Item
アンティーク(推定1900年頃) デッドストック ”絹髪のフローラ”
縦:約40mm(カメオ35mm)
横:約35mm(カメオ30mm)
作者:-(アンティーク)
QR:アーティスティッククオリティ
アンティークらしい繊細な彫りが美しいフローラのカメオの入荷です。
古典的なカメオにおいてバッカンテと共に人気の高いモチーフである春と花の女神フローラ。
現代においてももちろん人気のあるモチーフですが、19世紀に比べて彫刻色の少なくなった現代だと描かれることが少なくなってきており、良いものを探そうとすると自然とアンティークの作品を求めることになることが多くなるカメオです。
今回の作品は年代としては20世紀初期のものと思われるアンティークのフローラのカメオ。
彫りやデザインは19世紀の流れをくむもので、ギリシャ的なまっすぐ通った鼻筋や飾りのないシンプルな構図、現代の彫り筋とはことなる細かな線彫りが特徴的で、花の彫りの精密さなどを見る限り作者はかなり腕の立つ人物だったことがうかがえます。
また本作がちょっと他の作品より面白いといえる点として、細かく彫り出された髪や花冠がやわらかなシルク様の光沢をもっていることがあり、作品を手に取って光を当てる角度を変えながら見ると、柔らかな白い光沢が髪の筋にそって走るのを見ることができます。
全体的には名匠の手によるよく手の込んだ作品で見どころもある一方、ちょっと顔つきにくせがあるかなというところと、貝の厚みの使い方に少しアンバランスな点があるのが惜しいところでしょうか。
その代わりといってはなんですが、後述します通り年代のわりに妙に状態が良いので、きれいなアンティークカメオブローチをお探しの方にオススメしたい一品です。
貝は濃い目のカフェオレ色の地にくっきりとした白色層の乗ったサードニクス。
色別れのいい貝でバリっと分かれたコントラストが美しい上質な貝です。
タイトルにデッドストックとあるように状態が非常によく、像に一切摩耗が無いのはもちろん、褐色の背景層もきれいに磨かれた制作時のツヤが残っておりスレや傷もなし、後述しますフレームの年代とあいまって現代に作られたような印象※さえあります。
裏面1時位置と6時位置に薄いヘアライン、それからこれは精査しても気づかない人の方が多いかと思いますが、表から見て8時位置の褐色層に極めて薄いヘアラインが数筋あるものの、いずれも鑑賞・実用上気になることは無いでしょう。
※この時代、とっくに現代に通じるモダンカメオの時代が到来しており、本作にもみられる筋彫りの技術は失伝していて、私の知る限りこの時期再現した作家はいないし、2021年現在もこの技術は復活していない。
彫りの様式の違いは、ちょうどこの時活躍しており現在も無数に作品が現存しているペルニーチェ兄弟の共同銘時のカメオと見比べれば明らか。
またこの時期すでに作者が自分の銘を作品に刻むのが常態であり、本作にはそれが無いこともあわせて現代のカメオと様式が違いすぎるといえ、結論として本作が現代の復刻品である可能性は考えられない。
フレームは925シルバー製。
通常古いカメオのフレームとして使われるのは800‰の銀であることが多く925‰の物を見ることは珍しいです。
また、本作はイギリス製のフレームで検品はシェフィールドで1988年に受けられたものであることがホールマークから読み取れますが、この時期日本ではすでに通常の風車式はおろか針先カバー付きの風車式も廃れ始めて鉄砲式が普及し始めている頃で、イタリアなどでも現代的な装備になっていることを考えると、本作は異様に古風な作りをしているといえます。
カメオが発見されたのち宝飾品として加工するにあたって、あえて古い形式で作ったものなのか、あるいは見た感じハンドメイド感があり大企業の宝飾品というよりも町のシルバースミスの作といった感じですので、何らかの理由で工房にあった古いパーツを使ったものなのか。
