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フェルディナンド・セルペ作 ”街を望む”
縦:約38mm
横:約50mm
作者:フェルディナンド・セルペ
QR:カタログクオリティ
なかなか手に入らないモダンカメオの風景物において随一の名匠フェルディナンド・セルペ作の入荷です。
セルペ氏は齢50を過ぎたばかりという年齢的には中堅の作者ですが、若い頃から卓越した技術と他の作家にはない独自性とを確立した数少ない職人です。
こと風景物においてはジョヴァンニ・アメンドーラ氏以来の名手であり、美しい直線と貝の濃淡を巧妙に活かした技法はカメオに絵としての側面を強く付加したもの(精緻な直線と色の濃淡で空気遠近を示した優れた風景物は古くジョヴァンニ・ノト氏の作品からみられるが、近景を彫刻、遠景を絵画的表現で分けたノト氏に対してセルペ氏は全体的に絵画的表現が強い)で、一つの新時代を作ったといったもいいでしょう。
チーロ・オリス・マラッツォ氏やラファエレ・ヴィティエロ氏の彫る水影の素晴らしいヴェネツィアの風景物などは明らかにセルペ氏の技法に影響を受けたもので、他にも後に続く優れた風景物の作者たちに少なからず影響を与えており、この点から見てもその存在の重要性が分かります。
カメオの彫刻は教職の傍らであると言われており作品数はさほど多くなく、近年は滅多に見ることがありませんが(セルペ作とみればフェルディナンド作と称して販売しているのをみるが弟のウンベルト作であることも少なくない。カメオ作者は同姓の人物が非常に多いので、姓で安易に判定しないよう気を付けたい)同氏の作品はシェルカメオに詳しくない人が見ても優れた作品だということが分かるレベルにあり、近い将来確実に巨匠として名を馳せることになるでしょう。
個人的にも現代の作者の中で最注目のひとりであり、その技術力や傾向からジョヴァンニ・ノト氏以降のモダンカメオの時代においてもっともノト氏に近いのがフェルディナンド・セルペ氏であるとみております。
今回のお品物はセルペ氏の作風をよくよく表した古物市場においては非常に新しい逸品。
セルペ氏と言えば近年の風景物の作者として非常に名高く、その巧みな色使いとメリハリのある彫刻で表現される画面を作る現代随一の名匠のひとり。
貝の濃淡を使用した彫刻というのは19世紀にはみられなかったもので20世紀半ば、カメオの世界の中興の祖たる巨匠ジョヴァンニ・ノト氏によって完成されました。
同氏の手法、すなわち手前にくる画面内の主役は厚く・高く彫り上げ、近景は中程度の厚みで、そして遠景をうっすらと絶妙の力加減で彫り残して表現する方法はカメオの常識を一新し、いまなお多くの現職の作家たちがそのノト作を目標の一つとしておりますが、これを高いレベルで再現しうる作者はかなり限られます。
うっすらとした遠景を彫るというだけならば比較的多くの作者が可能としており、それが21世紀のモダンカメオのスタンダードともなっておりますが、逆に貝の厚みをしっかり残した立体的な彫りというものが弱くなっている傾向にあり、セルペ氏はそうした中でノト氏と同様厚みを残しつつ濃淡の表現にも秀でた先述するところのかなり限られた作者のひとりとなっております。
とはいえ、以前からそれができたのかといえばそういうわけでもないようで、ノト作の絶品を彷彿とさせるような陰影のコントラストと絶妙な濃淡を見せる作品は、セルペ作のなかでも一部のみ。
特に出来の良しあしがはっきり分かれるのは色の均一さで、一定すべき部位の色が均一でムラが無いものが最上となるわけですが、これがなかなか見つからないのです。
その点で、本作は画像をご覧になっていただければお分かりのように遠景のそれぞれの色合いは完璧といえる美しさ。
手前の柱とアーチはくっきりとしつつもやはり陰影・濃淡ともに余計な色むらが無く仕上り、そして小さく映り込む人物には貝の瘤をあてて最も高く表現、この圧倒的な風景を描く画面の中にあって、決して背景に溶け込むことなくその存在を主張する構成となっております。
現在セルペ氏の作品はモダンカメオの中ではかなり高価で取引される部類にありますが、やはりまだまだ出来の良しあしまで考慮して価格が決まっている状態とはいいがたく、中には不出来な作品が異様に高価で取引されたりもしている現状で、本作はセルペ作のなかでも一級の作品であり、セルペ作のコレクションとして恥じることのない逸品です。
貝はコーヒー色の地に、濃淡を表現するのに必要な中間層を挟んでしっかりした白色の層をのせたもの。
古物ですが状態は完璧、ヘアラインや保管の欠けは一切ない完品で、本作の希少性をさらに高めるものとなっております。(表3時位置の縁に極小の欠けがあるが縁に彫刻刀が当たった跡があり、制作時のものである)
