縦：約103mm
横：約88mm
作者：チーロ・マッツァ
QR：アーティスティッククオリティ

次世代の巨匠候補筆頭のひとり、チーロ・マッツァ作の超大型カメオの入荷です。

いまから10年以上前（当時30代）には次世代の巨匠として確実視されていた中堅どころの筆頭、チーロ・マッツァ氏。
70年代生まれには優秀な作家が多く知られておりますが、その中でも2つ年下のアゴスティーノ・チェントベッリ氏とならび、年齢に似合わぬ高い彫刻技術と新時代のモダンカメオを開拓する優れたセンスが評価されております。
とりわけ構図のセンスは他の作者とは一線を画するものがあり、プロフィールでも風景・絵画でも、その大胆かつファンタスティックな世界観は一見の価値ありです。
先述の通り彫りの技術は大変に優れているものの、ディテールがものすごく細かい作品ばかりというわけではなくシンプルな構図のものが多いのも特徴で、それでいて一瞬で見る人を引き込む雰囲気はある意味でカルロ・パルラーティ作にも通じるものがあります。
海外での人気も極めて高く、時代が移り変わりつつあるカメオの世界において、この先もその活躍が明らかな再注目のカメオ彫刻師です。

余談ですが素人目にも目を引くのはウィキペディアのカメオの項をみても感じられますね。（現代のカメオの作例として掲載されている写真はマッツァ氏の作品である。が、モデューラ・ジオイエッリなる人物の作品だと誤った注釈がついている...）

今回のお品物はマッツァ氏の超大型、額入りのアートピースです。

マッツァ氏らしいファンタスティックな構図が描かれた超大判の本作は、その大きさ縦約10㎝×横約9㎝、もはやアクセサリーとしては使えない作品です。
その大きな画面には長いドレスを身にまとう姫と吟遊詩人、そして冠を戴き馬に乗った騎士王の姿。
城の外の世界に目を輝かせる姫とそんな姫の姿を歌にする詩人、そして姫を探す父王といった構図でしょうか。
登場人物の服装や装備は現実の中世・近世のものというよりファンタジー映画のようなデザインとなっており、このあたりはマッツァ氏に特有な雰囲気です。
また一見ブーシェを思わせる画面構成ですが、あまり画面の奥行きを表現しない構図が多いブーシェとは異なりはっきりと画面手前から奥への深度が感じられ、オリジナルの構図と思われます。
チーロ・マッツァ氏のこのモデルは他にも作例があり、本作よりも出来が良く洗練された作品（そちらはミュージアムクオリティに該当すると見ています）が存在していることから考えると少し古めの作品でしょうか。
サインのファーストネームの部分が読み取れないことと、マッツァ家のカメオ彫刻師は数が多い（少なくとも私が知っているだけでジェンナーロ・マッツァ、エンツォ・マッツァ、チーロ・マッツァ、ヴィンチェンツォ・マッツァ、シモーネ・マッツァと5名いる）上にチーロ氏の弟のヴィンチェンツォ氏は作風が近い（というよりデザインは共有してるものがある）ため”Mazza”しか読み取れない状態ではチーロ作と断定することができないのですが、これに関しましてはFacebookにて写真を掲載した際にチーロ氏本人から自身の作品であるとコメントをいただきましたので、チーロ氏作として展示する運びとなっております。
ただ、サインを見た感じでは”Frat”とあるように見え、単独ではなくヴィンチェンツォ氏との共作（サインは”Fratello(イタリア語：兄弟)”の略）ではないかとも考えており、また先述の通り同モデルで上があることを知っているので、現在のチーロ・マッツァ氏の評価をそのまま当てはめずに控えめに評価しております。

貝は濃いコーヒー色に色別れよくくっきりとした白色が乗った上質のもの。
アクセサリーとして使用されるタイプのカメオではないので新品同然であり、12時位置に貝の切り出し時についたと思われる薄ヒビがあるのみで傷みは感じられません。

写真には撮っていないのですが大きな額に入っており、裏面のマジックテープはその額装用のものです。
もちろん発送時はこの額に収めた状態で一緒に発送いたします。