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アンティーク(推定19世紀後期)「皇太子夫妻」
縦:約55mm
横:約45mm
作者:-(アンティーク)
QR:カタログクオリティ
ヴィクトリア女王の長男であり次期の国王ともなったエドワード7世夫妻の若き日を描いたカメオです。
長きにわたり在位したヴィクトリア女王の影で皇太子としての年代が長く続いたエドワード。
特に母であるヴィクトリアからの評価が芳しくなく、政治の表舞台に立つことは少なかったと言います。
即位してからはヴィクトリアの評価とは裏腹に優れた外交手腕を見せ「ピースメーカー」とも言われたとか。
そんなエドワードが若い時代にカメオになっているというのは意外な話ですが、いわゆるファッションリーダーとしての顔も持っており、ヴィクトリア朝における紳士服の文化におおきな影響を与えたという一面がありました。
もし社交界においても母からの評価と同様であればエドワードのファッションが流行になるとは到底考えられないわけですから、実際に当時カメオを注文していたような社会階級に属する層からは相応に親しみ敬われていたことが伺えます。
さて、一方気になる作者の方ですが、こうした注文を受けて制作した工房で最も有名なのがサウリーニ工房。
本作はそれと同等か、あるいはサウリーニ工房の制作か(顔つきや髪のデッサン・彫り方などはサウリーニ工房の様式と全く同じです)いずれにせよ当時でも最高峰の職人の手による作品であることは確かです。
まずこの手の肖像画系のカメオは神話をモチーフとしたものとは髪の彫り方が異なり、ポートレートのカメオを彫る経験が多くなければこのような写実的な仕上がりにすることは難しいため、このような仕事を多く引き受けている作者の手による作であることは間違いありません。
一方で構図は当時ではかなり珍しいダブルフェイスで、その中でもいわゆるデイ&ナイト、すなわちヘーメラーとニュクスのような描き方ではなく並び立つような構図になっていますが、こうしたイレギュラーな構図にもこのように高いレベルで応えられる点からも作者の技量と当時の名声を垣間見ることができるでしょう。
貝はコーヒー色とくっきりとした白色のコントラストが美しいサルドニクス。
現代のカメオの基本サイズである50㎜×38㎜(2インチ×1.5インチに相当)より小さいものが多かった当時としては珍しく50㎜超えです。
状態は比較的よく、画面8時位置から9時位置の背景部にヘアライン数筋、それからさらに薄いヘアラインが9時から12時位置にかけて入っておりますが、どちらも光にすかしてみなければわからない程度。
表面にはややナレがあるもののディテールはよく残っており、こちらも良好です。
フレームは品位不明の銀製。
オリジナルではなく20世紀前半に作り直された物とみます。
カメオ表面のナレからみてもわかるようにそれなりに実用にされてきたようで、金具にもそれなりに歪み等ありますが、アンティークジュエリーとしてはまだまだ現役。
C型クラスプに近いブローチ金具で安定性は現代のものに比べると劣る代わりに落下防止用のチェーンを付けるカンが付いておりますので、こちらを活用していただけるといいかと思います。
横:約45mm
作者:-(アンティーク)
QR:カタログクオリティ
ヴィクトリア女王の長男であり次期の国王ともなったエドワード7世夫妻の若き日を描いたカメオです。
長きにわたり在位したヴィクトリア女王の影で皇太子としての年代が長く続いたエドワード。
特に母であるヴィクトリアからの評価が芳しくなく、政治の表舞台に立つことは少なかったと言います。
即位してからはヴィクトリアの評価とは裏腹に優れた外交手腕を見せ「ピースメーカー」とも言われたとか。
そんなエドワードが若い時代にカメオになっているというのは意外な話ですが、いわゆるファッションリーダーとしての顔も持っており、ヴィクトリア朝における紳士服の文化におおきな影響を与えたという一面がありました。
もし社交界においても母からの評価と同様であればエドワードのファッションが流行になるとは到底考えられないわけですから、実際に当時カメオを注文していたような社会階級に属する層からは相応に親しみ敬われていたことが伺えます。
さて、一方気になる作者の方ですが、こうした注文を受けて制作した工房で最も有名なのがサウリーニ工房。
本作はそれと同等か、あるいはサウリーニ工房の制作か(顔つきや髪のデッサン・彫り方などはサウリーニ工房の様式と全く同じです)いずれにせよ当時でも最高峰の職人の手による作品であることは確かです。
まずこの手の肖像画系のカメオは神話をモチーフとしたものとは髪の彫り方が異なり、ポートレートのカメオを彫る経験が多くなければこのような写実的な仕上がりにすることは難しいため、このような仕事を多く引き受けている作者の手による作であることは間違いありません。
一方で構図は当時ではかなり珍しいダブルフェイスで、その中でもいわゆるデイ&ナイト、すなわちヘーメラーとニュクスのような描き方ではなく並び立つような構図になっていますが、こうしたイレギュラーな構図にもこのように高いレベルで応えられる点からも作者の技量と当時の名声を垣間見ることができるでしょう。
貝はコーヒー色とくっきりとした白色のコントラストが美しいサルドニクス。
現代のカメオの基本サイズである50㎜×38㎜(2インチ×1.5インチに相当)より小さいものが多かった当時としては珍しく50㎜超えです。
状態は比較的よく、画面8時位置から9時位置の背景部にヘアライン数筋、それからさらに薄いヘアラインが9時から12時位置にかけて入っておりますが、どちらも光にすかしてみなければわからない程度。
表面にはややナレがあるもののディテールはよく残っており、こちらも良好です。
フレームは品位不明の銀製。
オリジナルではなく20世紀前半に作り直された物とみます。
カメオ表面のナレからみてもわかるようにそれなりに実用にされてきたようで、金具にもそれなりに歪み等ありますが、アンティークジュエリーとしてはまだまだ現役。
C型クラスプに近いブローチ金具で安定性は現代のものに比べると劣る代わりに落下防止用のチェーンを付けるカンが付いておりますので、こちらを活用していただけるといいかと思います。







