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2021/02/01 20:11
新規でカメオを購入される方によく質問されるのがカメオの保存方法について。
今回はちょっと面白いきっかけがあったので、その点について記事にしてみました。
まず最初に、私がカメオの保存について聞かれた際にお答えするのは次の項目です。
1.強い衝撃や圧迫を加えない。
2.化粧品等の不着には気を付ける。
3.飲食時に飛沫に気を付ける。
4.直射日光が長時間当たるところに置かない。
5.極端に湿度の高いところに置かない。
6.洗浄する際は酸性の洗剤・薬剤を使ってはならない。
7.防虫剤と一緒に保管しない。
1は当然ですね、物理的な割れや欠けを防止するためです。
2は色移りなども心配されますが、やはり化学的な心配が大きく、2に加えて3、6、7は突き詰めると”酸に気を付ける”に集約できます。貝殻は石灰質なので酸に溶けやすく、もちろん一度溶けた部分は二度と元に戻すことができません。これらのこと考えると雨に濡れた場合も早めに水道水で洗い流してあげるのがいいでしょう。
4はなかなか的確な理由を説明するのが難しいですが、皆さん経験則としてなんとなく分かるかと思います。
5はカビの防止が主な目的となる注意ですね。
ここまでは私の見解によるカメオの保存において気を付けるべきこと。
そしてこの先は一部業者や個人が吹聴している保存法のひとつ、保湿の是非について私なりの異論になります。
今回この記事を書いたきっかけですが、先日カメオを買い付けた際、カメオの保存法について記された文書が同封されてきました。内容を読むとカメオを保管する際に気を付けることとしていろいろ書いてあり、私が挙げた1と2だけはここにもありました。
1は当然ですね、物理的な割れや欠けを防止するためです。
2は色移りなども心配されますが、やはり化学的な心配が大きく、2に加えて3、6、7は突き詰めると”酸に気を付ける”に集約できます。貝殻は石灰質なので酸に溶けやすく、もちろん一度溶けた部分は二度と元に戻すことができません。これらのこと考えると雨に濡れた場合も早めに水道水で洗い流してあげるのがいいでしょう。
4はなかなか的確な理由を説明するのが難しいですが、皆さん経験則としてなんとなく分かるかと思います。
5はカビの防止が主な目的となる注意ですね。
ここまでは私の見解によるカメオの保存において気を付けるべきこと。
そしてこの先は一部業者や個人が吹聴している保存法のひとつ、保湿の是非について私なりの異論になります。
今回この記事を書いたきっかけですが、先日カメオを買い付けた際、カメオの保存法について記された文書が同封されてきました。内容を読むとカメオを保管する際に気を付けることとしていろいろ書いてあり、私が挙げた1と2だけはここにもありました。
しかしその文書のうち半分ほど使って長々と書かれている保湿について。これがどうもいただけません。それもこの販売者がひとりでいっていることではなく他のところでも複数で同じようなこと話を聞いたことがあり、イタリアのカメオ関連のサイトですら言ってるの見たことがあるので、ちょっと見過ごせない。
その内容はこうです。
・カメオは乾燥に弱いため保湿が必要。
・保湿のために定期的に植物油(オリーブオイルが伝統的と書かれている場合もある)を塗る必要がある。
・強い汚れはシンナーでふき取り、その後植物油で拭きとる。
その内容はこうです。
・カメオは乾燥に弱いため保湿が必要。
・保湿のために定期的に植物油(オリーブオイルが伝統的と書かれている場合もある)を塗る必要がある。
・強い汚れはシンナーでふき取り、その後植物油で拭きとる。
また私のところに来た文書ではこんなことも書かれていました。
・植物油を表面にたっぷり塗り付け、一晩おいてからシャンプーとぬるま湯で洗い流して乾いた布で拭く。
・年2回ほどカメオの裏に植物油を数滴しみ込ませる。(この時カメオ彫刻師たちはミシン油を使うという)