カメオの宝飾品においてフレームは副次的なものながら、ちょっとおもしろい謎のあるフレームです。
横:約35mm(カメオ30mm)
作者:-(アンティーク)
QR:アーティスティッククオリティ
アンティークらしい繊細な彫りが美しいフローラのカメオの入荷です。
古典的なカメオにおいてバッカンテと共に人気の高いモチーフである春と花の女神フローラ。
現代においてももちろん人気のあるモチーフですが、19世紀に比べて彫刻色の少なくなった現代だと描かれることが少なくなってきており、良いものを探そうとすると自然とアンティークの作品を求めることになることが多くなるカメオです。
今回の作品は年代としては20世紀初期のものと思われるアンティークのフローラのカメオ。
彫りやデザインは19世紀の流れをくむもので、ギリシャ的なまっすぐ通った鼻筋や飾りのないシンプルな構図、現代の彫り筋とはことなる細かな線彫りが特徴的で、花の彫りの精密さなどを見る限り作者はかなり腕の立つ人物だったことがうかがえます。
また本作がちょっと他の作品より面白いといえる点として、細かく彫り出された髪や花冠がやわらかなシルク様の光沢をもっていることがあり、作品を手に取って光を当てる角度を変えながら見ると、柔らかな白い光沢が髪の筋にそって走るのを見ることができます。
全体的には名匠の手によるよく手の込んだ作品で見どころもある一方、ちょっと顔つきにくせがあるかなというところと、貝の厚みの使い方に少しアンバランスな点があるのが惜しいところでしょうか。
その代わりといってはなんですが、後述します通り年代のわりに妙に状態が良いので、きれいなアンティークカメオブローチをお探しの方にオススメしたい一品です。
貝は濃い目のカフェオレ色の地にくっきりとした白色層の乗ったサードニクス。
色別れのいい貝でバリっと分かれたコントラストが美しい上質な貝です。
タイトルにデッドストックとあるように状態が非常によく、像に一切摩耗が無いのはもちろん、褐色の背景層もきれいに磨かれた制作時のツヤが残っておりスレや傷もなし、後述しますフレームの年代とあいまって現代に作られたような印象※さえあります。
裏面1時位置と6時位置に薄いヘアライン、それからこれは精査しても気づかない人の方が多いかと思いますが、表から見て8時位置の褐色層に極めて薄いヘアラインが数筋あるものの、いずれも鑑賞・実用上気になることは無いでしょう。
※この時代、とっくに現代に通じるモダンカメオの時代が到来しており、本作にもみられる筋彫りの技術は失伝していて、私の知る限りこの時期再現した作家はいないし、2021年現在もこの技術は復活していない。
彫りの様式の違いは、ちょうどこの時活躍しており現在も無数に作品が現存しているペルニーチェ兄弟の共同銘時のカメオと見比べれば明らか。
またこの時期すでに作者が自分の銘を作品に刻むのが常態であり、本作にはそれが無いこともあわせて現代のカメオと様式が違いすぎるといえ、結論として本作が現代の復刻品である可能性は考えられない。
フレームは925シルバー製。
通常古いカメオのフレームとして使われるのは800‰の銀であることが多く925‰の物を見ることは珍しいです。
また、本作はイギリス製のフレームで検品はシェフィールドで1988年に受けられたものであることがホールマークから読み取れますが、この時期日本ではすでに通常の風車式はおろか針先カバー付きの風車式も廃れ始めて鉄砲式が普及し始めている頃で、イタリアなどでも現代的な装備になっていることを考えると、本作は異様に古風な作りをしているといえます。
カメオが発見されたのち宝飾品として加工するにあたって、あえて古い形式で作ったものなのか、あるいは見た感じハンドメイド感があり大企業の宝飾品というよりも町のシルバースミスの作といった感じですので、何らかの理由で工房にあった古いパーツを使ったものなのか。
カメオの宝飾品においてフレームは副次的なものながら、ちょっとおもしろい謎のあるフレームです。