縦：約47mm（カメオ43mm）
横：約39mm（カメオ36mm）
作者：－（アンティーク）
QR：アーティスティッククオリティ＋

イギリスより、ヴィクトリアン朝中期に流行したバッカンテのカメオの良作の入荷です。

日本のカメオの歴史は浅く、1980年代ごろからの流通となっており、それより古いものはあまり見かける機会がありません。
たまに見かけるものも質がいいとは言えないものが大半を占め、アンティークカメオが豊富に残る海外市場においてでもただ古いだけ、またフレームがそれなりの出来でもカメオそのものが二流三流というものが多く、カメオそのものが素晴らしいものはやはり高値で取引されております。

やはりアンティークの中でも人気が高く、ハイクオリティなものはあまり間を置かずコレクター様がお迎えになるので在庫が少ないですが、今回久しぶりに買い付けてまいりました。

葉脈や葉の裏返りなども描かれるバッカンテの良作で、葉の切れ込みにあたる穴状の部分もただ穴をあけるのではなく涙滴状に彫られており違和感なく奥行きを出しております。
葡萄の蔓は太さが均一ではなく、また高さも十分にとってメリハリのある自然物として忠実に描き、またバッカンテの品質を示す指標のひとつが実の彫りでもありますが、本作はひとつひとつ高さに違いを出して丁寧に彫り出されております。
手前の大きな蔓のみならず右肩にかかる小さな枝にも注意が行き届き、総じて植物の生命感をよく表現した彫りです。
当然人物の描写も美しく、全体のバランスよく整った顔立ちに、空間を綺麗に埋める散らされた髪は背景に溶け込むような柔らかな表現。
植物は植物らしく、髪は髪らしく、要所要所を抑えながらも全体の輪郭はコントラストが強くはっきりした像を形作られていることから作者の卓越したモチーフに対する理解、構図感覚、そしてそれを体現せしめる技術の高さがよくよく表れております。

貝はコーヒー色にくっきりした白色の上質なサードニクス。
画面7時から10時の位置にかけて薄いクラックが入っておりますが幸い光に透かさなければわからない入り方で、カメオ表面には摩耗や欠けなどないこともあって外観上ほぼ無傷に見えますが、クラックに関しては価格に反映してカメオの品質に対してややお安めになっております。

フレームはイギリスの9ctゴールド製。
こちらはホールマークから読み取ったところでは1984年にバーミンガム・アッセイオフィスで検品を受けており、アンティークのオリジナルフレームではなく20世紀後半に古い形式を模して造られたものと判明しております。