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カルロ・パルラーティ作 「貴人の男女」
縦:約58mm
横:約43mm
作者:カルロ・パルラーティ
QR:カタログクオリティ
日本で高い人気を誇る彫刻家カルロ・パルラーティ作の入荷です。
20世紀の彫刻の鬼才カルロ・パルラーティ。
カメオについて調べる人が真っ先に覚える作者のひとりであり、その特徴的なデザインは一度見れば忘れることはありません。
カルロが活動し始めた当時、すでにジョヴァンニ・ノトの活躍によってモダンカメオの時代が到来しており、華やかなプロフィールや絵画のカメオ化などが一般的になりつつありましたが、カルロはその流れに身を任せることなく一度古典的な構図へと立ち返り、そこから独自に再スタートする形で独特の生命観や宗教観などを描いてゆきました。
比較的単純なプロフィールのカメオにおいても、構図は19世紀のアンティークカメオに通じるものがほとんどを占めており、カルロの解説においても古典的なようでいて現代的でもある革新性、市場からの需要を無視し自身の芸術性を追求する反抗性についての記述がみられることがありますが、その構図に表れている傾向はまさに、カルロのそうした取り組みが形になったものと言えましょう。
また、その構図があまりにも印象的で技術的な面について触れられることがほぼ皆無ですが、まったくブレのない線で彫られた作品たちからして、仮に普通のカメオを彫ったとしても極めてレベルの高い作品を作り得る高い技術を持っていることも忘れてはならないところです。
実際にパトリツィア・パルラーティ氏よりカルロの初期の習作として提供された写真には、まさに古典彫刻のミニチュアといった精緻な素晴らしい作品が写っており、またそれらの作品は全て厚みのあるコンクシェルに彫られていましたが、カルロが”若手のカメオ彫刻家はコンクシェルで修業を積むべきだ”という彫刻の基礎の修練の重要さを説く言葉を残したことも伝えられており、決して奇抜な作風のみでその名を挙げたわけではないことが伺えます。
今回のカメオはモダンカメオのコレクターに人気の90年代の作品です。
80年代の作品は彫刻家カルロ・パルラーティ本来の芸術性や物語性を織り込んだやや難解・複雑で時に抽象的なものも多いのに対し、90年代の作品は定まったテーマは特になく、どちらかといえばデフォルメをきかせ”観客が見るポイント”をわかりやすく表現した、技術系統的にはイラストに近いカジュアルな作品が多い傾向にあります。
本作はといえば一組の男女を描いた作品で、これはカルロ作では一般にゼウスとヘラとされることが多いもの。
ただし女性はアーミン(オコジョの冬毛で作られた布)をまとっていることから高貴な身分であることが示唆されているものの、古代ギリシャの神というには様式が異なるように感じられ、やはりモチーフを特定するのは難しいところです。
一方技術面に関してはさすがに安定しており、迷いがない鋭い彫り筋や平面部に彫り跡を残さないパルラーティ家独特の仕上げの美しさが光り、カルロ作の見どころは十分に備えております。
ちなみにカルロは90年以降になると貝に下書きをすることなく直接彫っていたのでデザインに深い意図や構図の巧拙は出にくく、彫りの技術は卓越し安定しておりここでも差が出ないため、同時代における作品ごとの出来の良し悪しに大きな差はないというのが個人的な見解です。
従いましてこの辺りの作品の中からどれを選ぶかは各々好みやインスピレーションが大事だと思っておりますので、解釈の余地が残されている本作を見て何を描いているのかおぼろげにでも感じ取られた方にはぜひお勧めしたい作品です。
貝は濃い目のコーヒー色の地に淡黄色が混じる白色層のサルドニクス。
詳しい方ならすでにご存じとは思いますが、この年代のカルロ作は貝の品質選別にあまりこだわりがなく、白色層のヘアラインがない作品は無いといっていいくらいであり、本作も例にもれず画面中央付近の白色層にヘアラインが入っております。
ただ、この年代は褐色層にも彫りの際できたと思われる強めのストレス痕があるものが多いなかで本作は無傷であり、カルロ作の中では状態がいい方です。
フレームはK18を基本に外周12時、3時、6時、9時位置の表面にPt900のプレートをあしらった覆輪式。
ブローチ金具には鉄砲式を採用した90年代以降広く使われてきた様式でコロナ前まではスタンダードなフレームでしたが、3000円台だったK18の地金相場がこの数年で13000円を超え、経済も冷え込みつつある現在では非常に贅沢なフレームとなってしまいました。
