Item
ジョヴァンニ・ノト作 ブーシェ画 ”La cage”
縦:約47mm
横:約47mm
作者:ジョヴァンニ・ノト
QR:カタログクオリティ+
作者についてのご紹介は、当ギャラリーのメニューよりBLOGをご覧いただき、記事の"作家01.ジョヴァンニ・ノト"をご覧ください。
かなり久しぶりの入荷となります、カメオ中興の祖ジョヴァンニ・ノト作の名画カメオの入荷です。
近代フランスのロココ絵画の巨匠、フランソワ・ブーシェ。
日本においてロココ絵画といえば”ぶらんこ”で有名なフラゴナールですが、カメオの世界においてはノト氏がブーシェの絵画を多くカメオ化した影響があり、現在も人気のモチーフの一つとなっております。
今回のモチーフとなった絵画は”La cage(鳥かご)”。
恋愛の隠喩の一つとして好んで描かれてきたもので、ロココ絵画においてはブーシェに限らず多くの作品が見られます。
カメオの題材となったものも多く、当ギャラリーにおいてはパスクアーレ・オッタヴィアーノ作のニコラ・ランクレ画の”La cage”が展示されておりますが、それらの鳥かごを描いたカメオの中でもブーシェ画の本作は特によく目にするものといえましょう。
といいますのも、本モチーフはノト氏が美術監督を務めたジョヴァンニ・アパ工房にて、彼の弟子たちの手によって多く模倣作が作られ、それらはナポリ旅行の土産物として日本にも数多く入ってきたので目する機会が多いためです。
本作はそれらアパ工房で作られてきた”La cage”の手本でありオリジナルともいえる逸品。
弟子たちの作品も当時の基準からすれば決してレベルが低いわけでなく、むしろ80年代前後に大量に日本に入ってきたまさにおみやげ物レベルのカメオに比べればかなり精密な作品ながら、20世紀最高の手を持っていたノト氏による真作はそれらのさらにはるか上を行く仕上りです。
私も模刻作品は複数点みておりますが、やはりこの画面内に”居る”感じは本物ならでは。
遠景ながらにふたりの顔立ちは美しく、貝の厚みを巧みに用いた立体的な人体と、ほかの追随を許さないディテールの彫り込み、そして絵画をカメオとしてトリミングする際の完璧な構図バランス等々、まさに稀代の巨匠であったノト作といったところでしょう。
なお、私の知る限りノト作の”La cage”は本作だけでなく、ほかにも複数の作例が知られており、本作よりもさらに進歩がみられる素晴らしい作品も確認されております。
もちろん先述の弟子によって多数模倣作が作られた事実と、本作より上の作品が存在していることを考慮して、本作がノト作の真作であるか否かを十分に検討しており、弟子たちによって作られた作品のクオリティと本作のクオリティの差があまりに大きい事(全体的に全然違うが、幾何学的な要素があるため腕の差が出やすい鳥籠は、真作と模倣作で特に違いが分かりやすい)や、貝の厚みを有効に利用するノト氏の真作に見られる特殊な技法が本作にもみられること、裏面のサインの書式も模倣作に刻まれるものでなくノト作の絵画カメオに特有のものであることから、本作が間違いなくノト作の”La cage”であると判断、ただし年代の古いものであると鑑定しております。
貝は濃いコーヒー色の地にくっきりとした美しい白色を持った最上質のサードニクス。
貝は白色層の色むらなどもなく綺麗ながら、裏面11時位置から下に向けて走る薄ヒビがあるのが残念なところ。
ヘアラインは少なく、裏1時位置からごく薄いものが2,3入るのみです。
極めて貴重なノト作の絵画カメオとあって、本来であればミュージアムクラス一択なのですが、先述の通り本作は後年のものとみられるさらに上質な作品が存在しているのが確認できていることと、この1時位置の薄ヒビを考慮し、あえてカタログ+として取り扱っております。
横:約47mm
作者:ジョヴァンニ・ノト
QR:カタログクオリティ+
作者についてのご紹介は、当ギャラリーのメニューよりBLOGをご覧いただき、記事の"作家01.ジョヴァンニ・ノト"をご覧ください。
かなり久しぶりの入荷となります、カメオ中興の祖ジョヴァンニ・ノト作の名画カメオの入荷です。
近代フランスのロココ絵画の巨匠、フランソワ・ブーシェ。
日本においてロココ絵画といえば”ぶらんこ”で有名なフラゴナールですが、カメオの世界においてはノト氏がブーシェの絵画を多くカメオ化した影響があり、現在も人気のモチーフの一つとなっております。
今回のモチーフとなった絵画は”La cage(鳥かご)”。
恋愛の隠喩の一つとして好んで描かれてきたもので、ロココ絵画においてはブーシェに限らず多くの作品が見られます。
カメオの題材となったものも多く、当ギャラリーにおいてはパスクアーレ・オッタヴィアーノ作のニコラ・ランクレ画の”La cage”が展示されておりますが、それらの鳥かごを描いたカメオの中でもブーシェ画の本作は特によく目にするものといえましょう。
といいますのも、本モチーフはノト氏が美術監督を務めたジョヴァンニ・アパ工房にて、彼の弟子たちの手によって多く模倣作が作られ、それらはナポリ旅行の土産物として日本にも数多く入ってきたので目する機会が多いためです。
本作はそれらアパ工房で作られてきた”La cage”の手本でありオリジナルともいえる逸品。
弟子たちの作品も当時の基準からすれば決してレベルが低いわけでなく、むしろ80年代前後に大量に日本に入ってきたまさにおみやげ物レベルのカメオに比べればかなり精密な作品ながら、20世紀最高の手を持っていたノト氏による真作はそれらのさらにはるか上を行く仕上りです。
私も模刻作品は複数点みておりますが、やはりこの画面内に”居る”感じは本物ならでは。
遠景ながらにふたりの顔立ちは美しく、貝の厚みを巧みに用いた立体的な人体と、ほかの追随を許さないディテールの彫り込み、そして絵画をカメオとしてトリミングする際の完璧な構図バランス等々、まさに稀代の巨匠であったノト作といったところでしょう。
なお、私の知る限りノト作の”La cage”は本作だけでなく、ほかにも複数の作例が知られており、本作よりもさらに進歩がみられる素晴らしい作品も確認されております。
もちろん先述の弟子によって多数模倣作が作られた事実と、本作より上の作品が存在していることを考慮して、本作がノト作の真作であるか否かを十分に検討しており、弟子たちによって作られた作品のクオリティと本作のクオリティの差があまりに大きい事(全体的に全然違うが、幾何学的な要素があるため腕の差が出やすい鳥籠は、真作と模倣作で特に違いが分かりやすい)や、貝の厚みを有効に利用するノト氏の真作に見られる特殊な技法が本作にもみられること、裏面のサインの書式も模倣作に刻まれるものでなくノト作の絵画カメオに特有のものであることから、本作が間違いなくノト作の”La cage”であると判断、ただし年代の古いものであると鑑定しております。
貝は濃いコーヒー色の地にくっきりとした美しい白色を持った最上質のサードニクス。
貝は白色層の色むらなどもなく綺麗ながら、裏面11時位置から下に向けて走る薄ヒビがあるのが残念なところ。
ヘアラインは少なく、裏1時位置からごく薄いものが2,3入るのみです。
極めて貴重なノト作の絵画カメオとあって、本来であればミュージアムクラス一択なのですが、先述の通り本作は後年のものとみられるさらに上質な作品が存在しているのが確認できていることと、この1時位置の薄ヒビを考慮し、あえてカタログ+として取り扱っております。