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アンティーク(推定19世紀後半) 訳あり品 ”小椅子の聖母”
縦:約58mm(カメオ55mm)
横:約47mm(カメオ44mm)
作者:-(アンティーク)
QR:アーティスティッククオリティ
モチーフ、彫刻ともに素晴らしくも、状態面で訳ありな古名品のカメオの入荷です。
絵画モチーフが現在ほど多くなかった19世紀当時、カメオ化された数少ない絵画でありつつ人気が高かった、ラファエロ・サンティ作”小椅子の聖母”。
聖母マリアと幼いキリスト、そして洗礼者ヨハネを描いたもので、この3人の組み合わせは”小椅子の聖母”に限らず当時人気を博したモチーフでした。
現在は絵画モチーフのカメオが増えつつもその市場の中心が日本にあることでキリスト教に関連するカメオが作られることは稀となりましたが、19世紀当時はカメオの題材となる絵画といえばこの3人を描いた”小椅子の聖母”、そして同じくラファエロ作の”美しき女庭師”が多かったようです。
今回の作品はこれまでに見てきた小椅子の聖母のカメオのなかでも出来が良く、優れたバランスとディテールを持っており、小椅子の聖母では初めて買い付けにいたった作品です。
まず、画面の関係でヨハネがやや高い位置にいるものの全体的な再現性の高さが目を引きます。
また、小椅子の聖母に関しては椅子の部分に作者の技量が出やすく、本作はこの部分が画面に対して垂直に立ち、かつきれいな対称を描く幾何学的に美しい描写となっている点にも、本作の作者の技量の高さがよく表れております。
細部につきましても細かなディテールは多くが失われてしまっている一方で残った部分は写実的にまとまり、マリアのストールの模様やフリンジなど繊細な表現も見事です。
今回の作品は摩耗を考慮してアーティスティッククオリティ、健全であれば間違いなくミュージアムクオリティとなったでしょう。
貝はコーヒー色の地にくっきりとした白色のサードニクス。
地色にはグラデーションがありますが、色の薄い部位を画面下に、濃い部位を上に持ってくることで、素材のコントラストを最大に生かす構成となっております。
細かなヘアラインが画面上部に数筋、それから画面左、マリアの肩から上に向けて縦に薄ヒビがはいりますが、幸い強度面に問題は出ないレベルです。
それよりも問題となるのはやはり見ての通り摩耗の大きさ、そしてもちろんこれが訳ありたる理由です。
多少の摩耗であればさほど問題としないところですが、本作に関しては人物の頭部が最も摩耗が強い点で大きくマイナス。
先述の通りうっすらと残ったディテールからみても本来であれば疑いようのないミュージアムクオリティとなる作品ですが、今回はこの点を鑑みて万全の状態で想定される時価の5割弱の価格となっております。
フレームは材質不明ながら、見た感じでは銅に金メッキの様子。
ただ、本作のフレームのつくりは手がかかっている方であり、これだけのつくりをするのに素材に銅を使うかということと、フレームはオリジナルに間違いないようですが、カメオの品質とフレームの品質に一定の比例関係が見られるのが特徴の19世紀のカメオブローチで、このカメオに銅のフレームというのはいささか奇妙な感じがします。
また、長期にわたり実用されていたにもかかわらず緑青が一切見られないこと、それに私の方で簡単に薬品テストをしたところやはり緑青を生じなかったことからすると、地金は銅ではなくローズゴールドかもしれません。
なお、この点に関しては確証がもてないため、現状金としての価値を考えずに時価考慮しております。
留め具は19世紀に典型的なC型クラスプ、現状でもしっかり留まり、まだまだ現役のブローチです。
横:約47mm(カメオ44mm)
作者:-(アンティーク)
QR:アーティスティッククオリティ
モチーフ、彫刻ともに素晴らしくも、状態面で訳ありな古名品のカメオの入荷です。
絵画モチーフが現在ほど多くなかった19世紀当時、カメオ化された数少ない絵画でありつつ人気が高かった、ラファエロ・サンティ作”小椅子の聖母”。
聖母マリアと幼いキリスト、そして洗礼者ヨハネを描いたもので、この3人の組み合わせは”小椅子の聖母”に限らず当時人気を博したモチーフでした。
現在は絵画モチーフのカメオが増えつつもその市場の中心が日本にあることでキリスト教に関連するカメオが作られることは稀となりましたが、19世紀当時はカメオの題材となる絵画といえばこの3人を描いた”小椅子の聖母”、そして同じくラファエロ作の”美しき女庭師”が多かったようです。
今回の作品はこれまでに見てきた小椅子の聖母のカメオのなかでも出来が良く、優れたバランスとディテールを持っており、小椅子の聖母では初めて買い付けにいたった作品です。
まず、画面の関係でヨハネがやや高い位置にいるものの全体的な再現性の高さが目を引きます。
また、小椅子の聖母に関しては椅子の部分に作者の技量が出やすく、本作はこの部分が画面に対して垂直に立ち、かつきれいな対称を描く幾何学的に美しい描写となっている点にも、本作の作者の技量の高さがよく表れております。
細部につきましても細かなディテールは多くが失われてしまっている一方で残った部分は写実的にまとまり、マリアのストールの模様やフリンジなど繊細な表現も見事です。
今回の作品は摩耗を考慮してアーティスティッククオリティ、健全であれば間違いなくミュージアムクオリティとなったでしょう。
貝はコーヒー色の地にくっきりとした白色のサードニクス。
地色にはグラデーションがありますが、色の薄い部位を画面下に、濃い部位を上に持ってくることで、素材のコントラストを最大に生かす構成となっております。
細かなヘアラインが画面上部に数筋、それから画面左、マリアの肩から上に向けて縦に薄ヒビがはいりますが、幸い強度面に問題は出ないレベルです。
それよりも問題となるのはやはり見ての通り摩耗の大きさ、そしてもちろんこれが訳ありたる理由です。
多少の摩耗であればさほど問題としないところですが、本作に関しては人物の頭部が最も摩耗が強い点で大きくマイナス。
先述の通りうっすらと残ったディテールからみても本来であれば疑いようのないミュージアムクオリティとなる作品ですが、今回はこの点を鑑みて万全の状態で想定される時価の5割弱の価格となっております。
フレームは材質不明ながら、見た感じでは銅に金メッキの様子。
ただ、本作のフレームのつくりは手がかかっている方であり、これだけのつくりをするのに素材に銅を使うかということと、フレームはオリジナルに間違いないようですが、カメオの品質とフレームの品質に一定の比例関係が見られるのが特徴の19世紀のカメオブローチで、このカメオに銅のフレームというのはいささか奇妙な感じがします。
また、長期にわたり実用されていたにもかかわらず緑青が一切見られないこと、それに私の方で簡単に薬品テストをしたところやはり緑青を生じなかったことからすると、地金は銅ではなくローズゴールドかもしれません。
なお、この点に関しては確証がもてないため、現状金としての価値を考えずに時価考慮しております。
留め具は19世紀に典型的なC型クラスプ、現状でもしっかり留まり、まだまだ現役のブローチです。