縦：約45mm
横：約36mm
作者：－（アンティーク）
QR：アーティスティッククオリティ

アメリカよりアンティークらしい厚みのある良作カメオの入荷です。

日本のカメオの歴史は浅く、1980年代ごろからの流通となっており、それより古いものはあまり見かける機会がありません。
たまに見かけるものも質がいいとは言えないものが大半を占め、アンティークカメオが豊富に残る海外市場においてでもただ古いだけ、またフレームがそれなりの出来でもカメオそのものが二流三流というものが多く、カメオそのものが素晴らしいものはやはり高値で取引されております。

今回のお品物は、カメオ作品としてはおそらく19世紀中頃の作で、モチーフはヘーラーでしょうか。
首飾りは二重、それに重ね着された厚みのあるキトンは神々の女王たるヘーラーの重々しくもある荘厳さを描き出しているように思えます。
かなり白色層に厚みのある良いカメオで、繊細かつ緻密な髪の毛の彫りや二重になった真珠の首飾り、それに２つのブローチで留められたキトンのヒダなど、どれをとっても出来の良さを十分に感じられる作品です。
とりわけ後頭部の結い上げられた髪の表現は実に見事で、貝の厚みを利用して複雑なウェーブヘアとその下の襟足を非常に高い技術で表現しております。
女性像の重要なポイントとなる顔立ちの美しさにも秀でており、後述のフレームの様相で少々安っぽく見える仕立てになってしまっているのが残念ではありますが、カメオ単体で見れば間違いなく一流、あまり見ることのないレベルのクオリティといっていいほど良いカメオですので、アンティークの良品をお求めの方はぜひコレクションへの追加をご検討くださいませ。

貝は濃いコーヒー色にくっきりとした白色のサードニクスで、中間層もなくハイコントラストの非常に上質なもの。
1時から4時の位置にかけて縦に入るヘアライン、8時位置にも縦にヘアラインが入っており、特に前者のほうは目で見て分かるもののため価格へ反映しております。
そのほかは特に傷みも見られず、白色部の摩耗・ヘアライン等ありませんので、まだまだお楽しみいただける状態といえるでしょう。

フレームは20世紀前半に極々簡単な手法にて制作されたもので素材は真鍮。
純粋に本作カメオにブローチとしての機能を持たせることのみを考えて作られた応急処置的なものであり、カメオの品質と比べると非常に簡素な造り（地金としても工芸品としてもフレームには価値が無いため、価格もルースとして計算）ですので、これであればいったん外してルースに戻し、別のフレームに再装着するのを検討されるのがいいかもしれません。
もちろん当ギャラリーにての再加工も承りますので、再装着をお考えの方はお気軽にお問い合わせください。