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アンティーク(推定19世紀中期) エナメル装飾金細工枠付 ”受胎告知”
縦:約68mm(カメオ55mm)
横:約60mm(カメオ46mm)
作者:-(アンティーク)
QR:カタログクオリティ
非常に人気の高いモチーフ、聖母マリアに受胎を知らせるガブリエルを描いた受胎告知のカメオの入荷です。
アンティークカメオとモダンカメオの大きな違いのひとつに、モチーフの傾向があります。
1800年代はイギリスを中心に、そして1940年頃から1960年頃のモダンカメオの時代はアメリカを中心に流行したカメオ。
さらに時が下り1980年代より現在にいたるモダンカメオの時代は日本がその流通の主流となっております。
この市場の移り変わりでの顧客の需要の変化にこたえる形でカメオのモチーフは主流となるものが変わっており、アンティークではキリスト教の色の濃い作品も多くみられるも、現在は宗教色の濃い作品は少なくなってきました。
今回の作品はそうした面からみてもアンティーク色の強い一品、ガブリエルの受胎告知をモチーフとしたカメオです。
19世紀においては大型となる55mmの画面いっぱいに描かれた大天使ガブリエル。
受胎告知のカメオとしては典型的なモチーフで、人差し指を立てた手を挙げ、画面両端には大きく広がるガブリエルの翼。
柔らかく縮れた髪は細やかで、整った顔立ちも美しく、ゆったりとした天使の衣も布の質感を踏まえて立体的に表現され、また翼も羽の1枚1枚を高さを変えて、その重なりを色合いの違いで表現しておりております。
顔の輪郭を深く彫り落した技法も特筆すべき点で、通常は色が白から褐色や橙に変わるところで彫下げをとめるところ、本作ではさらに褐色層を彫り込み、顔のラインを物理的に浮かせてカラーコントラストのみの表現を超えたメリハリを持たせており、これはストーンカメオでは一般的に用いられる技法ながらシェルカメオでは珍しいものといえます。
同様の技法を用いる例としては後年の稀代の巨匠ジョヴァンニ・ノト作で時折見られるくらいなところを察するに、貝の厚みを効果的に活用するひとつの秘儀といえましょうか。
バランスの良い安定感のある構図に細やかな彫刻技術、そしてその技法に垣間見える作者の熟練は、本作が当時の名匠の手による確かな作品であることを証明しております。
貝はカフェオレ色にくっきりとした白色の乗ったサードニクス。
透明感のある貝質で、雰囲気で言えばカフェオレというよりミルクティのようでもあります。
一方で白色部の色の濃さと艶は素晴らしく、まさしく最高級の磁器のようです。
貝はヘアラインは少なく12時位置から左下に向かって2筋入るもののみ。
それ以外にもう1点、画面右のガブリエルの翼のそばに見慣れないダメージがあり、光に透かして裏から見た感じでは1点に集中してなにか圧力がかかった傷にみえます。
幸い亀裂にまでは発展しておらず、貝の表面の光の反射をみても表・裏ともになめらかな無傷の面と同様で、内部のヒビにとどまっているようです。
もちろん当ギャラリーのルールにのっとり、ダメージはダメージとして勘案し健全な状態より低めの価格となっております。
フレームは14ctゴールド製。
レポゼ細工にアラベスクの彫金、さらに深い青と純白のエナメル装飾が施された、ヴィクトリアンの最高級のフレームです。
エナメル装飾はこの時代の中でも特に高価なものであったようで、カメオのフレームとして見られるものではサウリーニ本人の作品をはじめとした超一流の作品を飾っているのをみかけます。
さすがに経年の劣化によりフレームに損傷やエナメルに剥がれが目だつところ、本作ではエナメルはほとんど完全に残っており、レポゼフレームにも裏にへこみこそあれど損傷はないという極上の状態を保っております。
C型クラスプも針をしっかりと保持でき、ここまで当時の状態をよく残したものであれば、ヴィクトリアンジュエリーのカテゴリで見てもハイクラスジュエリーとして位置づけられるでしょう。
今回構図がオーソドックスでありオリジナリティの面で一歩譲るかという判断でカタログクオリティとなっておりますが、先述のようにカメオそのものの高い質と相まってカタログクオリティのなかでも特に高品質で、美術館展示品であっても違和感はない逸品です。
