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マリオ・ヴェントレスカ作 ノトモデル "束ね髪と微笑"
縦:約70mm
横:約57mm
作者:マリオ・ヴェントレスカ
QR:アーティスティッククオリティ
20世紀中期から後期にかけて活躍した芸術家マリオ・ヴェントレスカ作のカメオの入荷です。
カメオに作者が名前を刻むようになった1970年代以前、カメオの作者たちの情報はほとんど残っておらず、この時代にカメオの伝統を引き継いだ作者の多くはその名が知られることがありませんでしたが、一部はその後継ぎが現在まで残るなどの経緯を経て現代に知られております。
マリオ・ヴェントレスカ氏もそんなひとりで、息子のジョヴァンニ・ヴェントレスカ氏が現代のカメオ作家のなかでも指折りの名匠となっていることで、その父であり師でもあった彫刻師として知られております。
日本の書籍などによればカメオの彫刻のみならず絵画なども手掛けていた芸術家だったというくらいの情報しかありませんが、息子のジョヴァンニ・ヴェントレスカ氏より伺ったお話によれば、カメオ彫刻師としてはジョヴァンニ・ノト氏の直弟子のひとりであったとのことです。
実のところ私もマリオ氏がノト氏の弟子であったことは知らず、ジョヴァンニ氏の話を聞いて驚いたのですが、その直後に出会ったのがこの作品でした。
私がマリオ氏がノト氏の弟子であったことに気付かなかったのは、よく見るマリオ氏のカメオはごく一般的な作品が多く(ジョヴァンニ・ヴェントレスカ氏の作品はある時を境に急激に作風の転換を行い高く評価されるようになったが、その前はマリオ氏の作風によく似ていてぼんやりとした地味な作品が多かった)、ノト氏の教えを感じられるような作品は見た記憶がなかったからなのですが、本作を見ればその話も納得というところ。
逆にその話を聞かずに本作に出会っていたら、これはどういうことかと思ったかもしれません。
ノト氏の弟子のなかでもノト氏の作風の面影が良く残った作品を作る作者と言えば、ノト氏がジョヴァンニ・アパ工房で美術監督を勤めていた当時より後までアパ工房で作品を作り続けていたアンドレア・スカーラ氏が最も有名ながら、本作を見る限りマリオ・ヴェントレスカ氏もかなりよく面影を残した作品を作っていたようです。
鑑定のためにもノト氏の真作を注意深く観察している私から見れば、髪の表現が単調かつ線が太く粗いこと、手の指のつき方が違うこと、蝶の翅が長すぎることと模様が違うこと、そして何より表情が感情の豊かさに乏しいことからノト氏の作品とは区別がつくものの、全体的にはかなりよく似せて作っていると言ってよく、ノト氏の作品と比べれば欠点となる上記の点もあってなお、バランスよく整った構図と華やかな雰囲気、それらを美しく表現してみせる優れた彫刻技術から、プロフィールのカメオとしては2020年現在でも一線で通用するレベルでしょう。
先述の通り、本作はマリオ・ヴェントレスカ氏の一般的な作風とは異なるもので珍しく、またノト氏とのつながりを示す貴重な資料でもあり、単にひとつのカメオ作品というよりもその背景の情報を含んでマニアックな一品です。
貝はコーヒー色の地色にくっきりとした白色の乗った良質なもの。
ただ、残念なことに白色部のヘアラインが多く、顔から胸元に至るまでいくつかのヘアラインが入っております。
そんなに目立つものではありませんが、当ギャラリーの規定に則り、少し価格を引いての掲載となっております。
褐色部にもいくつかヘアラインがあるものの、こちらは光に透かして見なければわからないもので問題ありません。
サイズは70mmと大判で、これは規格サイズでは最大のものとなります。
この大きさであれば額に入れて飾っても良し、またノト氏の真作でこのサイズとなるとおいそれと身に着けられる物でもない(そもそも私も見たことがありませんが)ので、忠実なノトモデルの実用品としても良しかと思います。
