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ジョヴァンニ・ノト作 フィリッポ・リッピ画 ”祈る聖母”
縦:約50mm
横:約42mm
作者:ジョヴァンニ・ノト
QR:ミュージアムクオリティ
作者についてのご紹介は、当ギャラリーのメニューよりBLOGをご覧いただき、記事の"作家01.ジョヴァンニ・ノト"をご覧ください。
世界的にも珍しいジョヴァンニ・ノト氏による中期型ハイクオリティピースが入荷いたしました。
カメオ史における中興の祖ジョヴァンニ・ノト氏が得意として多く手がけたモチーフのひとつ、聖母マリア。
今回の作品はそれらのマリア像の中でも特にクオリティの高いもので、大本のデザインは15世紀前半の画家フィリッポ・リッピによる絵画”聖母子と二天使”です。
本作の構図はその絵画の聖母マリアの部分をカメオに切り取ったもの。
貝の厚みを生かした素晴らしいマリア像の背後には、同様に素晴らしいノト氏による精緻な光輪と美しい薔薇の花が添えられております。
これらの光輪や薔薇の花は、すでに当ギャラリーに所蔵されているいくつかのマリア像にもみられるもので、特にこの幾何学的な美しさを持った光輪は並の彫刻師の手によるものではありえないということで、ノト作と鑑定する鍵にもなりました。
もちろん主役となる聖母にもノト氏による技巧が尽くされ、その顔つきは優しく気品に満ち、まさしくジョヴァンニ・ノト氏の描く女性像といったところでしょう。
レースのヴェールも立体的で美しく仕上がり、合わせた手は右手の指の間から重ねた左手が見える造りで、画面全体余すところなくノト氏の超絶技巧が尽くされた本作はまったく見事の一言。
作者の重要性とモデルとなった作品の重要性、作品そのものの出来と状態、すべてそろった名品であり、申し分なしのミュージアムクオリティピースです。
貝は一見普通のコルネリアンですが、細かく見れば特異的な良材を使っております。
まずコルネリアンとしては大判となる大きさで幅も通常の規格のものより広いのが特徴的。
色も通常多くのコルネリアンのカメオが画面右側に朱色、左側に淡黄色とグラデーションがかかるのに対して本作はグラデーションが弱く、全体的にかなり色の濃い背景層を持っているのが分かります。
状態は極めてよく、コルネリアンに特有の画面左上のヘアライン数筋があるのみで人為的な痛みは無し。
同様の作例を参考とすれば1950年代頃の作品とみられるものですが、半世紀以上の経年を感じさせない美しい状態です。
また、本作の特異な点として、この時代のものとしては極めて珍しいことにサインが入っている点が挙げられます。
これは非常に重要なことで、BLOGに記載しているようにノト氏のサインの多くはそれそのものはノト氏の真作の証明たりえないものですが、本作にみられるサインは、見間違いようがないノト氏の絵画モチーフのハイクオリティピースにのみ見られるものと同じ特徴をもったもので、”G Noto”と切られるサインの中で唯一ノト氏の真作の証明たりえるものです。
本作にこのサインがあることは、本作がノト氏の真作であることを示すという点でももちろん重要ながら、当ギャラリーも複数所蔵しているノト作と鑑定されたマリア像のカメオ、そして世界各地に散在する同様の作品が、間違いなくノト氏の真作であることを示す傍証となっており、本作に20世紀中頃のノト氏の作品を鑑定するうえでの資料としての大変重要な価値を与えております。
フレームは重厚な14ctゴールド製。
ケース型のフレームは代用が効かないものなので本作専用に作られたオリジナルの物であることが分かります。
ブローチ金具は鉄砲式、バチカンはしっかりロウ付けされて落下に備えられたもので、シンプルながらに惜しみなく使われた金の重さに恥じない極めてしっかりした作りです。
ブローチ金具としては最も信頼性が高く人気のある鉄砲金具は、古くは19世紀にはフランスで見られていたものの、現在のように一般に広く普及するようになったのは1990年代になってからなので、本作が制作された1950年代に鉄砲金具を採用したフレームが作られたことは、本作をブローチに仕立てた人物が本作の重要性を十分に理解していたことを示唆しております。
