Item
アンティーク(推定19世紀中期) 「フローラ」
縦:約47㎜(枠含50㎜)
横:約38㎜(枠含40㎜)
作者:-(アンティーク)
QR:カタログクオリティ+
カメオ界において古来より愛される花の女神フローラのカメオです。
モチーフとしては大変人気で、バッカンテと並んで最も好まれた題材といっていいでしょう。
それゆえミュージアムクオリティの作品も多く、特にサウリーニ工房にて制作された作品は当ギャラリーにおいても最高クラスの評価がなされます。
さて、今回はそんなアンティークの中でも数あるフローラの中で特に珍しい逸品。
まずやはり目を引くのはフローラの特徴である花冠ですが、コルネリアンの外周材を用いているにもかかわらず見事な三層彫り。
ところどころに見えるつぼみも今にも咲きそうにふっくらと彫り出されており、この表現はまさしく一流のアンティークカメオならでは。
耳周りや髪も高く彫られており肌との間に落ちる影は濃く、三層彫りの色分けのすばらしさも相まってカタログかミュージアムか非常に悩ましいレベルです。(カメオの品質には文句のつけようがないが、欲を言えばあと一歩大きさかオリジナルのフレームが欲しい)
さらにもうひとつ本作が他のフローラのカメオと一線を画するのは、おそらくこの作者は通常キリスト教関連のカメオを題材とすることが多く、ギリシャ・ローマ神話を題材とするのは珍しいということ。
というのも、この目を伏せた表情やコルネリアンのカメオで左向きに構図を取るのはキリスト教関連のカメオの特徴でして、それゆえ一般的によく見られるフローラのカメオ同様その華やかさはそのままに、表情に静謐さが漂い、どこか敬虔さや神性を強く感じさせるものとなっております。
貝は濃いオレンジから淡黄色のグラデーションとコントラストの美しいコルネリアン。
作品評で記しました通り三層彫りでありながら外周部の一番材を使っています。
外唇部を用いた三層彫りよりも色分けがシビアで、特に意図しないところに色が乗ってしまうことが多いのが外周材の三層彫りですが、本作は花冠にのみ色が乗っており余計な色乗りなし。
特に本作の場合右向きで、輪郭のコントラストが弱くなっているため花冠に目が行きやすく、この美しさがよく映えます。
状態はよく、裏から見て0時位置から3時位置にかけて4筋ほどのヘアラインが見られます。
ヘアラインとしては薄いもので表面には達しておらず全く目立ちません。
またフレームが変わっていることから分かるように使用されてきた作品だと思われるも表面のナレなどはほとんどなく、程よくとろりとした滑らかさが出ていつつディテールは失われていない、いい意味でアンティークといった姿をしております。
フレームは真鍮に15ktフィルド。
つくりも簡単で、とりあえずルースになった作品にブローチの機能を与えたといった感じでして、おおむねカメオの品質とフレームの品質に相関がみられるアンティーク物としてはやや不釣り合いな事から、フレームはオリジナルではなく1900年前後に付けられたものかと思います。
一方実用性を与えるという点から見ればよく出来ており、C型クラスプでありながらやや太めのピンがしっかりと止まるよう作られていて、20世紀中期の風車式より信頼性が高いくらい安定しています。
横:約38㎜(枠含40㎜)
作者:-(アンティーク)
QR:カタログクオリティ+
カメオ界において古来より愛される花の女神フローラのカメオです。
モチーフとしては大変人気で、バッカンテと並んで最も好まれた題材といっていいでしょう。
それゆえミュージアムクオリティの作品も多く、特にサウリーニ工房にて制作された作品は当ギャラリーにおいても最高クラスの評価がなされます。
さて、今回はそんなアンティークの中でも数あるフローラの中で特に珍しい逸品。
まずやはり目を引くのはフローラの特徴である花冠ですが、コルネリアンの外周材を用いているにもかかわらず見事な三層彫り。
ところどころに見えるつぼみも今にも咲きそうにふっくらと彫り出されており、この表現はまさしく一流のアンティークカメオならでは。
耳周りや髪も高く彫られており肌との間に落ちる影は濃く、三層彫りの色分けのすばらしさも相まってカタログかミュージアムか非常に悩ましいレベルです。(カメオの品質には文句のつけようがないが、欲を言えばあと一歩大きさかオリジナルのフレームが欲しい)
さらにもうひとつ本作が他のフローラのカメオと一線を画するのは、おそらくこの作者は通常キリスト教関連のカメオを題材とすることが多く、ギリシャ・ローマ神話を題材とするのは珍しいということ。
というのも、この目を伏せた表情やコルネリアンのカメオで左向きに構図を取るのはキリスト教関連のカメオの特徴でして、それゆえ一般的によく見られるフローラのカメオ同様その華やかさはそのままに、表情に静謐さが漂い、どこか敬虔さや神性を強く感じさせるものとなっております。
貝は濃いオレンジから淡黄色のグラデーションとコントラストの美しいコルネリアン。
作品評で記しました通り三層彫りでありながら外周部の一番材を使っています。
外唇部を用いた三層彫りよりも色分けがシビアで、特に意図しないところに色が乗ってしまうことが多いのが外周材の三層彫りですが、本作は花冠にのみ色が乗っており余計な色乗りなし。
特に本作の場合右向きで、輪郭のコントラストが弱くなっているため花冠に目が行きやすく、この美しさがよく映えます。
状態はよく、裏から見て0時位置から3時位置にかけて4筋ほどのヘアラインが見られます。
ヘアラインとしては薄いもので表面には達しておらず全く目立ちません。
またフレームが変わっていることから分かるように使用されてきた作品だと思われるも表面のナレなどはほとんどなく、程よくとろりとした滑らかさが出ていつつディテールは失われていない、いい意味でアンティークといった姿をしております。
フレームは真鍮に15ktフィルド。
つくりも簡単で、とりあえずルースになった作品にブローチの機能を与えたといった感じでして、おおむねカメオの品質とフレームの品質に相関がみられるアンティーク物としてはやや不釣り合いな事から、フレームはオリジナルではなく1900年前後に付けられたものかと思います。
一方実用性を与えるという点から見ればよく出来ており、C型クラスプでありながらやや太めのピンがしっかりと止まるよう作られていて、20世紀中期の風車式より信頼性が高いくらい安定しています。