横:約60mm(カメオ46mm)
作者:-(アンティーク)
QR:カタログクオリティ
非常に人気の高いモチーフ、聖母マリアに受胎を知らせるガブリエルを描いた受胎告知のカメオの入荷です。
アンティークカメオとモダンカメオの大きな違いのひとつに、モチーフの傾向があります。
1800年代はイギリスを中心に、そして1940年頃から1960年頃のモダンカメオの時代はアメリカを中心に流行したカメオ。
さらに時が下り1980年代より現在にいたるモダンカメオの時代は日本がその流通の主流となっております。
この市場の移り変わりでの顧客の需要の変化にこたえる形でカメオのモチーフは主流となるものが変わっており、アンティークではキリスト教の色の濃い作品も多くみられるも、現在は宗教色の濃い作品は少なくなってきました。
今回の作品はそうした面からみてもアンティーク色の強い一品、ガブリエルの受胎告知をモチーフとしたカメオです。
19世紀においては大型となる55mmの画面いっぱいに描かれた大天使ガブリエル。
受胎告知のカメオとしては典型的なモチーフで、人差し指を立てた手を挙げ、画面両端には大きく広がるガブリエルの翼。
柔らかく縮れた髪は細やかで、整った顔立ちも美しく、ゆったりとした天使の衣も布の質感を踏まえて立体的に表現され、また翼も羽の1枚1枚を高さを変えて、その重なりを色合いの違いで表現しておりております。
顔の輪郭を深く彫り落した技法も特筆すべき点で、通常は色が白から褐色や橙に変わるところで彫下げをとめるところ、本作ではさらに褐色層を彫り込み、顔のラインを物理的に浮かせてカラーコントラストのみの表現を超えたメリハリを持たせており、これはストーンカメオでは一般的に用いられる技法ながらシェルカメオでは珍しいものといえます。
同様の技法を用いる例としては後年の稀代の巨匠ジョヴァンニ・ノト作で時折見られるくらいなところを察するに、貝の厚みを効果的に活用するひとつの秘儀といえましょうか。
バランスの良い安定感のある構図に細やかな彫刻技術、そしてその技法に垣間見える作者の熟練は、本作が当時の名匠の手による確かな作品であることを証明しております。
貝はカフェオレ色にくっきりとした白色の乗ったサードニクス。
透明感のある貝質で、雰囲気で言えばカフェオレというよりミルクティのようでもあります。
一方で白色部の色の濃さと艶は素晴らしく、まさしく最高級の磁器のようです。
貝はヘアラインは少なく12時位置から左下に向かって2筋入るもののみ。
それ以外にもう1点、画面右のガブリエルの翼のそばに見慣れないダメージがあり、光に透かして裏から見た感じでは1点に集中してなにか圧力がかかった傷にみえます。
幸い亀裂にまでは発展しておらず、貝の表面の光の反射をみても表・裏ともになめらかな無傷の面と同様で、内部のヒビにとどまっているようです。
もちろん当ギャラリーのルールにのっとり、ダメージはダメージとして勘案し健全な状態より低めの価格となっております。
フレームは14ctゴールド製。
レポゼ細工にアラベスクの彫金、さらに深い青と純白のエナメル装飾が施された、ヴィクトリアンの最高級のフレームです。
エナメル装飾はこの時代の中でも特に高価なものであったようで、カメオのフレームとして見られるものではサウリーニ本人の作品をはじめとした超一流の作品を飾っているのをみかけます。
さすがに経年の劣化によりフレームに損傷やエナメルに剥がれが目だつところ、本作ではエナメルはほとんど完全に残っており、レポゼフレームにも裏にへこみこそあれど損傷はないという極上の状態を保っております。
C型クラスプも針をしっかりと保持でき、ここまで当時の状態をよく残したものであれば、ヴィクトリアンジュエリーのカテゴリで見てもハイクラスジュエリーとして位置づけられるでしょう。
今回構図がオーソドックスでありオリジナリティの面で一歩譲るかという判断でカタログクオリティとなっておりますが、先述のようにカメオそのものの高い質と相まってカタログクオリティのなかでも特に高品質で、美術館展示品であっても違和感はない逸品です。









