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ラファエレ・ヴィティエロ作 「夕暮れのヴェネツィア」
縦:約36㎜
横:約46㎜
作者:ラファエレ・ヴィティエロ
QR:カタログクオリティ
若手のひとりとして知られ、在学中よりフランチェスコ・モナステーロ氏の工房へ通って腕を磨いていたラファエレ・ヴィティエロ氏。
その経緯から一般的にはモナステーロ氏の弟子とされ、比較的古めの作品では確かにモナステーロ氏の影響が感じられる作品も見られます。
しかしながら、近年はヴェネツィアをはじめとする水辺の風景が高く評価されてきており、その手法はフェルディナンド・セルペ氏の水の描き方に酷似していることから、おそらく在学中にセルペ氏に教えを受けて強い影響を持っていると思われます。
水影の描き方については先述の通りセルペ氏の新しい作品にも匹敵する美しさを見せ、貝の厚みや陰影よりも色の濃淡を駆使した、数あるカメオの中でも特に絵画色が強いと言える作風が大きな特徴となっており、セルペ氏の作風に最も近い作者といっていいかと思います。
その貝の色使いの上手さにより、素材として厚みが無く彫刻として描写の難しいホシダカラのカメオにも力を入れていて、こちらも通常のカメオのみしか知らない人からみると非常な衝撃を与えられるような作品が見られます。
現状風景カメオの作者としてはセルペ氏の良作に次ぐほどに時価が高まっており、50mm規格にも満たないような小さめの風景カメオでもかなり高額で取引されている期待の作家です。
シェルカメオの中でも珍しく、カメオの素材としてはタイガースキンシェルとも呼ばれるのがこのホシダカラ。
使われる歴史自体はそれなりに古く、オイスターシェルや地中海原産の大型のイガイとともにアンティークの時代より使われてきたものですが、肖像を彫ったカメオとしてよりも祈りの言葉をその表面に彫り写したものがよく知られているかと思います。
カメオの歴史においては古来より彫刻的な表現が主流であったため厚みのないホシダカラは利用が難しく、イタリアにてカメオの素材としての利用が一般的になってきたのは20世紀も後半になってから。
なかでもフェルディナンド・セルペ氏をはじめとする絵画的手法を習得しこれを得意とするラファエレ・ヴィティエロ氏はいまほど名が知れるよりも前から積極的にホシダカラを採用しており、近年の良作ではカメオに対する固定観念を打ち破るすさまじいインパクトをもった作品も少なくありません。
今回はそんな良作のひとつであり、一度見るとなかなか忘れられない一品。
モチーフはご覧の通り、ヴィティエロ氏が得意とするヴェネツィアを描いたもので、色分けのすばらしさが光ります。
ホシダカラの色層は極めて薄く、5層の色が使われている本作の色層の厚みは最上層から最下層すべて合わせても1㎜もないくらい。
色は上からタイガースキンの由来となっている淡褐色に黒斑の豹模様、その下に続いて淡褐色、白色、灰紫、そして最下層に再び白色の構成となっており、この中でも灰紫をどう使うかがカメオの品質を左右するのですが、ヴィティエロ氏のホシダカラのカメオでは本作のようにこれを遠景に使ったものがあり、この手の作品はエミール・ガレ第2工房期の作品を彷彿とさせるノスタルジックな情景を表現しております。
また空気遠近法を表現する際には余計な色斑をださず正確な色を出すことが肝要となりますが、本作の色使いはまさに完璧。
フレームが付いているので少しわかりにくくなっているものの、窓のように風景を切り取る枠とその外側の真っ白とのバランスやコントラストも実に美しく、カメオ単独で作品として成立している大変完成度の高い作品となっております。
貝は色彩豊かなホシダカラ。
本作では5層の色が出ておりますが個体差があり、実際に彫って使えるほどの色が出るかはわからないので、本作は作者の腕はもちろん貝の質もあってこの品質になったと言えます。
実際色層は薄いものの貝殻自体はかなり厚く、相当に大きな個体から切り出した貴重な素材であることが伺えます。
ヘアラインは中層の白色層に入っているのみですがこれは自然のもので、劣化や傷といえるようなものは一切ない完品です。
フレームはK18製。
シンプルながら梨地加工がはいり、Dカン、下向き防止金具を備える手の込んだつくり。
