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アンティーク（推定19世紀後期） ”女神の後ろ影”
縦：約54mm
横：約44mm
作者：－（アンティーク）
QR：ミュージアムクオリティ
2021年も最後ということで、オーソドックスなカメオらしいカメオで締めていこうと思います。本年ラストは人気の19世紀のフローラの名品です。
古典的なカメオにおいてバッカンテと共に人気の高いモチーフである春と花の女神フローラ。
現代においてももちろん人気のあるモチーフですが、19世紀に比べて彫刻色の少なくなった現代だと描かれることが少なくなってきており、良いものを探そうとすると自然とアンティークの作品を求めることになることが多くなるカメオです。
当ギャラリーでもそうしたアンティークのフローラの良品は複数展示してきましたが、過去展示した作品とはまた違うデザイン、構図の逸品です。
まず目を引くのは、やはりフローラの見どころとなる頭の花冠。
朝顔や薔薇をあしらった冠は精巧を極めるのみならず、本作のような葉や花弁の薄さすらも表現して見せた作品は、当ギャラリーではアンティーク（推定19世紀中期） 箱付きアートピース ”花々の女神”以来になります。
その植物的な繊細さは服に飾られた木蔦にも表れておりますが、この木蔦はアンティノウスのバッカスの冠でみられるデザインであり、作者の卓越した美術への教養がうかがえます。
当時は現代ほど教育水準も高くなかったでしょうから、その中でこうしたデザインの見識を持ちつつこれだけの彫刻技術を持つとなると、いまの私たちが想像するよりも随分優れた名門の職人の手によるものなのでしょう。
一方で従来の作品に従うのみならず独自性のあるデザイン感覚とデッサン力も感じられるのが本作の構図で、こうした背中を向けたものでフローラの作品はあまり例がありません。
デザイン上フローラの亜種的な関係にあるバッカンテでは少し引きの構図でテュルソスの杖を携えブドウを掲げた姿で背を向けているものがあり、その構図を拡大した形のものとして（これもかなり特殊な構図ですが）アンティーク(推定19世紀) 絶品・古き大作”酒神の巫女”があるものの、フローラのミュージアムクオリティは当ギャラリーでは今回が初です。
そしてなにをかくそう、この向けられた背中は本作を鑑賞するうえで最も重要なポイントになっております。
ぱっと見では彫刻面に優れたほかのカメオと同様に見える本作ですが、うっすらと縦に入ったラインが肩甲骨であることに気づけば、一気に画面の奥行きを認識して、この作品の美しさが一段変わってみえるのです。
この背中の奥行きを認識できるかどうかは本作を評価するうえで大変重要なのですが、おそらくこれは見える方と見えない方がおり、これが見える方には※本作がほかのカメオと一線を画するものであることがお分かりになるかと思います。
女神像のカメオにおいて重要な顔立ちも文句のつけようがなく、総じて、これまでにない独自性の高い作品でありつつ、これまで展示してきた作品の中の最高品質に匹敵する作品であることは疑いようのない大変価値の高い逸品です。
※錯視を例にとればわかるように、本来人の脳は目で見たものを正確に認識するようにはできていない。複雑なものを正しく認識するのは相応に訓練が必要なれっきとした技術である。
例えば、絵の良し悪しが見えるというのは意外に高度な技術であり、良いものは誰が見てもわかるのであるが、悪いものは見る練度が低いと分からない（デッサンやバランスの崩れが脳に修正されてしまって認識することができない）のが普通である。
従って、基本的にこういったモノは誰が見ても同じように見ることができるわけではないのだが、今回のような比較的シンプルな例であれば特にそういった訓練を積んでいなくてもうまく認識できる方もおられると思う。
錯視の例でいえば有名な”The Dress”で、問題なく青と黒のドレスだと認識できる方も多くいるし、白と金に見えていたのに何かの拍子に青と黒にしか見えなくなることもあるのと同様に。
貝は濃い目のコーヒー色にコントラストよく乗った白色のサルドニクス。
経年の劣化はほぼ見られず褐色層のツヤや細やかなディテールも完全に残っております。
おそらくほとんど使用されずに仕舞い込まれてきた作なのでしょう。
ヘアラインは11時位置から9時位置にかけて数筋、これが表から浅い面にあるので目視できますが、見た目ほど大きな傷ではありません。
フレームは10ctローズゴールド製。
19世紀のものとしては珍しい品位の金で作られた重厚なケース型フレームで、カメオを固定する裏留めは真鍮板をカメオの湾曲に合わせて切り取り、金のケースにカシメて止めるという強固なつくりとなっております。
カメオ同様に使用感が少なく、100年以上経過したものとしては非常にきれいで、目立った傷は見当たりません。
ブローチ金具はＣ型クラスプ、ピンもしっかりしておりよく留まります。
