Item
アンティーク(推定19世紀中期) ”ヤギとプット”
縦:約67mm(カメオ50mm)
横:約56mm(カメオ38mm)
作者:-(アンティーク)
QR:ミュージアムクオリティ
少し久しぶりとなる19世紀の名品の入荷、なかなか見つからない全身型のカメオです。
今回のお品物はヤギを連れたプットのカメオ。
これは古来何らかの意図で好まれたモチーフだったようですが現在それらについての詳しい情報は得られていないとのこと。
プットとヤギをモチーフとした作品自体は17世紀から18世紀のものが多く、多くのプットがヤギをとらえようとしているような姿であったり、ヤギに乗ったプットが戦う姿であったり、ヤギと戯れる姿であったり…様々な形で残された作品そのものは現存しているもののこれらについての作品制作当時の詳細や解説等は残っておらず、そうした他の作品群においても詳細は不明だそうです。
カメオとしては地面と人物の全身が描かれたこの構図は19世紀に特有の物であり、のちの風景物や絵画物の原型でもあります。
羊の頭は貝のこぶが充てられており、そこから連なってプットの肩と頭、後ろになびく布と貝の厚みを利用して高く彫り出され、像からおちる影により画面全体にに奥行きが与えられているという一級の仕事。
古典的なカメオはこうした作品では地面のみを描き遠景は一切描写が無いことが多く、絵画的な手法での奥行きがなくなる代わりに像に厚みでこうした遠近感を表現する点が現代の手法と大きく異なる点であり、時を経た現代多くの華やかなカメオが登場しても決してそれに埋もれない、別物としての地位を確立する要素でもあります。
ディテールも細かく彫り入れられており写実的にして繊細。
プットの髪や顔、地面の下草やヤギの毛並み、そして彫刻師としての技術が明確に出る布の表現も美しく、当時の超一流の作品であることが明らかな逸品です。
貝はカフェオレ色にくっきりした色合いの白色層がのったサードニクス。
ヘアラインは画面12時位置と3時位置に薄いものが入るのみ、それよりはむしろ表面のナレのほうが気になるくらいですが、その表面のナレもディテールを損なうようなものではないのは画像をご覧になっていただければお分かりかと思います。
総じて経年を考えれば非常に状態がいいと言っていいでしょう。
フレームは金属不明の細工枠です。
一般的にこの編み込み細工のフレームは真鍮製ですが、こうした細身のものでは金製も多く14ctの品位の物まで存在していることから本作も金製ではないかと思われます。(色合いは9ctに酷似しておりさらにその上にメッキがかかっている)
また、どんなカメオでもだいたい18ctの枠がつく現代と違い19世紀においてはカメオの質とフレームの質には一定の比例関係が見られ、本作のようなクオリティの高いカメオに銅合金系のフレームというのはいささか考えにくいです。
キャッチはC型クラスプで針は太目の銅製。
しっかりと留まるよう程度の良い調整がなされておりこのままでも実用可能な状態を保っております。
横:約56mm(カメオ38mm)
作者:-(アンティーク)
QR:ミュージアムクオリティ
少し久しぶりとなる19世紀の名品の入荷、なかなか見つからない全身型のカメオです。
今回のお品物はヤギを連れたプットのカメオ。
これは古来何らかの意図で好まれたモチーフだったようですが現在それらについての詳しい情報は得られていないとのこと。
プットとヤギをモチーフとした作品自体は17世紀から18世紀のものが多く、多くのプットがヤギをとらえようとしているような姿であったり、ヤギに乗ったプットが戦う姿であったり、ヤギと戯れる姿であったり…様々な形で残された作品そのものは現存しているもののこれらについての作品制作当時の詳細や解説等は残っておらず、そうした他の作品群においても詳細は不明だそうです。
カメオとしては地面と人物の全身が描かれたこの構図は19世紀に特有の物であり、のちの風景物や絵画物の原型でもあります。
羊の頭は貝のこぶが充てられており、そこから連なってプットの肩と頭、後ろになびく布と貝の厚みを利用して高く彫り出され、像からおちる影により画面全体にに奥行きが与えられているという一級の仕事。
古典的なカメオはこうした作品では地面のみを描き遠景は一切描写が無いことが多く、絵画的な手法での奥行きがなくなる代わりに像に厚みでこうした遠近感を表現する点が現代の手法と大きく異なる点であり、時を経た現代多くの華やかなカメオが登場しても決してそれに埋もれない、別物としての地位を確立する要素でもあります。
ディテールも細かく彫り入れられており写実的にして繊細。
プットの髪や顔、地面の下草やヤギの毛並み、そして彫刻師としての技術が明確に出る布の表現も美しく、当時の超一流の作品であることが明らかな逸品です。
貝はカフェオレ色にくっきりした色合いの白色層がのったサードニクス。
ヘアラインは画面12時位置と3時位置に薄いものが入るのみ、それよりはむしろ表面のナレのほうが気になるくらいですが、その表面のナレもディテールを損なうようなものではないのは画像をご覧になっていただければお分かりかと思います。
総じて経年を考えれば非常に状態がいいと言っていいでしょう。
フレームは金属不明の細工枠です。
一般的にこの編み込み細工のフレームは真鍮製ですが、こうした細身のものでは金製も多く14ctの品位の物まで存在していることから本作も金製ではないかと思われます。(色合いは9ctに酷似しておりさらにその上にメッキがかかっている)
また、どんなカメオでもだいたい18ctの枠がつく現代と違い19世紀においてはカメオの質とフレームの質には一定の比例関係が見られ、本作のようなクオリティの高いカメオに銅合金系のフレームというのはいささか考えにくいです。
キャッチはC型クラスプで針は太目の銅製。
しっかりと留まるよう程度の良い調整がなされておりこのままでも実用可能な状態を保っております。