ブローチ金具は鉄砲型でピンの歪みもほとんどなく状態良好です。
横:約46㎜
作者:ラファエレ・ヴィティエロ
QR:カタログクオリティ
若手のひとりとして知られ、在学中よりフランチェスコ・モナステーロ氏の工房へ通って腕を磨いていたラファエレ・ヴィティエロ氏。
その経緯から一般的にはモナステーロ氏の弟子とされ、比較的古めの作品では確かにモナステーロ氏の影響が感じられる作品も見られます。
しかしながら、近年はヴェネツィアをはじめとする水辺の風景が高く評価されてきており、その手法はフェルディナンド・セルペ氏の水の描き方に酷似していることから、おそらく在学中にセルペ氏に教えを受けて強い影響を持っていると思われます。
水影の描き方については先述の通りセルペ氏の新しい作品にも匹敵する美しさを見せ、貝の厚みや陰影よりも色の濃淡を駆使した、数あるカメオの中でも特に絵画色が強いと言える作風が大きな特徴となっており、セルペ氏の作風に最も近い作者といっていいかと思います。
その貝の色使いの上手さにより、素材として厚みが無く彫刻として描写の難しいホシダカラのカメオにも力を入れていて、こちらも通常のカメオのみしか知らない人からみると非常な衝撃を与えられるような作品が見られます。
現状風景カメオの作者としてはセルペ氏の良作に次ぐほどに時価が高まっており、50mm規格にも満たないような小さめの風景カメオでもかなり高額で取引されている期待の作家です。
シェルカメオの中でも珍しく、カメオの素材としてはタイガースキンシェルとも呼ばれるのがこのホシダカラ。
使われる歴史自体はそれなりに古く、オイスターシェルや地中海原産の大型のイガイとともにアンティークの時代より使われてきたものですが、肖像を彫ったカメオとしてよりも祈りの言葉をその表面に彫り写したものがよく知られているかと思います。
カメオの歴史においては古来より彫刻的な表現が主流であったため厚みのないホシダカラは利用が難しく、イタリアにてカメオの素材としての利用が一般的になってきたのは20世紀も後半になってから。
なかでもフェルディナンド・セルペ氏をはじめとする絵画的手法を習得しこれを得意とするラファエレ・ヴィティエロ氏はいまほど名が知れるよりも前から積極的にホシダカラを採用しており、近年の良作ではカメオに対する固定観念を打ち破るすさまじいインパクトをもった作品も少なくありません。
今回はそんな良作のひとつであり、一度見るとなかなか忘れられない一品。
モチーフはご覧の通り、ヴィティエロ氏が得意とするヴェネツィアを描いたもので、色分けのすばらしさが光ります。
ホシダカラの色層は極めて薄く、5層の色が使われている本作の色層の厚みは最上層から最下層すべて合わせても1㎜もないくらい。
色は上からタイガースキンの由来となっている淡褐色に黒斑の豹模様、その下に続いて淡褐色、白色、灰紫、そして最下層に再び白色の構成となっており、この中でも灰紫をどう使うかがカメオの品質を左右するのですが、ヴィティエロ氏のホシダカラのカメオでは本作のようにこれを遠景に使ったものがあり、この手の作品はエミール・ガレ第2工房期の作品を彷彿とさせるノスタルジックな情景を表現しております。
また空気遠近法を表現する際には余計な色斑をださず正確な色を出すことが肝要となりますが、本作の色使いはまさに完璧。
フレームが付いているので少しわかりにくくなっているものの、窓のように風景を切り取る枠とその外側の真っ白とのバランスやコントラストも実に美しく、カメオ単独で作品として成立している大変完成度の高い作品となっております。
貝は色彩豊かなホシダカラ。
本作では5層の色が出ておりますが個体差があり、実際に彫って使えるほどの色が出るかはわからないので、本作は作者の腕はもちろん貝の質もあってこの品質になったと言えます。
実際色層は薄いものの貝殻自体はかなり厚く、相当に大きな個体から切り出した貴重な素材であることが伺えます。
ヘアラインは中層の白色層に入っているのみですがこれは自然のもので、劣化や傷といえるようなものは一切ない完品です。
フレームはK18製。
シンプルながら梨地加工がはいり、Dカン、下向き防止金具を備える手の込んだつくり。
ブローチ金具は鉄砲型でピンの歪みもほとんどなく状態良好です。