写真には写っておりませんが、ピンに落下防止用のシリコンキャッチもつけて発送しますので、このままですぐに実用に供することができます。
横：約44mm
作者：－（アンティーク）
QR：ミュージアムクオリティ
2021年も最後ということで、オーソドックスなカメオらしいカメオで締めていこうと思います。本年ラストは人気の19世紀のフローラの名品です。
古典的なカメオにおいてバッカンテと共に人気の高いモチーフである春と花の女神フローラ。
現代においてももちろん人気のあるモチーフですが、19世紀に比べて彫刻色の少なくなった現代だと描かれることが少なくなってきており、良いものを探そうとすると自然とアンティークの作品を求めることになることが多くなるカメオです。
当ギャラリーでもそうしたアンティークのフローラの良品は複数展示してきましたが、過去展示した作品とはまた違うデザイン、構図の逸品です。
まず目を引くのは、やはりフローラの見どころとなる頭の花冠。
朝顔や薔薇をあしらった冠は精巧を極めるのみならず、本作のような葉や花弁の薄さすらも表現して見せた作品は、当ギャラリーではアンティーク（推定19世紀中期） 箱付きアートピース ”花々の女神”以来になります。
その植物的な繊細さは服に飾られた木蔦にも表れておりますが、この木蔦はアンティノウスのバッカスの冠でみられるデザインであり、作者の卓越した美術への教養がうかがえます。
当時は現代ほど教育水準も高くなかったでしょうから、その中でこうしたデザインの見識を持ちつつこれだけの彫刻技術を持つとなると、いまの私たちが想像するよりも随分優れた名門の職人の手によるものなのでしょう。
一方で従来の作品に従うのみならず独自性のあるデザイン感覚とデッサン力も感じられるのが本作の構図で、こうした背中を向けたものでフローラの作品はあまり例がありません。
デザイン上フローラの亜種的な関係にあるバッカンテでは少し引きの構図でテュルソスの杖を携えブドウを掲げた姿で背を向けているものがあり、その構図を拡大した形のものとして（これもかなり特殊な構図ですが）アンティーク(推定19世紀) 絶品・古き大作”酒神の巫女”があるものの、フローラのミュージアムクオリティは当ギャラリーでは今回が初です。
そしてなにをかくそう、この向けられた背中は本作を鑑賞するうえで最も重要なポイントになっております。
ぱっと見では彫刻面に優れたほかのカメオと同様に見える本作ですが、うっすらと縦に入ったラインが肩甲骨であることに気づけば、一気に画面の奥行きを認識して、この作品の美しさが一段変わってみえるのです。
この背中の奥行きを認識できるかどうかは本作を評価するうえで大変重要なのですが、おそらくこれは見える方と見えない方がおり、これが見える方には※本作がほかのカメオと一線を画するものであることがお分かりになるかと思います。
女神像のカメオにおいて重要な顔立ちも文句のつけようがなく、総じて、これまでにない独自性の高い作品でありつつ、これまで展示してきた作品の中の最高品質に匹敵する作品であることは疑いようのない大変価値の高い逸品です。
※錯視を例にとればわかるように、本来人の脳は目で見たものを正確に認識するようにはできていない。複雑なものを正しく認識するのは相応に訓練が必要なれっきとした技術である。
例えば、絵の良し悪しが見えるというのは意外に高度な技術であり、良いものは誰が見てもわかるのであるが、悪いものは見る練度が低いと分からない（デッサンやバランスの崩れが脳に修正されてしまって認識することができない）のが普通である。
従って、基本的にこういったモノは誰が見ても同じように見ることができるわけではないのだが、今回のような比較的シンプルな例であれば特にそういった訓練を積んでいなくてもうまく認識できる方もおられると思う。
錯視の例でいえば有名な”The Dress”で、問題なく青と黒のドレスだと認識できる方も多くいるし、白と金に見えていたのに何かの拍子に青と黒にしか見えなくなることもあるのと同様に。
貝は濃い目のコーヒー色にコントラストよく乗った白色のサルドニクス。
経年の劣化はほぼ見られず褐色層のツヤや細やかなディテールも完全に残っております。
おそらくほとんど使用されずに仕舞い込まれてきた作なのでしょう。
ヘアラインは11時位置から9時位置にかけて数筋、これが表から浅い面にあるので目視できますが、見た目ほど大きな傷ではありません。
フレームは10ctローズゴールド製。
19世紀のものとしては珍しい品位の金で作られた重厚なケース型フレームで、カメオを固定する裏留めは真鍮板をカメオの湾曲に合わせて切り取り、金のケースにカシメて止めるという強固なつくりとなっております。
カメオ同様に使用感が少なく、100年以上経過したものとしては非常にきれいで、目立った傷は見当たりません。
ブローチ金具はＣ型クラスプ、ピンもしっかりしておりよく留まります。
写真には写っておりませんが、ピンに落下防止用のシリコンキャッチもつけて発送しますので、このままですぐに実用に供することができます。