状態は極めてよく、針やブリッジに全く歪みが見られず使用感がありませんのでコレクションはもちろん、各実用用途にもお使いいただけます。
横:約43mm
作者:カルロ・パルラーティ
QR:カタログクオリティ
日本で高い人気を誇る彫刻家カルロ・パルラーティ作の入荷です。
20世紀の彫刻の鬼才カルロ・パルラーティ。
カメオについて調べる人が真っ先に覚える作者のひとりであり、その特徴的なデザインは一度見れば忘れることはありません。
カルロが活動し始めた当時、すでにジョヴァンニ・ノトの活躍によってモダンカメオの時代が到来しており、華やかなプロフィールや絵画のカメオ化などが一般的になりつつありましたが、カルロはその流れに身を任せることなく一度古典的な構図へと立ち返り、そこから独自に再スタートする形で独特の生命観や宗教観などを描いてゆきました。
比較的単純なプロフィールのカメオにおいても、構図は19世紀のアンティークカメオに通じるものがほとんどを占めており、カルロの解説においても古典的なようでいて現代的でもある革新性、市場からの需要を無視し自身の芸術性を追求する反抗性についての記述がみられることがありますが、その構図に表れている傾向はまさに、カルロのそうした取り組みが形になったものと言えましょう。
また、その構図があまりにも印象的で技術的な面について触れられることがほぼ皆無ですが、まったくブレのない線で彫られた作品たちからして、仮に普通のカメオを彫ったとしても極めてレベルの高い作品を作り得る高い技術を持っていることも忘れてはならないところです。
実際にパトリツィア・パルラーティ氏よりカルロの初期の習作として提供された写真には、まさに古典彫刻のミニチュアといった精緻な素晴らしい作品が写っており、またそれらの作品は全て厚みのあるコンクシェルに彫られていましたが、カルロが”若手のカメオ彫刻家はコンクシェルで修業を積むべきだ”という彫刻の基礎の修練の重要さを説く言葉を残したことも伝えられており、決して奇抜な作風のみでその名を挙げたわけではないことが伺えます。
今回のカメオはモダンカメオのコレクターに人気の90年代の作品です。
80年代の作品は彫刻家カルロ・パルラーティ本来の芸術性や物語性を織り込んだやや難解・複雑で時に抽象的なものも多いのに対し、90年代の作品は定まったテーマは特になく、どちらかといえばデフォルメをきかせ”観客が見るポイント”をわかりやすく表現した、技術系統的にはイラストに近いカジュアルな作品が多い傾向にあります。
本作はといえば一組の男女を描いた作品で、これはカルロ作では一般にゼウスとヘラとされることが多いもの。
ただし女性はアーミン(オコジョの冬毛で作られた布)をまとっていることから高貴な身分であることが示唆されているものの、古代ギリシャの神というには様式が異なるように感じられ、やはりモチーフを特定するのは難しいところです。
一方技術面に関してはさすがに安定しており、迷いがない鋭い彫り筋や平面部に彫り跡を残さないパルラーティ家独特の仕上げの美しさが光り、カルロ作の見どころは十分に備えております。
ちなみにカルロは90年以降になると貝に下書きをすることなく直接彫っていたのでデザインに深い意図や構図の巧拙は出にくく、彫りの技術は卓越し安定しておりここでも差が出ないため、同時代における作品ごとの出来の良し悪しに大きな差はないというのが個人的な見解です。
従いましてこの辺りの作品の中からどれを選ぶかは各々好みやインスピレーションが大事だと思っておりますので、解釈の余地が残されている本作を見て何を描いているのかおぼろげにでも感じ取られた方にはぜひお勧めしたい作品です。
貝は濃い目のコーヒー色の地に淡黄色が混じる白色層のサルドニクス。
詳しい方ならすでにご存じとは思いますが、この年代のカルロ作は貝の品質選別にあまりこだわりがなく、白色層のヘアラインがない作品は無いといっていいくらいであり、本作も例にもれず画面中央付近の白色層にヘアラインが入っております。
ただ、この年代は褐色層にも彫りの際できたと思われる強めのストレス痕があるものが多いなかで本作は無傷であり、カルロ作の中では状態がいい方です。
フレームはK18を基本に外周12時、3時、6時、9時位置の表面にPt900のプレートをあしらった覆輪式。
ブローチ金具には鉄砲式を採用した90年代以降広く使われてきた様式でコロナ前まではスタンダードなフレームでしたが、3000円台だったK18の地金相場がこの数年で13000円を超え、経済も冷え込みつつある現在では非常に贅沢なフレームとなってしまいました。
状態は極めてよく、針やブリッジに全く歪みが見られず使用感がありませんのでコレクションはもちろん、各実用用途にもお使いいただけます。







