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カルロ・パルラーティ作 ”ゼウスとヘーラー”
縦:約54mm
横:約39mm
作者:カルロ・パルラーティ
QR:カタログクオリティ
20世紀後半を代表する彫刻家カルロ・パルラーティ氏によるシェルカメオの入荷です。
20世紀の彫刻の鬼才カルロ・パルラーティ。
カメオについて調べる人が真っ先に覚える作者のひとりであり、その特徴的なデザインは一度見れば忘れることはありません。
カルロ氏が活動し始めた当時、すでにジョヴァンニ・ノト氏の活躍によってモダンカメオの時代が到来しており、華やかなプロフィールや絵画のカメオ化などが一般的になりつつありましたが、カルロ氏はその流れに身を任せることなく一度古典的な構図へと立ち返り、そこから独自に再スタートする形で独特の生命観や宗教観などを描いてゆきました。
比較的単純なプロフィールのカメオにおいても、構図は19世紀のアンティークカメオに通じるものがほとんどを占めており、カルロ氏の解説においても古典的なようでいて現代的でもある革新性、市場からの需要を無視し自身の芸術性を追求する反抗性についての記述がみられることがありますが、その構図に表れている傾向はまさに、カルロ氏のそうした取り組みが形になったものと言えましょう。
また、その構図があまりにも印象的で技術的な面について触れられることがほぼ皆無ですが、まったくブレのない線で彫られた作品たちからして、仮に普通のカメオを彫ったとしても極めてレベルの高い作品を作り得る高い技術を持っていることも忘れてはならないところでしょう。
実績的にも多くのカメオ作者にない経歴を持っており、1年のうち一定の期間をニューヨークで過ごし(20世紀初頭、欧州各地はもちろん世界中の芸術家が集った街としてパリのモンマルトルやモンパルナスが有名だが、第二次大戦後はその役割を果たす街はニューヨークに移った。現在もニューヨークは芸術家の街、文化の発信地としての側面を持っている)、各地で個展を開くなど彫刻家・画家としての活動を行い、またそれらの功績が時のローマ法王ヨハネ・パウロ2世に認められたことはよく知られております。
現在は娘のパトリツィア氏がその造形を受け継ぎ、一部ではパトリツィア氏はいずれカルロ氏を超えうるとも言われているものの、そもパトリツィア氏は造形こそカルロ氏を真似れどもその芸術性についてまで受け継いでいるわけではなく独自の制作に打ち込んでおり、やはりカルロ氏の独創的な世界はカルロ氏だけのものであるということを示すように、現在も高い人気を維持しております。
※その他、当ギャラリーにおける所感につきましてはブログの作家03.カルロ・パルラーティの項に書いております。
本作はそんなカルロ・パルラーティ氏のプロフィールカメオ、見かける機会も多い90年代の作です。
カルロ氏の作品とはっきりわかるものは1970年代からみられるも、一気に数が増えるのは90年代になってから。
この時期のカルロ作は80年代までの流動的な雰囲気から一転し、根源的な流転する生命からひとつの魂へと形を持ったというような作品を多く作るようになります。
貝に下書きをせず直接彫り始めて作品を完成させたともいわれており、デザインを貝に彫り込むというよりも自らの内に湧くイメージをそのまま貝に彫り込んだといいましょうか。
それでいて彫り筋に迷いが無くシャープでくっきりとした陰影からは、そのイメージがいかにはっきりしたものであったか、そしてそれを表現する同氏の技術がいかに高かったかを示しております。
本作のモチーフはギリシャ神話における神々の王ゼウスと王妃ヘーラー。
カルロ氏が好んで彫ったモチーフのひとつで、ダブルフェイスのものでは比較的見かける機会も多いものです。
このタイプの作品となるとあまり個々に差が感じられないところではあるのですが、髪の流れ方にはいくつかパターンが分かれておりますので、そのあたりの雰囲気でピンと来られた方にお勧めしたい逸品となっております。
貝は濃いコーヒー色と純白の間に厚めの中間層が入ったサードニクス。
マリアーノ・アキート作などでよく見るタイプの貝で、白色部にも色の濃淡が入っており、ゼウスの首筋や張り出した頬など、この白色層内のグラデーションをうまく使って柔らかくもはっきりと表現しております。
ヘアラインは褐色部に散見され、白色部にも同様に見られます。
どちらも光を当てて見なければわかりにくいものではありますが、少し傷多めな感じ。
90年代のカルロ・パルラーティ作は、色はともかくなぜかこのあたりの貝の品質が悪いものがやたらと多いのが困りどころ…もちろん、いかに高名な巨匠の作と言えど現存数が多いタイプなので通常通り表面のヘアライン分は価格に反映しております。
