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ジュゼッペ・テゾリエーレ作 三層良品 ”メデューサ”
縦:約55mm
横:約41mm
作者:ジュゼッペ・テゾリエーレ
QR:アーティスティッククオリティ
1970年代前半、次世代の巨匠となる名匠が多く生まれた世代。ジュゼッペ・テゾリエーレ氏はその世代のひとりです。
現在はギリシャ神話を主に取り扱い、古典的な構図の作品を作る若い名匠であり、特にあまり例のない三層彫りの名手としてよく知られております。
マンボウガイやクチグロトウカムリの外唇部からとれる部材は厚みがあり、最上層にも色があること重厚で独特な作品の製作が可能となりますが、これらの貝殻は表面が非常に硬く加工が難しいため、三層彫りを持ち味とするまでに修練を積み作品を発表している作家は多くありません。
これらを主として用いることで知られるのはニコラ・バイアルディ氏のみ、そのほかには貝殻のみならずサンゴやトルコ石など幅広く素材を扱うなかでこれらの部材も用いるチーロ・アッカニート氏やアニエロ・ペルニーチェ氏、それから貝殻メインですが通常のサードニクスやコンクも多く使いながらその中のいちジャンルとして三層部材の彫刻もこなすエンツォ・チリッロ氏がおり、テゾリエーレ氏はこの中だとチリッロ氏に最も近いですが、チリッロ氏よりも三層彫りに特化しております。
また現在はあまり彫り手のいないラーヴァも積極的に取り扱っており、総合してみるとカメオ彫刻師のなかでもあまりいない立体彫刻系統の作者のひとりと言っていいでしょう。
また2000年代までは少々彫りに粗さがあった感じですが最新の作品を見た感じだとこの頃より腕を上げており、一方で現状(業界ルートの新入荷はいまだ2000年代の作品が多いこともあってか)作品の品質の割に時価が安めなので、最新の作品を取り扱う当ギャラリーにおいてはねらい目の作者でもあります。
今回のお品物はテゾリエーレ氏の代名詞的な三層彫りのカメオです。
モチーフは古来人気のメデューサ。
現在のメデューサは目を開けた物もかなり多くなってきましたが、本作は19世紀のメデューサと同じ構図によるものです。
しかし髪や顔つきの彫りは19世紀のそれと異なり明確に現代のもので、このあたりは市場に多い同氏の2000年代の作品と比べても異なるところです。
またその頃の作品は基本をリューターで彫ってその後彫刻刀で整えたかのような均等で丸い彫り筋※が多く、作品のメリハリを貝の厚みと色に頼っている傾向にあった感じがしますが、本作は髪の彫りもエッジの立った深彫りで美しく、貝の色と相まって非常に雰囲気の良い作品に仕上がっております。
彫りのみならず貝質にも恵まれており、三層目のオレンジの乗りの美しさは特筆すべき点。
髪や翼などにばりっと色が乗って肌と別れているというわけではないのですが、色むらのバランスがとてもきれいで、また一部貝表面のツヤが残っておりキラキラ光る部分もあってひときわ目を引く逸品となっております。
※ただしこのU字状の彫り筋は作者を問わず現代の彫りにある程度共通する。実際現在のカメオ彫刻は徹頭徹尾彫刻刀で彫っているわけではなく、制作の初期段階はリューターを使うが、三層彫りに使う部材は硬さにかなりムラがあるため刃で安定して彫るのは極めて難しく(出来たものを見るだけではわからないことがあると思い、実際自分でマンボウガイを切って母材を作り彫ってみたことがある…)、ディテールの彫りにもある程度リューターが使用されているものとみている。2000年頃のテゾリエーレ氏の作品が良く目を引くにもかかわらずやや安価なのはこのあたりが影響しているのかもしれない。
ちなみに19世紀の作品は全て刃による彫刻で彫り筋はV字状ないしY字状に彫っている。これは19世紀のカメオと現代のカメオの雰囲気が大きく異なる理由の一つである。
貝はコルネリアン、外唇部の色のり美しい母材。
ヘアラインは2時位置にごくうっすらとしたものが入り、それからオレンジ部分のごく表層(その下の白色層には届いていない)の一部にヘアラインが数筋と状態よく、工房直送の新品であるため保管の傷みも当然ありません。
サインは裏にテゾリエーレ氏の名を略した”Giutes”、その上にはモチーフとなった”Medusa”と彫られております。
現在市場にあるテゾリエーレ氏の作品は新品を含めて古めの物ばかりで時価が低く、本作の価格は新品時価より少々高めとなっておりますが、年代と品質の差を鑑み自信をもってお勧めする作品です。
