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アンティーク(推定20世紀前半) 異例の名作 ”魚売りの少女”
縦:約65mm
横:約53mm
作者:-(アンティーク)
QR:カタログクオリティ
モチーフ、構図、技術、それに大きさまで、特筆すべき点にあふれたアンティークカメオの入荷です。
19世紀から2020年代の現在に至るまで、カメオのモチーフや構図には時代ごとの特徴があります。
従ってさまざまなカメオをしっかり観察していれば、一目見て概ね年代が特定できるようになるものです。
しかしながら今回は、仮にルースだけだったなら時代の特定は非常に困難だったであろうと思われる極めて珍しいカメオです。
まず最初に、本作の年代はフレームから判定して20世紀の前半の作品で、アンティーク、すなわち制作後100年経っているかどうかは難しいところですが、ちょうど100年くらいではないかとみています。
時折作品紹介において語っていることですが、19世紀から20世紀中頃までの間には現代のような絵画をモチーフとしたカメオは例外はあるものの基本的には無いと言っていい存在でした。
本作は年代から考えれば非常に珍しい構図で、そこだけをみれば現在の作品とも思えるような印象を与えます。
しかし彫りの技術に関しては20世紀前半の間に急速に衰退したそれではなく、人物・背景の建造物ともに間違いなく19世紀の息吹を残す超一流の技術でもって表現されており、アンティークと判断しているのも1930年代に入ってからではこのような彫りをする作者がいなくなっているからでもあります。
モチーフとなっているのも特異的で、聖堂のような場所を背景に魚を売る少女という、過去に古今東西玉石混交の数万点のカメオを見てきた私も類例を全く見たことが無いもの。
20世紀前半の名品は時代の移り変わりらしく混沌とした雰囲気が垣間見れるものがありますが、その点本作も同様であり、今後類似する作品はおそらく見られないのではと思う逸品です。
大きさもこれらの時代にしては非常に大きな作品と言える65mmサイズであり、後述します貝の質の問題が無ければ、19世紀の大判傑作”ローマの親子”に勝るとも劣らない作品となったでしょう。
貝はコーヒー色の地色をもったサードニクス。
しかし白色層が不安定な様子で瘤材に特有の質の乱れもあり、ほとんどあらゆる点で文句なしにミュージアム級の本作がカタログクオリティとなっている理由がここにあります。
貝自体は厚くヘアライン等無しとあり、本当にこの白色層の質さえよければ完璧も完璧な作品であったと惜しく思わずにはいられません。
フレームは9ctゴールド製。
シンプルながら分厚い金の板で作られたフレームです。
王侯貴族の持ち物という感じではありませんが、しかしカメオの質もさながら欧州の動乱の時期にこのようなものを注文したのが一体どのような人物であったのか、アンティークジュエリーの中でも背景に興味が尽きない逸品。
飾り気こそないものの作り自体は丁寧で優秀、キャッチは風車式の最初期型で、太いピンがしっかり留まります。
横:約53mm
作者:-(アンティーク)
QR:カタログクオリティ
モチーフ、構図、技術、それに大きさまで、特筆すべき点にあふれたアンティークカメオの入荷です。
19世紀から2020年代の現在に至るまで、カメオのモチーフや構図には時代ごとの特徴があります。
従ってさまざまなカメオをしっかり観察していれば、一目見て概ね年代が特定できるようになるものです。
しかしながら今回は、仮にルースだけだったなら時代の特定は非常に困難だったであろうと思われる極めて珍しいカメオです。
まず最初に、本作の年代はフレームから判定して20世紀の前半の作品で、アンティーク、すなわち制作後100年経っているかどうかは難しいところですが、ちょうど100年くらいではないかとみています。
時折作品紹介において語っていることですが、19世紀から20世紀中頃までの間には現代のような絵画をモチーフとしたカメオは例外はあるものの基本的には無いと言っていい存在でした。
本作は年代から考えれば非常に珍しい構図で、そこだけをみれば現在の作品とも思えるような印象を与えます。
しかし彫りの技術に関しては20世紀前半の間に急速に衰退したそれではなく、人物・背景の建造物ともに間違いなく19世紀の息吹を残す超一流の技術でもって表現されており、アンティークと判断しているのも1930年代に入ってからではこのような彫りをする作者がいなくなっているからでもあります。
モチーフとなっているのも特異的で、聖堂のような場所を背景に魚を売る少女という、過去に古今東西玉石混交の数万点のカメオを見てきた私も類例を全く見たことが無いもの。
20世紀前半の名品は時代の移り変わりらしく混沌とした雰囲気が垣間見れるものがありますが、その点本作も同様であり、今後類似する作品はおそらく見られないのではと思う逸品です。
大きさもこれらの時代にしては非常に大きな作品と言える65mmサイズであり、後述します貝の質の問題が無ければ、19世紀の大判傑作”ローマの親子”に勝るとも劣らない作品となったでしょう。
貝はコーヒー色の地色をもったサードニクス。
しかし白色層が不安定な様子で瘤材に特有の質の乱れもあり、ほとんどあらゆる点で文句なしにミュージアム級の本作がカタログクオリティとなっている理由がここにあります。
貝自体は厚くヘアライン等無しとあり、本当にこの白色層の質さえよければ完璧も完璧な作品であったと惜しく思わずにはいられません。
フレームは9ctゴールド製。
シンプルながら分厚い金の板で作られたフレームです。
王侯貴族の持ち物という感じではありませんが、しかしカメオの質もさながら欧州の動乱の時期にこのようなものを注文したのが一体どのような人物であったのか、アンティークジュエリーの中でも背景に興味が尽きない逸品。
飾り気こそないものの作り自体は丁寧で優秀、キャッチは風車式の最初期型で、太いピンがしっかり留まります。