髪の縁が欠けているものも多いのですが幸いそちらは健全で、保管中にできた傷みはほとんどないように見えます。
横:約39mm
作者:カルロ・パルラーティ
QR:カタログクオリティ
20世紀後半を代表する彫刻家カルロ・パルラーティ氏によるシェルカメオの入荷です。
20世紀の彫刻の鬼才カルロ・パルラーティ。
カメオについて調べる人が真っ先に覚える作者のひとりであり、その特徴的なデザインは一度見れば忘れることはありません。
カルロ氏が活動し始めた当時、すでにジョヴァンニ・ノト氏の活躍によってモダンカメオの時代が到来しており、華やかなプロフィールや絵画のカメオ化などが一般的になりつつありましたが、カルロ氏はその流れに身を任せることなく一度古典的な構図へと立ち返り、そこから独自に再スタートする形で独特の生命観や宗教観などを描いてゆきました。
比較的単純なプロフィールのカメオにおいても、構図は19世紀のアンティークカメオに通じるものがほとんどを占めており、カルロ氏の解説においても古典的なようでいて現代的でもある革新性、市場からの需要を無視し自身の芸術性を追求する反抗性についての記述がみられることがありますが、その構図に表れている傾向はまさに、カルロ氏のそうした取り組みが形になったものと言えましょう。
また、その構図があまりにも印象的で技術的な面について触れられることがほぼ皆無ですが、まったくブレのない線で彫られた作品たちからして、仮に普通のカメオを彫ったとしても極めてレベルの高い作品を作り得る高い技術を持っていることも忘れてはならないところでしょう。
実績的にも多くのカメオ作者にない経歴を持っており、1年のうち一定の期間をニューヨークで過ごし(20世紀初頭、欧州各地はもちろん世界中の芸術家が集った街としてパリのモンマルトルやモンパルナスが有名だが、第二次大戦後はその役割を果たす街はニューヨークに移った。現在もニューヨークは芸術家の街、文化の発信地としての側面を持っている)、各地で個展を開くなど彫刻家・画家としての活動を行い、またそれらの功績が時のローマ法王ヨハネ・パウロ2世に認められたことはよく知られております。
現在は娘のパトリツィア氏がその造形を受け継ぎ、一部ではパトリツィア氏はいずれカルロ氏を超えうるとも言われているものの、そもパトリツィア氏は造形こそカルロ氏を真似れどもその芸術性についてまで受け継いでいるわけではなく独自の制作に打ち込んでおり、やはりカルロ氏の独創的な世界はカルロ氏だけのものであるということを示すように、現在も高い人気を維持しております。
※その他、当ギャラリーにおける所感につきましてはブログの作家03.カルロ・パルラーティの項に書いております。
本作はそんなカルロ・パルラーティ氏のプロフィールカメオ、見かける機会も多い90年代の作です。
カルロ氏の作品とはっきりわかるものは1970年代からみられるも、一気に数が増えるのは90年代になってから。
この時期のカルロ作は80年代までの流動的な雰囲気から一転し、根源的な流転する生命からひとつの魂へと形を持ったというような作品を多く作るようになります。
貝に下書きをせず直接彫り始めて作品を完成させたともいわれており、デザインを貝に彫り込むというよりも自らの内に湧くイメージをそのまま貝に彫り込んだといいましょうか。
それでいて彫り筋に迷いが無くシャープでくっきりとした陰影からは、そのイメージがいかにはっきりしたものであったか、そしてそれを表現する同氏の技術がいかに高かったかを示しております。
本作のモチーフはギリシャ神話における神々の王ゼウスと王妃ヘーラー。
カルロ氏が好んで彫ったモチーフのひとつで、ダブルフェイスのものでは比較的見かける機会も多いものです。
このタイプの作品となるとあまり個々に差が感じられないところではあるのですが、髪の流れ方にはいくつかパターンが分かれておりますので、そのあたりの雰囲気でピンと来られた方にお勧めしたい逸品となっております。
貝は濃いコーヒー色と純白の間に厚めの中間層が入ったサードニクス。
マリアーノ・アキート作などでよく見るタイプの貝で、白色部にも色の濃淡が入っており、ゼウスの首筋や張り出した頬など、この白色層内のグラデーションをうまく使って柔らかくもはっきりと表現しております。
ヘアラインは褐色部に散見され、白色部にも同様に見られます。
どちらも光を当てて見なければわかりにくいものではありますが、少し傷多めな感じ。
90年代のカルロ・パルラーティ作は、色はともかくなぜかこのあたりの貝の品質が悪いものがやたらと多いのが困りどころ…もちろん、いかに高名な巨匠の作と言えど現存数が多いタイプなので通常通り表面のヘアライン分は価格に反映しております。
髪の縁が欠けているものも多いのですが幸いそちらは健全で、保管中にできた傷みはほとんどないように見えます。