあしらった冠を戴いた典型的な姿で描かれた豊穣の女神デメテル。
ラーヴァのカメオはその起源がおみやげ物あるいは記念品であり、上流階級の宝飾品として作られたハードストーンカメオやシェルカメオに比べるとそもそも質があまりよくないものが大半を占めるため、良いものはそれだけで貴重品ですが、今回の作品はラーヴァカメオとしてはかなりハイレベルな作品です。
黄土色の柔らかな色合いとラーヴァ特有の滑らかな質感はほかの素材では味わえないもので、それに施された繊細な髪や女神の肌はやはり特筆すべきものがあります。
また、ほかの素材では色の層を用いて表現するものが一般的である一方で、ラーヴァはその制限のない厚みを用いた立体的な彫刻が見どころとなりますが、中級品では高さがある一方で彫りが粗雑・大味になるものも多く、上作たる本作は厚みをしっかり生かしつつ先述の通り繊細さを併せ持っている点で本作の価値を確かなものとしております。
もちろん全体的な造形も美しく、単純にカメオとしてみても価値ある逸品です。
素材はヴェスヴィオのラーヴァ。
典型的な色むらの無い黄土色のもので、気泡の無い肌をしております。
ラーヴァは気泡が無いのが基本でその点自体が特に優れているというわけではありませんが、ラーヴァと称しているもので気泡があるものは石膏によるイミテーション(素材が違うだけでなく石膏の場合型取りのため、カメオとしては贋作にあたる)が疑われるため、ここは重要なポイントです。
色に関しても石膏の贋作は着色しているため、古いものは色が落ちて本物のラーヴァのように均一な色になりません。
状態は大変良く、見た感じ麦の葉に小さく欠けがあるのみ。
わずかにナレがあるも、ディテールを損なうほどでなく、摩耗に弱いラーヴァとしてはかなりきれいな方です。
横:約39mm
作者:-(アンティーク)
QR:カタログクオリティ
状態の悪いものは取り扱わない当ギャラリーでは非常に希少なアンティークのラーヴァカメオの入荷です。
石を使ったカメオの中ではメノウに次いで一般的なのがラーヴァのカメオ。
ラーヴァは溶岩と訳されることが多いようですが、カメオの世界においてのラーヴァは溶岩石ではなく緻密な凝灰岩であり、ナポリ近郊のヴェスヴィオ火山のものがつかわれます。
ラーヴァがカメオに使われるようになった起源は、近世イギリス貴族の習慣であったグランドツアーといわれるものにあり、当時のイギリス貴族の子弟がドーヴァーからイタリアのナポリまでの各都市を旅をした際、その最終地点への到達の記念品として現地のラーヴァをカメオに加工したものを持ち帰ったことに端を発します。
この習慣は19世紀後半には一部の裕福な貴族にのみ受け継がれる形に縮小し、20世紀初期には完全に衰退してしまいましたが、そもそも宝飾品としては向かない特性を持つラーヴァは、この習慣がなくなるとともにカメオの材料とされることが少なくなり、20世紀半ばにはいったんその制作が途絶えてしまいました。
ごく近年、カメオがナポリの工芸品として目され、再びナポリ旅行のおみやげとして人気を博してきたことに伴ってラーヴァのカメオも復活を見、綺麗な現代のラーヴァのカメオも見られるようになってきたものの、20世紀半ばの作品がないために古いものはどれも100年以上前のものであることから、状態のいい良品はめったに見られない貴重なものとなっております。
従って状態の悪いカメオや質の悪いカメオは取り扱わないことを旨とする当ギャラリーにおいては入荷は極めてまれであり、宝飾品用のカメオとしては今回でやっと2つ目となります。
モチーフは麦穂をあしらった冠を戴いた典型的な姿で描かれた豊穣の女神デメテル。
ラーヴァのカメオはその起源がおみやげ物あるいは記念品であり、上流階級の宝飾品として作られたハードストーンカメオやシェルカメオに比べるとそもそも質があまりよくないものが大半を占めるため、良いものはそれだけで貴重品ですが、今回の作品はラーヴァカメオとしてはかなりハイレベルな作品です。
黄土色の柔らかな色合いとラーヴァ特有の滑らかな質感はほかの素材では味わえないもので、それに施された繊細な髪や女神の肌はやはり特筆すべきものがあります。
また、ほかの素材では色の層を用いて表現するものが一般的である一方で、ラーヴァはその制限のない厚みを用いた立体的な彫刻が見どころとなりますが、中級品では高さがある一方で彫りが粗雑・大味になるものも多く、上作たる本作は厚みをしっかり生かしつつ先述の通り繊細さを併せ持っている点で本作の価値を確かなものとしております。
もちろん全体的な造形も美しく、単純にカメオとしてみても価値ある逸品です。
素材はヴェスヴィオのラーヴァ。
典型的な色むらの無い黄土色のもので、気泡の無い肌をしております。
ラーヴァは気泡が無いのが基本でその点自体が特に優れているというわけではありませんが、ラーヴァと称しているもので気泡があるものは石膏によるイミテーション(素材が違うだけでなく石膏の場合型取りのため、カメオとしては贋作にあたる)が疑われるため、ここは重要なポイントです。
色に関しても石膏の贋作は着色しているため、古いものは色が落ちて本物のラーヴァのように均一な色になりません。
状態は大変良く、見た感じ麦の葉に小さく欠けがあるのみ。
わずかにナレがあるも、ディテールを損なうほどでなく、摩耗に弱いラーヴァとしてはかなりきれいな方です。