私の見解はもちろん、最初の項目にこれらの内容が含まれていなかったことから明らかなように、こんなことは気にしなくていいと思っています。というより、気にしても気しなくても、どっちでもいいならわざわざ記事にはしませんが、これらの主張には従わないほうが望ましいというのが私の考えですので今回こうして記事にしたわけです。

・植物油を表面にたっぷり塗り付け、一晩おいてからシャンプーとぬるま湯で洗い流して乾いた布で拭く。
・年2回ほどカメオの裏に植物油を数滴しみ込ませる。(この時カメオ彫刻師たちはミシン油を使うという)
私の見解はもちろん、最初の項目にこれらの内容が含まれていなかったことから明らかなように、こんなことは気にしなくていいと思っています。というより、気にしても気しなくても、どっちでもいいならわざわざ記事にはしませんが、これらの主張には従わないほうが望ましいというのが私の考えですので今回こうして記事にしたわけです。

まずそもそもカメオが乾燥に弱いという主張はどういう理屈なのでしょう。
だいたいの場合なぜ乾燥に弱いのかその説明までされていることはなく、ただ決定事項のように貝だから乾燥に弱いと断言されているのですが、私が今回見た文書によれば、貝の殻は有機物であり丁寧な手入れを要求する、その一環として保湿が必要とのこと。
はて、貝殻が有機質とは面妖な主張です。
一般常識的な考えでは貝殻は有機物由来の無機物です。貝殻の主成分は炭酸カルシウム、鉱物で言えば方解石や霰石に近いものだと言われており、無論これらは無機物に分類されるものですね。ただし貝殻は方解石や霰石の単結晶ではなく、細かなそれらの結晶をコンキオリンと呼ばれるたんぱく質がつなぎ合わせて構成されているので、有機物も含まれてはいます。それにしても貝殻が有機物とはずいぶんな言い方なように思います。ちょうどWikipediaの貝殻の項目にはこんな感じの記述があります。”貝殻の構成は炭酸カルシウムの結晶をレンガに、コンキオリンをレンガを接着するモルタルにたとえると構造が理解しやすい”。この例えをなぞって言うなら、貝殻を有機物だというのはレンガ造りの建物をモルタル造りだというようなものですが、この表現が正しいと答える人は、まあいないでしょう。従って貝殻が有機物だという主張にはかなり無理があり、結局持論を展開するために必要な下地として、貝殻が不安定なものであるという結論ありきでそのイメージを植え付けるために有機物だと言っていると判断せざるを得ません。(余談だが、カルシウムとコンキオリンの比率は種類によって異なり、中にはコンキオリンの比率が高く脱灰しても形状を維持するほどのものもあるらしい。それくらいならば有機物と主張するのもわかる。ただし無論カメオになる貝はそうではない)
百歩譲って有機物に分類するとしても、そうすることで炭酸カルシウムとコンキオリンの比率が変わるわけではないので、有機物扱いになったので貝殻が乾燥に弱いとはなりません。
だいたい貝だから乾燥に弱いと、それも油を塗って保護する必要があるほどに乾燥に弱いというなら、カメオに使われる貝が中米やアフリカ沖から輸入されてきた後に地中海に面した南イタリアの照り付けるような太陽に1年ほどさらされて徹底的に乾燥させられる工程についてどう説明するつもりなのでしょうか。そこまで弱いというなら、仮に湿度に富む海風があるから大丈夫などと言われても納得はできませんよね。それに先述の通りこの保湿必要論はどういうわけかイタリアのカメオ販売業者まで言っている始末なのですが、彼らの会社ではオリーブ油を張ったプールにでも貝殻を沈めて保湿をしてから天日干しを行っているとでもいうのでしょうか。仮にそんなことをしているなら、最初から天日干しなどしないのが正解だと思うのですが。
化学的な話を脇に置いても、貝殻がそんなに乾燥に弱いというのは経験則として無い話…普通の貝殻を室内に放置してたらわずか数年の間にいつの間にかヒビだらけになったとかボロボロに崩れたとか、そんな経験した人はおそらくいないでしょう。色が落ちたという経験をした人はいるかもしれませんが、こういう環境で色が落ちる貝はキチン質で構成された殻皮の色が鮮やかなのであって殻そのものには色がついていない種です。保管の間にその殻皮がはがれることで色が消えるもので、カメオの褐色や橙色のような貝殻そのものに色がついているものとは発色条件が全く異なるので同列に扱うことはできません。