横:約42mm
作者:ジョヴァンニ・ノト
QR:ミュージアムクオリティ
作者についてのご紹介は、当ギャラリーのメニューよりBLOGをご覧いただき、記事の"作家01.ジョヴァンニ・ノト"をご覧ください。
世界的にも珍しいジョヴァンニ・ノト氏による中期型ハイクオリティピースが入荷いたしました。
カメオ史における中興の祖ジョヴァンニ・ノト氏が得意として多く手がけたモチーフのひとつ、聖母マリア。
今回の作品はそれらのマリア像の中でも特にクオリティの高いもので、大本のデザインは15世紀前半の画家フィリッポ・リッピによる絵画”聖母子と二天使”です。
本作の構図はその絵画の聖母マリアの部分をカメオに切り取ったもの。
貝の厚みを生かした素晴らしいマリア像の背後には、同様に素晴らしいノト氏による精緻な光輪と美しい薔薇の花が添えられております。
これらの光輪や薔薇の花は、すでに当ギャラリーに所蔵されているいくつかのマリア像にもみられるもので、特にこの幾何学的な美しさを持った光輪は並の彫刻師の手によるものではありえないということで、ノト作と鑑定する鍵にもなりました。
もちろん主役となる聖母にもノト氏による技巧が尽くされ、その顔つきは優しく気品に満ち、まさしくジョヴァンニ・ノト氏の描く女性像といったところでしょう。
レースのヴェールも立体的で美しく仕上がり、合わせた手は右手の指の間から重ねた左手が見える造りで、画面全体余すところなくノト氏の超絶技巧が尽くされた本作はまったく見事の一言。
作者の重要性とモデルとなった作品の重要性、作品そのものの出来と状態、すべてそろった名品であり、申し分なしのミュージアムクオリティピースです。
貝は一見普通のコルネリアンですが、細かく見れば特異的な良材を使っております。
まずコルネリアンとしては大判となる大きさで幅も通常の規格のものより広いのが特徴的。
色も通常多くのコルネリアンのカメオが画面右側に朱色、左側に淡黄色とグラデーションがかかるのに対して本作はグラデーションが弱く、全体的にかなり色の濃い背景層を持っているのが分かります。
状態は極めてよく、コルネリアンに特有の画面左上のヘアライン数筋があるのみで人為的な痛みは無し。
同様の作例を参考とすれば1950年代頃の作品とみられるものですが、半世紀以上の経年を感じさせない美しい状態です。
また、本作の特異な点として、この時代のものとしては極めて珍しいことにサインが入っている点が挙げられます。
これは非常に重要なことで、BLOGに記載しているようにノト氏のサインの多くはそれそのものはノト氏の真作の証明たりえないものですが、本作にみられるサインは、見間違いようがないノト氏の絵画モチーフのハイクオリティピースにのみ見られるものと同じ特徴をもったもので、”G Noto”と切られるサインの中で唯一ノト氏の真作の証明たりえるものです。
本作にこのサインがあることは、本作がノト氏の真作であることを示すという点でももちろん重要ながら、当ギャラリーも複数所蔵しているノト作と鑑定されたマリア像のカメオ、そして世界各地に散在する同様の作品が、間違いなくノト氏の真作であることを示す傍証となっており、本作に20世紀中頃のノト氏の作品を鑑定するうえでの資料としての大変重要な価値を与えております。
フレームは重厚な14ctゴールド製。
ケース型のフレームは代用が効かないものなので本作専用に作られたオリジナルの物であることが分かります。
ブローチ金具は鉄砲式、バチカンはしっかりロウ付けされて落下に備えられたもので、シンプルながらに惜しみなく使われた金の重さに恥じない極めてしっかりした作りです。
ブローチ金具としては最も信頼性が高く人気のある鉄砲金具は、古くは19世紀にはフランスで見られていたものの、現在のように一般に広く普及するようになったのは1990年代になってからなので、本作が制作された1950年代に鉄砲金具を採用したフレームが作られたことは、本作をブローチに仕立てた人物が本作の重要性を十分に理解していたことを示唆しております。