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アンティーク(推定19世紀末頃)”宮廷の一幕”

アンティーク(推定19世紀末頃)”宮廷の一幕”
縦:約66mm(カメオ51mm)
横:約56mm(カメオ41mm)
作者:-(アンティーク)
QR:アーティスティッククオリティ

当ギャラリーでも取り扱いの少ないアンティークの風景カメオが入荷いたしました。

アンティークにおける遠景・風景カメオの中では珍しいデザインとなる本作。
まず、アンティークで風景カメオというと半数は木と家と人の3つを遠景で描いたものといっていいでしょう。
さらに数は少ないながらに存在する絵画カメオを除いたのち、本作のような風景カメオはアンティークにおける風景カメオの中で3割くらいしかないように思います。
そういった3割程の風景カメオは概して出来の良いものが多く、サウリーニ作の風景カメオも本作に似た構図を取ることが知られております。
今回の作品は、購入元によるとシェイクスピアの劇の一幕を描いたものではないかとのことで、宗教色の強く出ることの多いこの手のカメオでは珍しいモチーフです。
左の男性は頬に手を当てて何かを考えこむようにうつむき、右の帽子の男性は右手を差し出すような仕草をしており、服装も明らかに19世紀のものではなく、確かに劇の一幕のような印象を受けます。
彫りは非常に細かく、洋服のしわや模様の描写はもちろん、このサイズで人物に顔がしっかり彫られており、さらに手の指までが彫りいれられているのは特筆すべきことです。
特に左の人物が頬にあてている手は、指が描かれていることのみならず顔と手の間に極々わずかに隙間を彫り込むことで物理的に立体感を作ることに成功しており、サウリーニ作やノト作を彷彿とさせるほどの細かさと言って全く過言ではありません。
高さで奥行きを出すことについていえば本作の作者は非常に卓越した彫刻技術を持っていることがほかの点でもよくわかり、顔や脚に与えられた立体感やマントと建物の間の影の落とし方も絶妙な仕上がりとなっております。
また、カメオの作者の技量を見る上で最も分かりやすいのが線の正確さを見ることですが、本作の建物の直線や直角の正確さをみても、本作者が並々ならぬ技量を持っていたことは明らかです。
もちろんこれだけの技量は半端な作者の手によるものではありえず、時代が時代ゆえに名前こそ伝わっていないまでも、当時の名声を察することができます。

貝はコーヒー色の下地に、わずかに褐色がかった白色のサードニクス。
上部から下部にかけてやや色が薄くなっていっている素材ですが、さすがにカメオの彫刻のセオリーをよく理解している職人の手による作品だけあり、コントラストが必要となる部分に色の濃い部位を合わせて構図を取っているため、表から見たら色変わりがあるのが全く分かりません。
ヘアラインは画面上部に数筋見られるも、貝の色が濃く、光を透かして見なければ分かりません。
それから、こちらは確証が無いのですが、右側の人物の帽子の鍔(向かって左)がおそらく欠けております。
この点につきましては表からわかるの欠損のひとつとしまして、時価へ反映しております。

フレームは材質がはっきりしませんが、細かなチェーンと太さの違うモールを幾重にも留めて模様をつけた非常に手の込んだもの。
素材につきましてはちょっと長くなりますので後にまわすとして、まずは仕様につきまして。
先に描きました通り装飾は凝った造りでフレームそのものは空洞、すなわちレポゼによって打ち出し成型された後にロウ付けで模様を作ったもので、また本作はもともとメモリアルブローチであったものとみられ、写真6をご覧になっていただければお分かりのようにカメオ部分が回転するようになっております。
フレームの状態は総じて良好で、裏側にわずかにへこみがあるのとピン元に破れがあるくらいで時代を考えればかなり状態の良いものですが、この裏面に本来はまっていたはずのガラス等が欠品しております。
ピン元の破れはブローチピンの丁番の外側に空いているもので、これはピンを開いたときにピンの元の部分がフレームに接触するためで、仕様上やむを得ない破損(この時代のピンのつけ方ではよくあることで同様の破損は珍しくない)と言わざるを得ないでしょう。
ブローチ金具はC型クラスプで、非常に作りがよくピンそのものがバネとなる構造でしっかり留まります。

最後にフレームの材質につきまして、テスト等していないので私見となりますが、9ctのように思えます。
ゴールドフィルドの可能性は、色落ちが無さすぎること、色合いは明らかにローカラットゴールドですが、14ctや18ctではなくローカラットゴールドを巻くほどコストを削ろうとするわりには造形における技術的なコストのかけ方に妥協が無いこと、それからカメオを巻いている板金内側も金色をしていますが塗膜処理された表面ではない(その上で板金の切断面も金色をしている)ことを根拠に。
ピンチベック(本来8ctゴールドの合金という説もあるが製法が失伝して再現できなくなって以降、真鍮が使われた)とは経年の色変化が異なり本品の色変化は金にみられるもので少なくとも真鍮のそれではないこと、先述の破れからみえるとフレームの板金が薄すぎることを根拠として可能性が低いと見ます。
なお、金無垢である確証が無いため、当然ながら時価は金製ではないものとして設定しております。
¥82,000

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