だいたいの場合なぜ乾燥に弱いのかその説明までされていることはなく、ただ決定事項のように貝だから乾燥に弱いと断言されているのですが、私が今回見た文書によれば、貝の殻は有機物であり丁寧な手入れを要求する、その一環として保湿が必要とのこと。
はて、貝殻が有機質とは面妖な主張です。
一般常識的な考えでは貝殻は有機物由来の無機物です。貝殻の主成分は炭酸カルシウム、鉱物で言えば方解石や霰石に近いものだと言われており、無論これらは無機物に分類されるものですね。ただし貝殻は方解石や霰石の単結晶ではなく、細かなそれらの結晶をコンキオリンと呼ばれるたんぱく質がつなぎ合わせて構成されているので、有機物も含まれてはいます。それにしても貝殻が有機物とはずいぶんな言い方なように思います。ちょうどWikipediaの貝殻の項目にはこんな感じの記述があります。”貝殻の構成は炭酸カルシウムの結晶をレンガに、コンキオリンをレンガを接着するモルタルにたとえると構造が理解しやすい”。この例えをなぞって言うなら、貝殻を有機物だというのはレンガ造りの建物をモルタル造りだというようなものですが、この表現が正しいと答える人は、まあいないでしょう。従って貝殻が有機物だという主張にはかなり無理があり、結局持論を展開するために必要な下地として、貝殻が不安定なものであるという結論ありきでそのイメージを植え付けるために有機物だと言っていると判断せざるを得ません。(余談だが、カルシウムとコンキオリンの比率は種類によって異なり、中にはコンキオリンの比率が高く脱灰しても形状を維持するほどのものもあるらしい。それくらいならば有機物と主張するのもわかる。ただし無論カメオになる貝はそうではない)
百歩譲って有機物に分類するとしても、そうすることで炭酸カルシウムとコンキオリンの比率が変わるわけではないので、有機物扱いになったので貝殻が乾燥に弱いとはなりません。
だいたい貝だから乾燥に弱いと、それも油を塗って保護する必要があるほどに乾燥に弱いというなら、カメオに使われる貝が中米やアフリカ沖から輸入されてきた後に地中海に面した南イタリアの照り付けるような太陽に1年ほどさらされて徹底的に乾燥させられる工程についてどう説明するつもりなのでしょうか。そこまで弱いというなら、仮に湿度に富む海風があるから大丈夫などと言われても納得はできませんよね。それに先述の通りこの保湿必要論はどういうわけかイタリアのカメオ販売業者まで言っている始末なのですが、彼らの会社ではオリーブ油を張ったプールにでも貝殻を沈めて保湿をしてから天日干しを行っているとでもいうのでしょうか。仮にそんなことをしているなら、最初から天日干しなどしないのが正解だと思うのですが。
化学的な話を脇に置いても、貝殻がそんなに乾燥に弱いというのは経験則として無い話…普通の貝殻を室内に放置してたらわずか数年の間にいつの間にかヒビだらけになったとかボロボロに崩れたとか、そんな経験した人はおそらくいないでしょう。色が落ちたという経験をした人はいるかもしれませんが、こういう環境で色が落ちる貝はキチン質で構成された殻皮の色が鮮やかなのであって殻そのものには色がついていない種です。保管の間にその殻皮がはがれることで色が消えるもので、カメオの褐色や橙色のような貝殻そのものに色がついているものとは発色条件が全く異なるので同列に扱うことはできません。
さらに、同じく貝殻を素材とするものとして有名なものに真珠があります。真珠は真珠層の構造的にも表面のテリの重要さ的にもカメオの貝質よりもデリケートです。しかし真珠で油を塗ってまで保湿する必要があるなどという話はきいたことがありません。むしろ油はつかないように保管すると言われるものです。