横:約50mm
作者:フェルディナンド・セルペ
QR:カタログクオリティ
なかなか手に入らないモダンカメオの風景物において随一の名匠フェルディナンド・セルペ作の入荷です。
セルペ氏は齢50を過ぎたばかりという年齢的には中堅の作者ですが、若い頃から卓越した技術と他の作家にはない独自性とを確立した数少ない職人です。
こと風景物においてはジョヴァンニ・アメンドーラ氏以来の名手であり、美しい直線と貝の濃淡を巧妙に活かした技法はカメオに絵としての側面を強く付加したもの(精緻な直線と色の濃淡で空気遠近を示した優れた風景物は古くジョヴァンニ・ノト氏の作品からみられるが、近景を彫刻、遠景を絵画的表現で分けたノト氏に対してセルペ氏は全体的に絵画的表現が強い)で、一つの新時代を作ったといったもいいでしょう。
チーロ・オリス・マラッツォ氏やラファエレ・ヴィティエロ氏の彫る水影の素晴らしいヴェネツィアの風景物などは明らかにセルペ氏の技法に影響を受けたもので、他にも後に続く優れた風景物の作者たちに少なからず影響を与えており、この点から見てもその存在の重要性が分かります。
カメオの彫刻は教職の傍らであると言われており作品数はさほど多くなく、近年は滅多に見ることがありませんが(セルペ作とみればフェルディナンド作と称して販売しているのをみるが弟のウンベルト作であることも少なくない。カメオ作者は同姓の人物が非常に多いので、姓で安易に判定しないよう気を付けたい)同氏の作品はシェルカメオに詳しくない人が見ても優れた作品だということが分かるレベルにあり、近い将来確実に巨匠として名を馳せることになるでしょう。
個人的にも現代の作者の中で最注目のひとりであり、その技術力や傾向からジョヴァンニ・ノト氏以降のモダンカメオの時代においてもっともノト氏に近いのがフェルディナンド・セルペ氏であるとみております。
今回のお品物はセルペ氏の作風をよくよく表した古物市場においては非常に新しい逸品。
セルペ氏と言えば近年の風景物の作者として非常に名高く、その巧みな色使いとメリハリのある彫刻で表現される画面を作る現代随一の名匠のひとり。
貝の濃淡を使用した彫刻というのは19世紀にはみられなかったもので20世紀半ば、カメオの世界の中興の祖たる巨匠ジョヴァンニ・ノト氏によって完成されました。
同氏の手法、すなわち手前にくる画面内の主役は厚く・高く彫り上げ、近景は中程度の厚みで、そして遠景をうっすらと絶妙の力加減で彫り残して表現する方法はカメオの常識を一新し、いまなお多くの現職の作家たちがそのノト作を目標の一つとしておりますが、これを高いレベルで再現しうる作者はかなり限られます。
うっすらとした遠景を彫るというだけならば比較的多くの作者が可能としており、それが21世紀のモダンカメオのスタンダードともなっておりますが、逆に貝の厚みをしっかり残した立体的な彫りというものが弱くなっている傾向にあり、セルペ氏はそうした中でノト氏と同様厚みを残しつつ濃淡の表現にも秀でた先述するところのかなり限られた作者のひとりとなっております。
とはいえ、以前からそれができたのかといえばそういうわけでもないようで、ノト作の絶品を彷彿とさせるような陰影のコントラストと絶妙な濃淡を見せる作品は、セルペ作のなかでも一部のみ。
特に出来の良しあしがはっきり分かれるのは色の均一さで、一定すべき部位の色が均一でムラが無いものが最上となるわけですが、これがなかなか見つからないのです。
その点で、本作は画像をご覧になっていただければお分かりのように遠景のそれぞれの色合いは完璧といえる美しさ。
手前の柱とアーチはくっきりとしつつもやはり陰影・濃淡ともに余計な色むらが無く仕上り、そして小さく映り込む人物には貝の瘤をあてて最も高く表現、この圧倒的な風景を描く画面の中にあって、決して背景に溶け込むことなくその存在を主張する構成となっております。
現在セルペ氏の作品はモダンカメオの中ではかなり高価で取引される部類にありますが、やはりまだまだ出来の良しあしまで考慮して価格が決まっている状態とはいいがたく、中には不出来な作品が異様に高価で取引されたりもしている現状で、本作はセルペ作のなかでも一級の作品であり、セルペ作のコレクションとして恥じることのない逸品です。
貝はコーヒー色の地に、濃淡を表現するのに必要な中間層を挟んでしっかりした白色の層をのせたもの。
古物ですが状態は完璧、ヘアラインや保管の欠けは一切ない完品で、本作の希少性をさらに高めるものとなっております。(表3時位置の縁に極小の欠けがあるが縁に彫刻刀が当たった跡があり、制作時のものである)