縦：約65mm
横：約50mm
作者：ジョヴァンニ・トゥルコ
QR：アーティスティッククオリティ

異色の名匠ジョヴァンニ・トゥルコ作のカメオの入荷です。

ジョヴァンニ・トゥルコ氏は現在もっとも精力的な名匠のひとりです。
高校卒業後ナポリの芸術学校進学し彫刻を専攻、その後23歳からシェルカメオを彫り始めてわずか4年でトーレ・デル・グレコの美術展で最優秀賞を受賞したという天才的な経歴を持っております。
カメオ作者である前に彫刻家であったトゥルコ氏の作風は、平面的で色の濃淡を重視する傾向にあるモダンカメオにおいては珍しい純粋な彫刻色の強いもので、また派手な構図に走りがちな現在のカメオと違い構図はシンプルでバランスを重視するなど、カルロ・パルラーティ氏やチーロ・フェラーラ氏といったごく一部の作者に限られる作風を持っている稀有な雰囲気を持っております。
彫刻色の強いトゥルコ氏のカメオは光の当て方で見え方が大きく変わり、正しい角度で光を当てることで素晴らしい臨場感と生命感を伝えてくれるようになります。

今回のお品物はまさにトゥルコ作といった女性像のカメオです。

本作はトゥルコ氏の作品に多く見られる外枠の形状や泡のような装飾に、顔や手といった要所は厚みをしっかりとって彫っております。
また、その外枠の手前に手など体の一部を持ってくるのもトゥルコ氏のカメオによくみられる特徴で、あえて低く彫り下げられた身体に対して高く彫られた手との対比もあって、まさに枠の内側から外側に手を出しているように見えます。
全体的に装飾の少ない画面はより清楚な雰囲気を与え、描かれた人物も髪を綺麗に巻くという貴人の娘のようでありながら服装は自室にいるかのように飾り気がなく、気品と清廉さのただよわせております。
その少女の顔も正面顔よりもさらにバランスの難しい斜めの顔を綺麗に表現しており、また大きさが縦65㎜と大判ながらも構図はシンプルで、それでいて不足を感じさせない構図全体の洗練されたバランス感覚もさすがは彫刻技術の天才とされるトゥルコ氏の作といえましょう。

貝はコーヒー色の地に薄い中間層をはさんでしっかりした白色の層のものです。
全体的に厚みのある貝でがっしりしており、傷は0時位置に光に透かしてようやくわかるごく薄いヘアラインと、裏面9時半の位置に小さなヒビがあるくらいです。
裏側のヒビは光に透かしても表からは全く見えません。

先述の通り芸術家肌であり、カメオは宝飾品である前に芸術品であるべしと語るトゥルコ氏の作品は、ほかの作者のように同じような構図が多数みられるということが無く、数も少なめで稀少です。
もちろん価格も高価で、現役の職人の中では最も価値の高いカメオのひとつとされておりますので、お気に召された方はこの機会をお見逃しなく。

※当ギャラリーのカメオは、ご購入前にご相談いただければ私がカメオに合わせて銀製のフレームを制作いたします。
また、額装加工も承っておりますので、お気軽にご相談くださいませ。
※加工のご相談の前に、一度メニュー下の”カメオルースのブローチ・ペンダント加工につきまして”をお目通しくださいますようお願いいたします。