貝殻単独も真珠もカメオではないじゃないか、私はカメオの話をしているんだと、あるいはむこう数年や数十年の話ではない、もっと未来のことを見据えて話をしているんだと言われてしまうかもしれませんが、では当ギャラリーで取り扱うような19世紀のカメオ、制作から150年もたったカメオは毎年こまめに保湿管理をなされていたから無事な形で現存しているのでしょうか。否、断言できます。そんなわけありません。むしろ経験上油がついたカメオは何かしらの問題があったものばかりです。
貝殻単独も真珠もカメオではないじゃないか、私はカメオの話をしているんだと、あるいはむこう数年や数十年の話ではない、もっと未来のことを見据えて話をしているんだと言われてしまうかもしれませんが、では当ギャラリーで取り扱うような19世紀のカメオ、制作から150年もたったカメオは毎年こまめに保湿管理をなされていたから無事な形で現存しているのでしょうか。否、断言できます。そんなわけありません。むしろ経験上油がついたカメオは何かしらの問題があったものばかりです。
とどのつまり、どこをどう考えてもカメオが積極的な保湿が必要なほど乾燥に弱いという合理的な根拠など何一つみつからないのです。
この時点でまず、油を塗る必要が無い事についてははっきりさせました。では次、油を塗らないほうがいい理由についての私の考えです。
これは油を塗るという行為そのものがよくないと思っているのではなく、こうした主張に再三にわたって登場する植物油を使うべしというのがおかしいという話です。
ちなみに油を塗ったほうがいいと思うカメオに出会うこと自体はありますし、私もカメオに油を塗ることはあります。ただしこれはヒビを目立たなくするためであったり、酸化して荒れた表面を保湿し白く粉を吹いたような状態からより鑑賞に適した状態にする(もちろん展示の際は説明にてそのあたりの傷はすべて記載します)ための応急処置的なもので、決してカメオというものには保湿が必要だなどという考えによるものではありません。
そして私が使うのは鉱物油の類で、植物油は絶対に使いません。これは、鉱物油が常温常圧下において化学的に安定しており酸化も腐敗も無く、無色透明かつ無臭とカメオに使用する条件に合っているから。そして植物油を使わない理由は精製の度合いにより腐敗があり、高精度でも酸化は避けられず、種類によっては乾性油や不乾性油に分かれるなど特性が異なり、さらに植物油には色があり、これをしみこませようものならカメオのコントラストが損なわれるのが明らかで絶対的に論外だからです。
この時点でまず、油を塗る必要が無い事についてははっきりさせました。では次、油を塗らないほうがいい理由についての私の考えです。
これは油を塗るという行為そのものがよくないと思っているのではなく、こうした主張に再三にわたって登場する植物油を使うべしというのがおかしいという話です。
ちなみに油を塗ったほうがいいと思うカメオに出会うこと自体はありますし、私もカメオに油を塗ることはあります。ただしこれはヒビを目立たなくするためであったり、酸化して荒れた表面を保湿し白く粉を吹いたような状態からより鑑賞に適した状態にする(もちろん展示の際は説明にてそのあたりの傷はすべて記載します)ための応急処置的なもので、決してカメオというものには保湿が必要だなどという考えによるものではありません。
そして私が使うのは鉱物油の類で、植物油は絶対に使いません。これは、鉱物油が常温常圧下において化学的に安定しており酸化も腐敗も無く、無色透明かつ無臭とカメオに使用する条件に合っているから。そして植物油を使わない理由は精製の度合いにより腐敗があり、高精度でも酸化は避けられず、種類によっては乾性油や不乾性油に分かれるなど特性が異なり、さらに植物油には色があり、これをしみこませようものならカメオのコントラストが損なわれるのが明らかで絶対的に論外だからです。