横:約57mm
作者:マリオ・ヴェントレスカ
QR:アーティスティッククオリティ
20世紀中期から後期にかけて活躍した芸術家マリオ・ヴェントレスカ作のカメオの入荷です。
カメオに作者が名前を刻むようになった1970年代以前、カメオの作者たちの情報はほとんど残っておらず、この時代にカメオの伝統を引き継いだ作者の多くはその名が知られることがありませんでしたが、一部はその後継ぎが現在まで残るなどの経緯を経て現代に知られております。
マリオ・ヴェントレスカ氏もそんなひとりで、息子のジョヴァンニ・ヴェントレスカ氏が現代のカメオ作家のなかでも指折りの名匠となっていることで、その父であり師でもあった彫刻師として知られております。
日本の書籍などによればカメオの彫刻のみならず絵画なども手掛けていた芸術家だったというくらいの情報しかありませんが、息子のジョヴァンニ・ヴェントレスカ氏より伺ったお話によれば、カメオ彫刻師としてはジョヴァンニ・ノト氏の直弟子のひとりであったとのことです。
実のところ私もマリオ氏がノト氏の弟子であったことは知らず、ジョヴァンニ氏の話を聞いて驚いたのですが、その直後に出会ったのがこの作品でした。
私がマリオ氏がノト氏の弟子であったことに気付かなかったのは、よく見るマリオ氏のカメオはごく一般的な作品が多く(ジョヴァンニ・ヴェントレスカ氏の作品はある時を境に急激に作風の転換を行い高く評価されるようになったが、その前はマリオ氏の作風によく似ていてぼんやりとした地味な作品が多かった)、ノト氏の教えを感じられるような作品は見た記憶がなかったからなのですが、本作を見ればその話も納得というところ。
逆にその話を聞かずに本作に出会っていたら、これはどういうことかと思ったかもしれません。
ノト氏の弟子のなかでもノト氏の作風の面影が良く残った作品を作る作者と言えば、ノト氏がジョヴァンニ・アパ工房で美術監督を勤めていた当時より後までアパ工房で作品を作り続けていたアンドレア・スカーラ氏が最も有名ながら、本作を見る限りマリオ・ヴェントレスカ氏もかなりよく面影を残した作品を作っていたようです。
鑑定のためにもノト氏の真作を注意深く観察している私から見れば、髪の表現が単調かつ線が太く粗いこと、手の指のつき方が違うこと、蝶の翅が長すぎることと模様が違うこと、そして何より表情が感情の豊かさに乏しいことからノト氏の作品とは区別がつくものの、全体的にはかなりよく似せて作っていると言ってよく、ノト氏の作品と比べれば欠点となる上記の点もあってなお、バランスよく整った構図と華やかな雰囲気、それらを美しく表現してみせる優れた彫刻技術から、プロフィールのカメオとしては2020年現在でも一線で通用するレベルでしょう。
先述の通り、本作はマリオ・ヴェントレスカ氏の一般的な作風とは異なるもので珍しく、またノト氏とのつながりを示す貴重な資料でもあり、単にひとつのカメオ作品というよりもその背景の情報を含んでマニアックな一品です。
貝はコーヒー色の地色にくっきりとした白色の乗った良質なもの。
ただ、残念なことに白色部のヘアラインが多く、顔から胸元に至るまでいくつかのヘアラインが入っております。
そんなに目立つものではありませんが、当ギャラリーの規定に則り、少し価格を引いての掲載となっております。
褐色部にもいくつかヘアラインがあるものの、こちらは光に透かして見なければわからないもので問題ありません。
サイズは70mmと大判で、これは規格サイズでは最大のものとなります。
この大きさであれば額に入れて飾っても良し、またノト氏の真作でこのサイズとなるとおいそれと身に着けられる物でもない(そもそも私も見たことがありませんが)ので、忠実なノトモデルの実用品としても良しかと思います。