横:約41mm
作者:ジュゼッペ・テゾリエーレ
QR:アーティスティッククオリティ
1970年代前半、次世代の巨匠となる名匠が多く生まれた世代。ジュゼッペ・テゾリエーレ氏はその世代のひとりです。
現在はギリシャ神話を主に取り扱い、古典的な構図の作品を作る若い名匠であり、特にあまり例のない三層彫りの名手としてよく知られております。
マンボウガイやクチグロトウカムリの外唇部からとれる部材は厚みがあり、最上層にも色があること重厚で独特な作品の製作が可能となりますが、これらの貝殻は表面が非常に硬く加工が難しいため、三層彫りを持ち味とするまでに修練を積み作品を発表している作家は多くありません。
これらを主として用いることで知られるのはニコラ・バイアルディ氏のみ、そのほかには貝殻のみならずサンゴやトルコ石など幅広く素材を扱うなかでこれらの部材も用いるチーロ・アッカニート氏やアニエロ・ペルニーチェ氏、それから貝殻メインですが通常のサードニクスやコンクも多く使いながらその中のいちジャンルとして三層部材の彫刻もこなすエンツォ・チリッロ氏がおり、テゾリエーレ氏はこの中だとチリッロ氏に最も近いですが、チリッロ氏よりも三層彫りに特化しております。
また現在はあまり彫り手のいないラーヴァも積極的に取り扱っており、総合してみるとカメオ彫刻師のなかでもあまりいない立体彫刻系統の作者のひとりと言っていいでしょう。
また2000年代までは少々彫りに粗さがあった感じですが最新の作品を見た感じだとこの頃より腕を上げており、一方で現状(業界ルートの新入荷はいまだ2000年代の作品が多いこともあってか)作品の品質の割に時価が安めなので、最新の作品を取り扱う当ギャラリーにおいてはねらい目の作者でもあります。
今回のお品物はテゾリエーレ氏の代名詞的な三層彫りのカメオです。
モチーフは古来人気のメデューサ。
現在のメデューサは目を開けた物もかなり多くなってきましたが、本作は19世紀のメデューサと同じ構図によるものです。
しかし髪や顔つきの彫りは19世紀のそれと異なり明確に現代のもので、このあたりは市場に多い同氏の2000年代の作品と比べても異なるところです。
またその頃の作品は基本をリューターで彫ってその後彫刻刀で整えたかのような均等で丸い彫り筋※が多く、作品のメリハリを貝の厚みと色に頼っている傾向にあった感じがしますが、本作は髪の彫りもエッジの立った深彫りで美しく、貝の色と相まって非常に雰囲気の良い作品に仕上がっております。
彫りのみならず貝質にも恵まれており、三層目のオレンジの乗りの美しさは特筆すべき点。
髪や翼などにばりっと色が乗って肌と別れているというわけではないのですが、色むらのバランスがとてもきれいで、また一部貝表面のツヤが残っておりキラキラ光る部分もあってひときわ目を引く逸品となっております。
※ただしこのU字状の彫り筋は作者を問わず現代の彫りにある程度共通する。実際現在のカメオ彫刻は徹頭徹尾彫刻刀で彫っているわけではなく、制作の初期段階はリューターを使うが、三層彫りに使う部材は硬さにかなりムラがあるため刃で安定して彫るのは極めて難しく(出来たものを見るだけではわからないことがあると思い、実際自分でマンボウガイを切って母材を作り彫ってみたことがある…)、ディテールの彫りにもある程度リューターが使用されているものとみている。2000年頃のテゾリエーレ氏の作品が良く目を引くにもかかわらずやや安価なのはこのあたりが影響しているのかもしれない。
ちなみに19世紀の作品は全て刃による彫刻で彫り筋はV字状ないしY字状に彫っている。これは19世紀のカメオと現代のカメオの雰囲気が大きく異なる理由の一つである。
貝はコルネリアン、外唇部の色のり美しい母材。
ヘアラインは2時位置にごくうっすらとしたものが入り、それからオレンジ部分のごく表層(その下の白色層には届いていない)の一部にヘアラインが数筋と状態よく、工房直送の新品であるため保管の傷みも当然ありません。
サインは裏にテゾリエーレ氏の名を略した”Giutes”、その上にはモチーフとなった”Medusa”と彫られております。
現在市場にあるテゾリエーレ氏の作品は新品を含めて古めの物ばかりで時価が低く、本作の価格は新品時価より少々高めとなっておりますが、年代と品質の差を鑑み自信をもってお勧めする作品です。