百歩譲って保湿が必要であったとしても使うなら鉱物油が望ましく、敢えて不安定な植物油を塗る合理的な理由はなにもない。カメオ彫刻師たちが油を貝の裏に塗るというのもミシン油(機械油なので当然主流は安定した鉱物油である)であり、植物油を使うべしといっているのは実質この保湿必要論を唱える業者や人物のみです。それも先述の話に合わせれば貝殻は有機質なので丁寧な手入れが必要といいながら、安定した無機的な油を避けて自ら不安定であると主張する有機的な油を推奨しているのですから、なんともおかしな話ではないでしょうか。
以上、カメオの保存において積極的に保湿を気にする必要はない、また何らかの理由で油を塗るにしても植物油は使ってはいけないという2つの点に対する私なりの持論としたいと思います。
結局のところ、なぜにこのような主張が出てきたのか論理的には全く不可解なのですが、なんとなく、入手した後にも定期的に手を入れて保管する必要があるというところに美術品としてのある種の高尚さを印象づけようという販売側の演出のように感じます。使う油についても、わざわざ”伝統的”にはオリーブオイルなどと書かれているのも、高尚さを演出する物言いとしてわかりやすいです。
昨今SNSではマナー講師とよばれる職の方が奇妙なマナーを創作して話題になることがありますが、この”カメオに植物油を塗って保湿すべし”というのもどことなくそれに近いものを感じる、そんな一件でした。
最後に話の中で説明漏れした点、保湿の必要が無いのなら、彫刻家たちが貝に油を塗っているのはなぜかという点について補足しておきます。
ただ、まずカメオ彫刻家が貝に油を塗っているという事実があるかどうかがなんともいえません。これについてはちょっと機会があったら何人かの作家さんたちに直接聞いてみようと思います。(現時点での推測では、カメオ彫刻師たちが貝の裏に油を塗るとすれば保湿目的ではなく、彫刻する際貝を松脂にはめ込んで固定するが完成したら外さねばならない、このとき松脂を綺麗にはがすために事前に油塗っているのではないかと思っています)
ちなみに彫刻師たちの机にミシン油があるのまでは事実で、私が個人的に見せてもらったジョヴァンニ・ヴェントレスカ氏の作業机にもシンガーの油のボトルが2本ありました。ただその2本の間に砥石があったので、その油は砥石に使う(欧米の砥石は日本のような水砥石ではなく油砥石が多い)のと彫刻刀の錆止めに使うのが主な用途だというのが妥当なところでしょう。
以上、カメオの保存において積極的に保湿を気にする必要はない、また何らかの理由で油を塗るにしても植物油は使ってはいけないという2つの点に対する私なりの持論としたいと思います。
結局のところ、なぜにこのような主張が出てきたのか論理的には全く不可解なのですが、なんとなく、入手した後にも定期的に手を入れて保管する必要があるというところに美術品としてのある種の高尚さを印象づけようという販売側の演出のように感じます。使う油についても、わざわざ”伝統的”にはオリーブオイルなどと書かれているのも、高尚さを演出する物言いとしてわかりやすいです。
昨今SNSではマナー講師とよばれる職の方が奇妙なマナーを創作して話題になることがありますが、この”カメオに植物油を塗って保湿すべし”というのもどことなくそれに近いものを感じる、そんな一件でした。
最後に話の中で説明漏れした点、保湿の必要が無いのなら、彫刻家たちが貝に油を塗っているのはなぜかという点について補足しておきます。
ただ、まずカメオ彫刻家が貝に油を塗っているという事実があるかどうかがなんともいえません。これについてはちょっと機会があったら何人かの作家さんたちに直接聞いてみようと思います。(現時点での推測では、カメオ彫刻師たちが貝の裏に油を塗るとすれば保湿目的ではなく、彫刻する際貝を松脂にはめ込んで固定するが完成したら外さねばならない、このとき松脂を綺麗にはがすために事前に油塗っているのではないかと思っています)
ちなみに彫刻師たちの机にミシン油があるのまでは事実で、私が個人的に見せてもらったジョヴァンニ・ヴェントレスカ氏の作業机にもシンガーの油のボトルが2本ありました。ただその2本の間に砥石があったので、その油は砥石に使う(欧米の砥石は日本のような水砥石ではなく油砥石が多い)のと彫刻刀の錆止めに使うのが主な用途だというのが妥当なところでしょう。